【目黒区】最後に思いがけないサプライズが待っている!?ホテル雅叙園東京「ミニチュア×百段階段 ~文化財に広がるちいさな世界~」

ミニチュア×百段階段
~文化財に広がるちいさな世界~

新宿大ガードの風景

東京都指定有形文化財「百段階段」のあるミュージアムホテル「ホテル雅叙園東京」。季節ごとにテーマを変えた展示会は、毎回斬新な切り口で訪れる人を魅了しています。

この春はなんと極小サイズの技巧を凝らしたアート作品が大集結。「ミニチュア×百段階段~文化財に広がるちいさな世界~」が2025年3月9日(日)まで楽しめますよ。

精巧につくられたアンティークなドールハウス。職人技に深い感銘を覚える小さな、小さなひな人形。まるで巨人になったかのような錯覚を覚える精巧につくられたジオラマ。

そして最後に自分が小さく縮んでしまう、「不思議の国のアリス」の世界へ。さっそく今回の展示会の様子をご紹介していきましょう。

エントランスで出迎えてくれるのは“現代版 まんだら”の世界

ごちゃえクリエイター Mizuki Takamatsu

文化財「百段階段」へ昇るエレベーターを降りると、真っ先に目に飛び込んでくるのが“ごちゃ絵クリエイター”であるMizuki Takamatsuさんの作品。膨大な情報量を密度の高いごちゃごちゃした1枚の絵に描き切る「ごちゃ絵」と呼ばれる作風で楽しませてくれているアーティストです。

文化財「百段階段」の約90年の歴史を1枚で表現しています。過去(小さい人)から現代(中ぐらいの人)、そして未来(大きな人)まで入れ子状に描き、部屋ごとに繰り広げられてきた物語をドラマティックに伝えるという手法。

何が描かれているのか、時間をかけてじっくりと紐解いてみたい1枚に仕上がっていました。

料理や豆本、花、切子などミニチュアの饗宴が繰り広げられる「十畝の間」

十畝の間のミニチュア世界

大漁丸(ミニ厨房庵)

文化財「百段階段」の最初のお部屋は「十畝の間」。ここでは様々なミニチュア作品がぎっしりと展示されています。それぞれをダイジェストでご紹介していきましょう。

造本作家・佐藤りえさんの豆本

佐藤りえさんの豆本

文藝豆本 ぽっぺん堂の屋号で活動されている佐藤りえさん。2005年頃から手製本の創作活動を開始し、豆本から函入りの特装本まで手がける造本作家です。

細部までていねいにつくりこまれた豆本

本好きの方ならぜひコレクションしたい仕上がり。細部までていねいにつくり込まれた豆本の世界をじっくり堪能させていただきました。

ミニチュアアーティスト・田中智さんのお料理

田中智さんのミニチュア料理

質感やシズル感、まるで本物のようなクオリティのミニチュア作品を手掛けている田中智さん。2001年から制作を開始し、ミニチュア教室も主宰されています。

本物のお料理とのサイズの違い

お隣には本物サイズのオムライスが飾られているので、その違いは一目瞭然。ミニチュア作品に使用する素材はすべて1から手作りしているといいます。

今回の展示会では、ホテル雅叙園東京のおせち料理も再現しているのでぜひチェックしてみてくださいね。

ミニチュアアーティスト・Bonne Chance*yuri

bonnechance_yuri

1/12サイズのお弁当、コスメ、スイーツなどさまざまなミニチュアを制作しているBonne Chance*yuri(ボンチャンス ユリ)さん。コスメショップやアフタヌーンティー、ランドリーセットなど女性が心ときめくような作品となっています。

アフタヌーンティーやお弁当なども

粘土を使った淡い色合いで、不思議でかわいいミニチュアの世界を表現。思わずコレクションしてしまいたくなりました。

ドールハウス/ミニチュア作家・藤坂恵さん

ドールハウス・ミニチュア作家 藤坂恵さん

昆虫のミニチュア制作を中心に、ジャンルを問わず小さな世界を創り上げている藤坂恵さん。1997年からミニチュア制作を始め、2007年から地元徳島を拠点に作家活動を開始しています。

昆虫標本はピン刺しまで再現

主に実在する昆虫を1/12 サイズに樹脂粘土で制作。蝶やトンボなどの翅は左右対称になるよう1枚ずつカッターで切り出し、翅脈や模様などは本物と同じ数筆で手描きしているそうです。

