【目黒区】中目黒公園で開催された「めぐろ水防フェスタ」を突撃取材!楽しみながら風水害への備えが学べる参加型・体験型のイベントで大盛況
2023年5月14日(日)、目黒区中目黒公園・健康とスポーツの広場で初めての参加型・体験型イベント「めぐろ水防フェスタ」が開催されました。
目黒区防災課の方に話をうかがったところ、VR防災体験車や普段は立ち入りできない目黒川船入場調節池の見学会、はしご車乗車体験など、多くの方が関心を寄せているとのこと。
早速フェスタ当日の様子をご紹介していきましょう!
風水害への備えを中心に、楽しみながら防災意識が身に付く展示がたくさん!
9時30分から始まった「めぐろ水防フェスタ」。私も開始時間におじゃましましたが、すでに会場にはたくさんの方々が!
今回のようなフェスタ形式の防災イベントは初めてということで皆さん、楽しみにされていたようです。
新型コロナウイルス感染症が5月8日(月)より5類へ移行し、少しずつ日常を取り戻しつつあります。そんな中で企画されたフェスタ形式の防災イベント。

目黒区長・青木英二さん
いざというときに役立つ防災に対する知識や、どのように行動したらよいのかを経験として体感できる。自分自身やご家族を守る実践的な風水害対策が学べる。
そんな1日になったらと目黒区長である青木英二さんからのご挨拶がありました。
集中豪雨や台風による浸水にどう備えて対応する?下水道が逆流する可能性も!
まず1か所目の展示は「東京都下水道局」です。このところ毎年のように起きている集中豪雨や台風による浸水被害。
2019年の台風19号による多摩川の氾濫は記憶に新しいところです。世田谷区にある知人の家では玄関から浸水を防ぐため、急遽土のうを置くなど対応に追われたと話していました。
ブースでは実際に雨水が溜まり、外開きのドアが開かなくなる実験を体験。水深10㎝で平均水圧は3.5㎏(50㎏/㎡)、20㎝で14.0㎏(100㎏/㎡)とかなりの圧力がかかり、思っている以上に大きな力がないと開きませんでした。

