【目黒区】幅広い世代が集まる古くて新しいコミュニティ酒場「立呑み 鉄砲玉」、早くも人気店になっています
2022年8月5日(金)、学芸大学にオープンした「立呑み 鉄砲玉」。地元ではかなり注目されていて、連日大勢のお客様が訪れているそうです。
【目黒区】のん兵衛にはたまらない!学芸大学では珍しい全席スタンディングの居酒屋「立呑み 鉄砲玉」が8月5日(金)にオープン
今回、お店がオープンする前の時間帯にお邪魔し、大将である正木勇貴(まさき ゆうき)さんにインタビューすることができました。お店オープンまでのいきさつや人気メニューなどについてご紹介したいと思います。
気が付いたら若者だけ、年配者だけが集まる飲み屋ばかりになっていた

「立呑み 鉄砲玉」の大将・正木勇貴さん
「立呑み 鉄砲玉」の大将・正木勇貴さん、学生時代は野球に打ち込むスポーツ少年。実家は高知県で、割烹料理店を営むご両親のもとで育ちます。
高校卒業後、地元の料亭に就職するものの20歳で上京。六本木ヒルズの「焼きとり 八兵衛」などで腕を磨きました。
その後、高知に一度戻ったそうですが25歳の頃に再び東京へ。学芸大学の「立呑み晩杯屋(現在は閉店)」の立ち上げに携わったことで、立呑み酒場の面白さに感銘を受けたそうです。
「晩杯屋の仕事をする前は、高価格帯のお店に集まる客層やサービス、経営などを見てきました。お店に来店する人は当然、高いお金を払って飲食できる人たち。
しかし、立呑み酒場には実にいろいろな人が来る。お金持ちもいれば、年金暮らしという人もいます。
若い人から年配者まで幅広い世代が集まり、分け隔てなく楽しくお酒を飲んでいく。知らない人同士がカウンターでつながり、それぞれ肩書や立場の違いを飛び越え、いろいろな話題で盛り上がっている。
古くて懐かしくて楽しい、立呑み酒場にはイマドキの飲食店にはない、ワクワクするような活気にあふれていたんです」と正木さん。
「最近の飲食店を見ていると、ターゲットを明確に絞り過ぎていて“若者だけが集まる店”“大人だけが楽しい店”というように、いろんな世代が縦に繋がるような場所が少なくなっている気がします」。
私自身、数十年前に広告制作会社で働いていたことがありました。当時の酒場は新しい出会いとコミュニティが自然発生する場。
居酒屋で偶然知り合った人と一緒に仕事をする、趣味の草野球チームをつくる、などが日常で、お酒を飲むことは遊びと仕事の延長でした。しかし、最近ではすっかりそういう機会が失われていると、私も感じています。
なぜか立呑み屋が根付かない学芸大学で、あえて正統派の立呑みに挑戦する「鉄砲玉」
立呑みの魅力はさっと飲んで、さっと帰れるところ。仕事帰りや食事前の景気づけに、友人との待ち合わせにもぴったりです。
数十年前、大阪・梅田で初めて立呑み酒場に行き「こういう店が東京にもあったら」と思ったことを覚えています。
これまで学芸大学ではなぜか“立呑み”が根付かなかったそうです。立呑みスペース以外にもテーブル席やベンチシートなども設けてあり、「鉄砲玉」のように立呑み席だけで勝負する店は駅周辺では見かけません。
お店をオープンしてからお客様の動きはどうなのでしょうか。
「今のところ、15時にお店を開けてどの時間帯も比較的途切れずに、いろいろな顔触れのお客様が来店してくださっています。
一応、お1人様ワンドリンク、ワンフードの注文、混雑時には1時間で切り上げるなどのお願いは掲示していますが、実際はお客様の判断にお任せしている」と正木さん。
数千円飲んで、食べてさっと帰る方もいれば、1万以上も使って帰る方も。混雑してきたら会計して、後から来たお客様に席を譲るなど、皆さん自然に振舞っていらっしゃるようです。
腰を落ち着けてじっくり飲むのもいいですが、こういうお店でワイワイ楽しく飲んで、気持ちよく帰るって面白い、と感じる方は意外にいらっしゃるという印象を受けました。
「鉄砲玉」が学芸大学に立呑み文化を根付かせてくれるのではと、期待しています。
「立呑み 鉄砲玉」のイチオシメニューを頂きました!
鉄砲玉の看板メニューは「マグロ刺し」です。正木さんは「鉄砲玉」オープン前、マグロ専門の立呑み屋「おぐろのまぐろ 池袋ロサ店」の店長を務めていました。
豊洲市場直送、マグロの目利きが仕入れる本マグロがウリのお店。この時の人脈を活かして「鉄砲玉」では希少な“生のマグロ”を仕入れることができます。
毎日入荷した本マグロの様々な部位をお刺身に盛り合わせて提供。取材した日は大トロに限りなく近い中トロと赤身をいただきました。
上品な脂のトロとさっぱりとした赤身。冷凍物に比べ、舌触り、奥行きのある味わいが格別でした。

