【目黒区】自由が丘・みどり湯併設「gallery yururi」で開催された王田土人さんの個展に行ってきました!
「gallery yururi」は自由が丘にある銭湯「みどり湯」に併設されているアートギャラリー。ここではさまざまなイベントが開催されています。
今回私が足を運んだのは、2021年7月23日(祝・金)から25日(日)までの3日間で開催された「王田土人 街灯観察記録 ゆるやかな迷子」です。
【目黒区】地域密着のユニークなイベント「王田土人 街灯観察記録 ゆるやかな迷子」開催!自由が丘「gallery yururi」で7月23日(金)から3日間
これまで世田谷区や大田区、品川区周辺の街灯を描いてきた王田土人(おうたつちひと)さん。
今回の個展のために、大井町沿線の街灯を調査!目黒区の街灯も紹介されているということで楽しみです。
実に個性豊か!王田土人さんが描く“街灯”の世界
こちらの街灯たちは今回の個展のため、新しく描いた大井町線沿線の街灯たち。目黒区内では自由が丘や大岡山なども描かれています。
自由が丘グリーンロードは「gallery yururi」のすぐ近くにある通り。昼間みるとなんということのない普通の通りなのですが、夜はこんな風に趣のある印象に!
夜に銭湯「みどり湯」へよく行きますが、確かに帰り道、昼間とは全然雰囲気が違ってのんびり歩いちゃうなと思っていました。同じ街並みでは昼と夜とでがらりと印象が変わる。
それは、街灯が持つマジックなんですね。
こちらの街灯、向かって左の絵は武蔵小山駅から近い目黒平和通り商店街の街灯。同じ武蔵小山駅の品川区側にあるパルム商店街に比べると、のんびりしていて昔ながらの商店が多い魅力的な商店街です。
商店街の街灯にちょっと目を惹くオブジェが!
「平和の樹バオバブ」という名前で1993年に設置された目黒区出身の平山隆也さんの作品。起動装置がついており、かつては動いていたようです。
王田さんにお話を伺うと中目黒から祐天寺の間の高台にある商店街「六三商栄会」が面白いとのこと。“六三”と命名された名前の由来は、上目黒三丁目と、旧地番上目黒六丁目(現東山一丁目)にまたがる商店街だったからだそうです。
個人商店が点在しつつ、古めかしい商店街の趣を残している六三商栄会。こちらにはまだ足を運んだことがないので、こんどぜひ訪れてみたいと思いました。
王田土人さんが街灯に惹かれるきっかけになったのは「油面地蔵通り商店街」
初日終わりました。暑い中ご来場ありがとうございました。色々な方と街灯の話をするのがとても楽しいです。
こちらは、「油面地蔵通り商店街」の夜です。昨日載せようと思っていたのですが、写真を撮り忘れました。
自分が街灯を観察するきっかけになった風景です。明日もよろしくお願いします。 pic.twitter.com/A9uTj6ialZ
— 王田土人@街灯個展ありがとうございました (@nowaruagaki) July 23, 2021
目黒区の中でもちょっと駅から離れた場所にある油面(あぶらめん)地蔵通り。目黒区役所のホームページを見ると、もともとは目黒通りの前身である下野毛通りに面し、油面交番の向かい角にあったそうです。
現在の目黒通り、元競馬場付近には「油面」という地名の由来について紹介されている看板やオブジェがあります。
油面という地名の由来には諸説あるようですが、目黒区のホームページを引用してみまししょう。
江戸時代の中ごろから、この辺り一帯では菜種の栽培が盛んとなり、絞った菜種油は芝の増上寺や、その流れをくむ祐天寺の灯明用として使われていた。この油の奉納に付随して、絞油業に対する租税が免除されていたらしく、油製造により税が免ぜられている村、すなわち「油免」が、いつしか「油面(あぶらめん)」となったと伝えられる。
菜種栽培は昭和の初め頃まで行われたようで、いまではちょっと考えられないようなのどかな光景が広がっていたということですね。
現在の油面地蔵通りは目黒通り沿いにある油面交番の脇を入っていったところになります。商店街を進んでいくと商店街の名前に入っているお地蔵様があります。
お地蔵様の台座には(右面)「是より右ゆうてん寺」、(左面)「是より左九ほんぶつ」と刻まれており、かつての道しるべとして使われてきたことがわかります。
こちらのお地蔵様は子育てや眼病に霊験あらたかということで、お参りしにくる方も多いとか。さらに商店街にはまだこんな古い建物が残されていました!
街灯もちょうど写っていますね。目黒平和通りもそうですが、目黒区内には実に個性的でレトロな商店街がまだまだ残っています。
皆さんもぜひ、観察の旅に出てみてくださいね。
王田土人さんの作品をまとめた可愛い作品集も販売
ギャラリーに展示された作品(原画)はその場で購入可能。さらに「絵で見る大井町線の街灯」「絵で見る世田谷区の街灯」をまとめた作品集、ステッカーも販売されていました。
作品集はジャバラ折りになっており、表側は昼間の街灯、裏側は夜の街灯の作品がまとめられています。
「gallery yururi」で個展開催期間中、王田土人さんと一緒に歩く”夜の街灯巡り”も開催されました。
参加された皆さん、いろいろな発見があった様子。街灯は夜に灯され、商店街の表情を彩るものです。
せかせかと家路を急ぐばかりではなく、昼間とは違った街の様子を楽しむ時間として街灯に注目するのもおもしろいなと思いました。
「街歩きが大好き」「地元の商店街を愛している」という方にとっても魅力的な展示会。私もいままで街並みを全体としてとらえていることがほとんどでしたが、今度はぜひ街灯にも注目して歩いてみたいと思いました。
■取材協力
王田土人(オウタ ツチヒト)
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