雨水流入模型「雨ますくん」
外開きドアなら成人で10~20㎏、高齢者・子どもでは最低4~6㎏までの水圧なら開けられるそうですが、それ以上になると厳しくなります。
道路よりも低いところ(半地下・地下室など)にドアの入口があると水が溜まり、いざというときに逃げられなくなってしまいますのでご注意を。
川の近くに住んでいなくても下水道管が逆流してあふれ出し、浸水することもあります。下水道管は汚水だけではなく雨水も流しているからです。
日頃から下水道管の周りをふさがないよう落ち葉などを掃除しておく、物でふさがないなどを心がけて欲しいとのことでした。
おすすめの降雨情報システム「東京アメッシュ(R) 」
雨の降り具合を10段階で色分けしてリアルタイムで更新。過去2時間分のデータも再生できます。
お出かけ先でも気軽にチェックできるので便利です。パソコン版・スマートフォン版の2種類ありますのでぜひ覚えておきましょう。
災害時の避難行動を“見える化”する「東京都総合防災部」が提供している「東京マイ・タイムライン」
皆さん、「東京マイ・タイムライン」を御存じでしょうか。こちらは東京都が制作・提供しているもので、災害時にどのような行動をとるべきかあらかじめ決めておくためのキットです。
「東京マイ・タイムライン」の中にはガイドブック、貼りはがしが可能な「行動」シール、マイ・タイムラインシート3種類(台風が近づいているとき・大雨が長引くとき・短時間の急激な豪雨が発生するとき)、気象情報や避難情報などが取得できる情報一覧、作成例が入っています。
日頃から自治会・町内会で避難訓練を行い、参加しているという方もいらっしゃるでしょうが、実際の災害時には周りの環境などもガラリと変わります。夜ならどうなのか、妊婦さん、小さなお子さんがいる、高齢者である、ペットがいる・・・など、各ご家庭によっても事情はさまざま。
誰かに行動を決めてもらうのではなく、ご自身の判断で具体的にどのように行動するのかを決めておくのが「マイ・タイムライン」です。もちろん一度決めればそれでOKではなく、繰り返し見直して、手を加えていくのがベスト。
初めて使うという方向けに「東京マイ・タイムライン作成ナビ」もありますのでぜひ活用してみてはいかがでしょか。
ブースでは風水害時の被害状況をリアルに体感できるVR体験も行っていました。
臨場感あふれる映像で、室内に水があっという間に浸水してくる様子をわかりやすく伝えています。
風水害時は自分の身は自分で守るという“自助も大切ですが、ご近所同士の“共助”という視点も大切。
先日、目黒区の有志で立ち上げて活動を続けている「チーム防災めぐろ」主催で行われた「風水害24体験会」では、大規模風水害の接近から直撃・通過までの24時間を、ロールプレイングゲーム形式でリアルに体験できるという内容でした。
町内会単位で自助・共助をリアルに実践できる、こういった試みも有効ですね。
マイ・タイムライン作成に役立つ「水害リスクマップ」
自分たちの地域で想定される水害リスクを確認するには、目黒区が作成しているハザードマップが役に立ちます。
また、地域の水害リスクを確認できるツールの一つとして、「東京都防災アプリ」で「水害リスクマップ」を配信。GPS機能と連動し、現在地の河川の氾濫・高潮による浸水や土砂災害などを手軽に確認することができます。
私自身も「チーム防災めぐろ」主催の「要配慮者目線で考える避難訓練」に参加し、実際に中目黒スクエアから中目黒公園までの避難を体験しましたが考えていることと、実際に行動することは大違いであることを痛感。
皆さんもぜひお子さんと一緒にまち歩きを楽しみながら、ご自宅の周りに潜むリスクをチェックしておくのをおすすめします。
災害時に出る大量のゴミはきちんと分別して処理を!「目黒区清掃事務局」
地震や風水害で浸水被害を受けるとその後に出るのが大量のゴミ。東日本大震災で甚大な被害を受けたのですが、それを上回る被害だったのが2022年3月に起きた福島県沖地震です。
家のサッシが割れ、給水管が壊れ、屋根の軒下・壁が壊れて床も歪みました・・・。古い蔵2棟は全壊判定を受け、明治時代から整理されずにしまってあった大量の荷物はほぼ全部ゴミとして廃棄することに。
何度も福島へ帰省し、不燃物・可燃物・ガラス・陶器などにすべて仕分けし、廃棄するまでに2年もかかってしまいました。
災害後に出たゴミを分別せずに勝手にいろんな場所へ廃棄してしまう事例が各地で続出。ほおっておくと緊急車両の通行を妨げる、悪臭や害虫が発生する、火事になるなど二次被害が出る恐れも。
災害時には臨時集積所が設けられる予定ですので、廃棄する場合は自治体からのアナウンスや指示に従うようにご協力をお願いします。
実は最近、ゴミの収集でとても困っていること。それはリチウムイオン電池やモバイルバッテリーなどが燃やさないごみや資源ゴミ(プラスチック製容器包装)に混ぜて排出され、清掃車や処理施設で火災が発生している問題です。
【目黒区】リチウムイオン電池などの小型充電式電池等を回収しています。プラスチック製「容器・包装」のリサイクル工場での火災事故防止にご協力を
目黒区では専用の回収場所を設けていますのでゴミに混ぜて捨てないようご協力をお願いします。
また、ゴミの減量やリサイクルを推進するため、新たに資源として回収するプラスチック製品が増えました。
7月1日(土)からスタートしますのでこちらも合わせてチェックしておきましょう。
浸水被害にあわないために「目黒区防災課」「目黒区都市整備部」
目黒区防災課ではハザードマップや防災行動マニュアルを配布。
