【目黒区】誰でも無料!自由が丘駅と町を繋ぐ送迎バス「サンクスネイチャーバス」
自由が丘の街を歩いていると時々見かけるバス。「ThanksNature Bus(サンクスネイチャーバス)」と描かれたマイクロバスで、どこをどう走っているのかと興味をもたれた方も多いのでは?
実はこのバス、誰でも無料で利用できるコミュニティバスなのです。現在は「八雲ルート」と「駒沢公園ルート」、そして産業能率大学直行の送迎バスの3ルートを運行中。
今回は3回に渡り、「ThanksNature Bus(サンクスネイチャーバス)」の歴史と活躍、走行ルートの見どころや利用ポイントなどをご紹介していきます。
1回目は「ThanksNature Bus(サンクスネイチャーバス)」の始まりとその歴史。最近注目を集めるSDGs(エス・ディー・ジーズ=持続可能な開発目標)の精神につながる、人と環境にやさしい活動についてお伝えしましょう。
運行開始は1997年、天ぷら油などの廃油を再利用して走り、自由が丘の街のシンボルに
循環型社会としてごみを削減する「3R(リデュース・リユース・リサイクル)は当たり前になってきていますが、現代ではこれに加えてリフューズ(ごみの元になるものを買ったり、もらったりしない)、リペア(修理したり、リメイクして長く使う)を加えた5Rが提唱されています。
「ThanksNature Bus(サンクスネイチャーバス)」が誕生したのは今から約24年前。当時はまだまだ環境意識も低く、「廃油をリサイクルして燃料に」という発想はまさに先駆的なものでした。
初代の「ThanksNature Bus(サンクスネイチャーバス)」はレトロなフォルムのボンネットバス。スタート時は廃油燃料100%で走らせていました。排気ガスから天ぷらやお好み焼きの匂いがすると、わざわざ嗅ぎにきた人もいたとかいないとか・・・。
新聞や雑誌、TV、ラジオなどの取材が殺到し、大変注目を集めました。
坂の多い自由が丘、高齢者や小さいお子様連れの家族の便利な“足”としてなくてはならない存在へ
名前に「丘」とつくことでわかるように、坂道が多い自由が丘。八雲や深沢エリアは駅までちょっと距離がある上にアップダウンがあり、徒歩での移動は意外に不便なのです。
「駅から離れたスーパーマーケットやスポーツクラブ、テニスコート、病院、大学などのスポットを足回りの良いマイクロバスでつないだら便利なのでは?」
いまでは当たり前になっているコミュニティバスですが、「ThanksNature Bus(サンクスネイチャーバス)」は時代に先駆けて運行していたということになります。
街の移り変わりでリサイクル燃料利用がピンチ!現在、給油ステーションを探し中
初代「ThanksNature Bus(サンクスネイチャーバス)」が使用していた燃料は廃食油100%でした。しかし、国の認可や車両への負荷、税制上の問題などさまざまな障壁があり、軽油に対し5%の廃食用油を混合した(バイオディーゼル燃料)に変更。
上の写真は、サンクスネイチャーバスがかつて給油していた「CaRes自由が丘ステーション」。自由が丘北口にあるヤマダ電機の向かい側にあったガソリンスタンドです。
「CaRes自由が丘ステーション」で燃料を保管してもらい、給油をしてきました。しかし、2018年にガソリンスタンドが閉店!
跡地は「駿台予備校」になりました
現在は給油先が見つからず、軽油で走らせている状況なのだとか。1日も早く近くで供給できるところが見つかることを祈ります。
食用廃油は「目黒区エコプラザ」で回収中!実はその燃料で目黒川冬の桜(R)も咲かせています
「ThanksNature Bus(サンクスネイチャーバス)」が利用してきたバイオディーゼル燃料を供給しているのは、墨田区にある「株式会社ユーズ」。「TOKYO油田」プロジェクトを立ち上げ、回収した食用廃油を使った電気の発電も手掛けています。
あの、目黒川冬のイベントとして人気の「目黒川みんなのイルミネーション 冬の桜(R)」は株式会社ユーズが協力。2020年は残念ながら新型コロナウイルス感染症の影響でオンライン開催となってしまいました。
家庭で出た天ぷら油はついゴミとして捨ててしまいがちですが、目黒駅から徒歩約15分のところにある「目黒区エコプラザ」で回収しています。1人1人の協力はほんの些細なものかもしれませんが、ちりも積もれば山となる!
自分が提供した食用廃油でバスが走る、美しいイルミネーションとして蘇るのはちょっと嬉しいものですね。
廃油は漉してからペットボトルなどに入れて「目黒区エコプラザ」へお持ちください。回収用の容器が置いてあるので、そこに流し入れ、容器は必ず持ち帰るようにしましょう。
自由が丘の街に出かけた時は、「ThanksNature Bus(サンクスネイチャーバス)」をぜひ利用してみて!
誰でも無料でできる「ThanksNature Bus(サンクスネイチャーバス)」。お店や企業によるメジャーサポーターやキーエリアサポーター、個人サポーターからの応援で運行を続けています。
地元の方はもちろん、自由が丘に遊びに来た人も利用できます。基本はバス停での乗降が原則ですが、安全なところなら運転手さんに合図して乗降りOKです。2019年からはバスの位置情報がわかるスマホアプリもスタート。
春から自由が丘の近くに引っ越してくるという方、ぜひ活用してみてください。次回2回目は八雲ルートの停留所と周辺の見どころをご紹介します。
■取材協力