牛モツ煮込み
そしてもう一つのおすすめメニューは「名物 牛モツ煮込み」。まだ開店前ということで煮込みが足りないと正木さんはおっしゃいますが、これがかなりおいしいです。
モツをていねいに下ごしらえしているのがわかります。普段、あまり肉類を好んで食べないのですが、この牛モツ煮込みは別格でした。
「鉄砲玉」では一味唐辛子と七味唐辛子を用意しているので、好きな方を選んで牛モツ煮込みにかけていただけるのは嬉しいですね。
ちょっと珍しいのが「枝豆より美味しい浸し豆」。使用しているのは長野県産のくらかけ豆です。
くらかけ豆とは馬に鞍をかけたような模様が特徴の青大豆のこと。生産量が少なく、スーパーなどではまずお目にかからない希少なものです。
海苔のような風味と大豆本来の甘みがあるといわれていますが、ともかく豆の風味がしっかりしてて、味わい深いやさしいおいしさ。お出汁がしみていて食べ始めると止まらなくなりました。
メニューを見ていてすごく気になったのが「パリパリピーマン」。正木さんのご厚意でちょっぴり試食させていただきました。
水と塩に漬けてパリっとさせたみずみずしいピーマンに、豚肉と2種類の味噌で手作りした“肉味噌”をつけていただきます。
本当にピーマンがパリパリでびっくりするくらい!瑞々しい歯ごたえに感動しました。
肉味噌も風味がよくこれだけで酒の肴にピッタリだと思ったら、やっぱりいらっしゃいました!肉味噌だけ注文するお客様。呑兵衛の考えることはみな同じです。
この他、酒盗ポテトサラダや鯛ちくわ磯辺揚げ、豚の唐揚げ(どろソース)なども人気。ダシ巻き玉子を注文すると目の前で焼いて出してくれるのは、料亭などで腕を磨いてきた正木さんならではです。
定番メニューの他、その日のおすすめはホワイトボードに手書き。お値段を見ても学芸大学とは思えないリーズナブルさです。
人気のドリンクは3種類のサワー、2杯目も気軽に頼める“なかのお代り”システム

写真向かって左から玄米茶割り・生レモンサワー・高級梅干しサワー
「鉄砲玉」では2杯目“なかのお代り”が頼めるシステム。なかが頼める生レモンサワーや最高級梅干しサワー、玄米茶割りは人気のドリンクとなっています。
生レモンサワーの1杯目は430円(税込)、2杯目は250円(税込)とかなりリーズナブル。人気があるのもうなづけます。
私が気に入ったのは「最高級梅干しサワー」。ごろりと大きい梅干しと梅シソが入っています。
梅の香り、風味が素晴らしく、少しずつ果肉をつぶしながらいただきました。おそらくもう2杯、“なかのお代り”いけます。
玄米茶割りは“なかのお代り”を想定し、あえてティーバッグで提供。抹茶も入っているのでグリーンのグラデーションがきれいです。
そしてもう1杯、ユニークなのがすだちポン酢サワー。

すだちポン酢サワー
これが意外においしくてびっくりです。すだちを絞って香りをプラスするととってもさわやか。
暑い夏、元気がでますし、脂っこいメニューと合わせてもいい気がしました。
日本酒は1合から、オリジナルロゴを入れた徳利と枡で提供。
おいしいマグロ刺しにはやっぱり日本酒が合いますよね。
麦焼酎は「情け嶋」、芋焼酎は「明るい農村」をラインナップ。もちろん生ビールもあります。
名店で腕を磨いてきた正木さんならではのこだわりや工夫のあるメニュー。居酒屋らしい気取らないラインナップですが、器や盛り付け、下ごしらえ、味付けなど、隅々まで目配りが行き届いたものばかりです。
舌の肥えた方でも満足させる凄い“立呑み”が誕生しました。わざわざ学芸大学に足を運びたいと思わせる「立呑み 鉄砲玉」。
女性1人でも気兼ねなく楽しめそうです。皆さんもぜひ、訪れてみてはいかがでしょうか。
★「立呑み 鉄砲玉」に続いて自由が丘にも立呑み中華 起率礼」オープン★
■取材協力
立呑み 鉄砲玉
↓「立呑み 鉄砲玉」がある場所はこちらになります。