お隣の「目黒区都市整備部」では目黒川の水位が上がり、避難が必要な場合に鳴るサイレンについて実際にどのように知らせるのかも紹介しました。
目黒川沿いに12ヶ所、水位警報用のスピーカーを利用してお知らせしています。
目黒川は船入場に調節池が出来て以来、氾濫することはめったになくなりました。しかし、支流や下水道の逆流などで浸水被害が発生する可能性は常にあります。
そこで、緊急用土のう設置場所についての紹介もありました。
まち歩きをしていると、公園のそばなどにこのような土のう保管箱が置かれているのを目にします。いざというときのために、場所を把握しておくといいですね。
また、土のうステーションまで行けない場合は、ご自宅にあるもので簡単に土のう代わりのものを製作することができます。
上写真はゴミ袋に水を入れてつくった土のう代わりになるもの。段ボール箱や植物用のプランターなどに入れると浸水を防ぐ堰止めとなります。
ブルーシートなどがあれば、外側全体を覆い、隙間を作らないようにするとより効果的とのこと。有事に備えて覚えておくと便利ですね。
お隣のスペースでは、実際に土のうづくりを体験できるコーナーもありました。
高所の消防・救助活動で大活躍する「はしご車乗車体験」
今回のフェスタで注目を集めていたプログラムの一つがこちら「はしご車体験」。都心部では高層マンションなどが増えていますが、万が一火災や地震が起きた時にどのように避難するのか気になりますよね。
最も短いもので15m級、最長で50m級のものがあるそうです。通常では30~40m級(マンションの11階程度に対応)のものを備えている消防署が多いとか。
人を乗せるバスケットやリフターが設置されていますが、通常は2名までが搭乗可能となっています。今回の体験では2名乗り(お子様連れの場合は3名)のものでした。
動画をご覧いただければわかると思いますが、ともかく高い、高い・・・。
乗車体験枠は20組40名と狭き門。事前申込制で抽選により参加者を決定しました。
360度の立体映像と揺れなどで、風水害のリアルな疑似体験ができる「VR防災体験車」
今回のフェスタで注目を集めていたもう一つのプログラムは「VR防災体験車」。こちらは東京消防庁からお借りしたもので、最新のVR技術を活用した“これまでにない臨場感あふれる防災訓練”を体感できる車となっています。
専用ゴーグルを装着し、360度の立体映像とシートの揺れ、風圧・熱などの演出でまるでその場にいるかのような災害疑似体験が可能。いざという時のために、命を守るための行動を身に付けることができるようになっています。
船入場調節池の取材などがあり、実際に体験することが出来なくて残念。
目黒川船入場調節池に特別潜入!地下神殿のようなスゴイ施設を見学しました
目黒川の氾濫対策として船入場に設けられている地下箱式調節池。今回のフェスタではこの調節池の内部を特別に見学できるツアーを実施しました。
事前申込制でこちらもすぐに枠が埋まってしまうほど、大きな関心が寄せられていたプログラム。取材を兼ねて特別に同行させていただきました。
一般の方は立ち入りできないということで、こちらの見学会に参加された方は、私を含めとても貴重な体験をされたことでしょう。
事前予約制で「地震体験車(起震車)」の出向も行っている目黒区
続いて大きな地震の揺れを実際に体感できる「地震体験車」のコーナーへ。トラックの模擬ハウス部分に乗車し、地震の揺れを最大で震度7まで体験できるというものです。
幸いなことに2022年福島沖地震(実家のある桑折町では震度6強)を私は体験していませんが、家族は命が縮まる思いをしたといっていました。もちろん立って歩くこともままならなかったそうです。
こちらは模擬的な体験ですが、地震のすさまじさを体感しながらどのような行動をとったらいいかをその場でアドバイス。経験から学ぶことができるので、記憶に残りますね。
各ご家庭で食器棚やTVモニター、本棚などの地震対策、避難経路の確保を考えるよいきっかけとなったのではないでしょうか。
目黒区ではこの地震体験車(起震車)を所有しており、区内の町会や学校、事業所、区内に主な事務所がある団体等からの要請に応じて出向を行っています(事前予約制)。マンネリ化しがちな避難訓練でぜひ取り入れて、より実践的な避難行動に結びつける工夫をされてみてはいかがでしょうか。
水害時に溜まった水をスムーズに川へ戻す「移動式排水ポンプ車」の展示
排水ポンプ車は、河川からの溢水や内水氾濫水が発生し、水が溜まってしまった場所の排水を行うための車です。
展示されていた移動式排水ポンプ車はいすゞエルフをベースに改造したもので、水中ポンプや投光器、発動発電機など必要機材を備えています。消防ポンプ車よりも多くの水を排水できる能力があるということで頼もしい存在。
こちらの移動式排水ポンプ車は東京都建設局の所有しているものですが、要請に応じて目黒区へも出動してくれるとのことでした。
台風や集中豪雨による目黒川の氾濫は、目黒区内にある船入場調節池と品川区内にある荏原調節池のおかげで、かなり軽減されていますが油断は大敵。いざというときのバックアップ体制があると安心できますね。
甚大な被害をもたらすような自然災害時にお世話になる「自衛隊」のブース
東日本大震災や大型台風で甚大な被害を受けた場合、自治体だけでは対応できないことがあります。そんな時にお世話になるのが自衛隊。今回は「自衛隊五反田募集案内所」が出展していました。
災害救助で使われる工具類の他、避難用のボート、専用車両などを展示。

