【目黒区】本好きには吸い込まれてしまうような魅力がある「古本遊戯 流浪堂」、学芸大学駅高架下・GAKUDAI PARK STREETに復活
焙煎から抽出までぜ~んぶ!自分で淹れて自分で飲む「めんどくさいカフェ」として都内各地に出没しているしばやすさんから、学芸大学駅近くに紹介したい古本屋さんがある、という情報をいただいたのが2024年7月頃でした。
学芸大学駅近くの流浪堂という古本屋さんはご存知ですか?
数年前、お店が入っていたビルが老朽化で取り壊しになりお店もなくなってしまったのですが、先週、学大高架下に再びお店を開いた、と連絡があり、これはぜひ紹介していただきたいと思ってご連絡した次第です。
私は立ち読みや、店主の二見さんが鷹番住区センターで企画してくださる上映会ばかりが目当てで、決していいお客さんではなかったんですが、お店がなくなってみると、とても寂しくて。
流浪堂は街の中で貴重なオアシス的スポットでした。戻ってきてくれて(しかも元のお店の近くに)ホントに嬉しいです。もしよかったら、行ってみてください。
なかなかおじゃまできずにいたのですが、つい先日ようやく訪れることができたのでご紹介したいと思います。
自由に並んでいるようできちんとルールがある「流浪堂」のスタイル
図書館や一般的な本屋さんなら、きちんと分類されて「あいうえお」順に並べられています。しかし、流浪堂はパッと見、「自由」に本が並べられていてどこに何があるか一目で把握することはできません。
なんとなく店内をぶらぶらしていると、この棚にはこのテーマの本が集まっている、というのがだんだんわかってきます。
そしてランダムに並べられているようで、実はディティールまで計算し尽くしてディスプレイされていることも。本好きにとってはとてもワクワクして、何時間でもここにいたいと思わせるような、心憎い演出です。
「こんな並べ方見たことない」でも、こんな風に本を飾り、見せることができたらと羨望のまなざしでじっくりと回遊してしまいました。
元バンドマンで定職につかず、フラフラしていたのでつけた店名が「流浪堂」
店主である二見彰さんに店名の由来をうかがったところ
「流浪堂の由来はちゃんとしたものは特にないのですが、店主である僕がバンドをやっていたこともあり(自分の性質もあり)、定職につかずフラフラ風来坊でしたので、店名は流浪なんていいなあと思っていました」とのこと。
音楽に明け暮れていた頃は本と無縁の生活だったという二見さんですが、20代後半にバンドを辞めて、先輩が働く古本屋を手伝うように。
そこで古本の面白さに目覚めて、自分でもやってみようと思い、2000年に自分のお店を開いたそうです。しかし、建物の老朽化のため2022年に休業。
約2年の歳月を経て2024年に再出発したのがここ、学芸大学駅高架下から碑文谷公園へと続く「GAKUDAI PARK STREET(旧・学大小路)」内でした。
訪れるお客様の顔を想像しながら、本を並べ、棚を作っていくという「流浪堂」
「流浪堂」では店主である二見さんの好みがありつつも、町のお客様の顔を想像しながら仕入れているとのこと。在庫のほとんどはお客様からの買取で、ここ学芸大学という街で暮らす人たちの生きざまや魅力が感じられるラインナップになっています。
かつて街中にあった本屋さんはどんどん姿を消してしまいました。「この本を探すなら、○○書店」というようにお気に入りの本屋さんもなくなり、宝探しのように新しい出会いを求めて本屋を回遊するという楽しみも減ってしまったように感じます。
二見さんの新しいお店は本棚を「箱」のようなイメージで、職人の方にオーダーしてつくってもらったそう。その中にテーマやキーワードが近いサイズ違いの文庫本や大判のアートブックなどが集められ、一つの世界観を創り上げています。
隣り合う「箱」はあえて統一感を持たせず、無造作に並べていると二見さん。そうすることで、新しい発見や出会いがあったらと、これまた憎い演出となっていました。
本だけではなく映画上映イベント、音楽ライブ、ギャラリーでの個展も
「流浪堂」の中にはギャラリーがあって、そこで定期的に個展も開かれています。自分の店ではなく、みんなの店でもある。気持ちの拠り所となるような場所でありたいと二見さん。
本を買わずに眺めてみるだけもいい、ちょっと孤独を感じた時にホッとできる場所、「流浪堂」はそんな場所であり続けたい。二見さんの想いや優しさ、誰でも受け入れてくれるような温かさが感じられる場所でした。
お店の棚にキャスターを付けて可動式にしたことで、店内のスペースを広く開けることができるようになった「流浪堂」。映画の上映会や音楽ライブ、落語の寄席、お芝居なども定期的に開催されています。
気になるイベント情報は「流浪堂」の公式Facebookで常に発信していますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
「めんどくさいカフェ」のしばやすさん、情報ありがとうございました!
■取材協力
↓「古本遊戯 流浪堂」の場所はこちらになります。