高機動車
高機動車は10名乗りで、後輪が前輪と逆方向に動く4WS。小回りが利くと同時にタイヤ空気圧調節機能により、悪路でも走行できる(タイヤがパンクしても走れるそうです)というすぐれものです。

軽装甲機動車
そしてこちらは軽装甲機動車。4名乗りで戦略機動や戦場機動などに使用されるものだそうです。こちらの車、中は見学できませんでした。
この他、オフロードバイクも展示されており、またがって記念撮影もできました。お子様に大人気!
その他、協賛企業や自治会による展示も大盛況!
かなり盛りだくさんな内容のため、残りは少々駆け足でご紹介します。

「東京電力パワーグリッド」の展示ブース
「東京電力パワーグリッド」では低圧電源車の展示と感震ブレーカーの展示。災害時に電気関係の火災を防ぐためのしくみなどを紹介していました。

「トヨタモビリティ東京」の展示ブース
「トヨタモビリティ東京」では目黒区と連携。災害時の電力供給に必要な給電車両貸与協定と、帰宅困難者一時滞在施設としての協定を結んでいます。
帰宅困難者一時滞在施設は「目黒碑文谷店」「目黒本町店」「レクサス目黒」となっています。覚えておくと助かりますね。

「NTT東日本」
「NTT東日本」では災害用伝言ダイヤル171体験を実施。災害用連絡シミュレータも体験できるようになっていました。

「東京葛飾福祉工場」
「東京葛飾福祉工場」は家庭用の備蓄品を展示。非常時に備えて各ご家庭の人数に合わせて何をどれだけ備蓄しておくか考えておくのも重要ですね。

「気象庁・東京管区気象台」
「気象庁・東京管区気象台」のブースでは風水害に関する資料やパネル展示を実施。雨量を図る「転倒ます型雨量計」、中がどうなっているかを普段は見ることができません。
しかし今回は中の雨量計を実際に見ることができました。どのように雨量を計測しているかも詳しく教えていただき、大変興味深かったです。

「東京ガスネットワーク」
「東京ガスネットワーク」ではマイコンメーターの復旧体験を実施。地震などの災害で止まってしまったガスを復帰させる手順を学ぶことができました。

「東京都水道局」
震災で水道管が破裂して水が使えなくなるのを防ぐため、「東京都水道局」では地震でも抜けない水道管を展示。
地震である程度揺れても抜けないように“遊び”を設けた水道管で、現在こちらのものに順次置き換え中とのことでした。
この他、背負える応急給水袋を紹介。3リットル、6リットルの水を入れて実際どのぐらいの重さになるのかを体験させていただきました。

中二北町会・田道町会
中二北町会・田道町会では小型の消防用ポンプ排水体験を実施。ちなみにこちらは各町会に初期消火対策として配備されています。
当日は「防災体験スタンプラリー」も行われ、対象ブースで防災知識を学ぶとスタンプがもらえるようになっていました。スタンプを4個以上もらうと防災グッズをプレゼント。
お子さまも楽しみながら防災に関する知識を学ぶことができたのではないでしょうか。
頭ではわかっていても、実際に災害が起きた時に冷静に正しい判断をするのはとても難しいもの。行政からの助けを待っていては、ご自身やご家族の身の安全を守ることはできません。
こういった参加型・体験型の防災イベントに参加したことをきっかけに、各ご家庭で災害時の避難手順や防災対策、備品の見直しなどをぜひ行ってみてはいかがでしょうか。
★2024年「めぐろ水防フェスタ」開催決定★
【目黒区】2024年も「めぐろ水防フェスタ」が5月12日(日)中目黒公園で開催決定、VR風水害や起震車体験などリアルな防災対策が学べます
■取材協力
↓「めぐろ防災フェスタ」が開催された中目黒公園の場所はこちらになります。