標本として制作している昆虫には、きちんと虫ピンまで再現されています。

ガラス作家・増永元さん

ガラス作家・増永元さん

増永元さんは沖縄県在住の生物系ガラス作家です。主にバーナーワークという手法を用いて、ガラスによる小さなアート作品を制作。

ガラスの中にある砂粒まですべてガラスで表現しています。

生き物の環境ごと表現した作品

以前はウミヘビの生態研究者だったそうです。その生き物が暮らす環境や自然の営みまで感じさせるような素敵な作品でした。

ミニ厨房庵・河合行雄さん・朝子さん・ASAMIさん(ドールハウス・ミニチュア作家)

ミニ厨房庵

金属加工によるミニチュア鍋や調理器具等の制作を行っているミニ厨房庵の河合行雄さん。銅やステンレスなどを使い、本物以上に精密につくられている厨房器具などは目を見張るほど。

ミニチュアフード小物などとコラボ

河合朝子さん・ASAMIさんによるミニチュアフードやミニチュア小物とともに、オリジナリティ溢れる作品に仕上がっています。

ミニ切子作家・Megumi Hachinohe

アクリル棒を旋盤加工して作るミニチュア切子

アクリル棒を旋盤加工して作ったミニチュアグラスに彫刻を施すミニチュア切子を製作しているMegumi Hachinoheさん。もともとは陶芸教室で働いていた時に余った粘土で小さな急須を作ったのが、ミニチュア制作を始めるきっかけとなったそうです。

ミニ切子作家・Megumi Hachinoheさん

ミニチュアグラスは高さ1センチにも満たない小ささで、美しい色合いや艶やかさなど、本物そっくり。他のミニチュア作家さんとのコラボ作品も展示されていました。

ミニチュアフラワー作家・宮崎由香里さん

ミニチュアフラワー作家・宮崎由香里さん

ドールハウスに魅せられ、2002年からミニチュア制作を開始したという宮崎由香里さん。植物が好きで、花に特化した作品を多く発表しています。

お花や植物に特化した作品

樹脂粘土を使い、1/12スケールで作られるお花や植物たちは本物そっくりで、いきいきとした表情をみせています。ワークショップを開催するとすぐに満席になってしまうというのもうなずけますね。

ミニチュアハウスアーティスト・島木英文さんの世界に引き込まれる「漁樵の間」

ミニチュアハウスアーティスト・島木英文さん

続いて2つ目のお部屋「漁樵の間」では、遠近法を使ったミニチュアハウスを制作してきた島木英文さんの作品が展示されています。ミニチュア制作を始めたのは1998年からで、2006年に透視図法(遠近法)による制作を開始。

実物の建物の事前調査を行い、その計測を元に設計図を作成

すべてが木の箱に入っているのが特徴で作品は「箱舞台」と名づけられています。自然光のような陰影のある演出、角度を変えてみるとさまざまな発見があります。

「箱舞台」の中では、そこで暮らす人の生活感や息遣いまでが感じられるような作りに驚かされました。

暮らしの息遣いが感じられる

元建築士という経歴を生かして奥へ進むほど、天井は低く、床は高く、調度品は細く制作し、のぞいてみるとその奥行き感と、緻密な造作の世界を体感できます。実物の建物の事前調査を行い、その計測を元に設計図を作成するというこだわりよう。

唯一無二の作品を作り続けてきた島木さんですが、展示会が始まる少し前にお亡くなりになったとのこと。ご冥福をお祈りします。

街をまるごと作り上げたジオラマ作品が楽しめる「草丘の間」

「草丘の間」では大掛かりなジオラマや手の込んだジオラマ作品などを展示。圧倒的な存在感のあるミニチュア作品を楽しませてくれます。

千葉経済大学 模型部(ジオラマ)

秋葉原の街を再現

秋葉原大通りを再現

まず最初に千葉経済大学 模型部(ジオラマ)によるスケールの大きいジオラマ作品をご紹介。部員たちが手分けをしながら手作りし、千葉の観光PRや秋葉原のイベントなどでも注目を集めています。

千と千尋の神隠し

千と千尋の神隠し

株式会社さんけいが販売するスタジオジブリのミニチュアアートキットや、市販のNゲージスケールの建物、自作品を組み合わせて再現した「千と千尋の神隠し」の世界観。

横須賀軍港の風景

横須賀軍港の風景

1/700スケールで再現した横須賀軍港の風景など、毎年テーマを決めて制作に取り組んでいるとのこと。実際のものを正確に再現するのではなく、街の雰囲気を重視して作っているそうです。

街の賑わいや空気感がストレートに伝わってくるようですね。

ジオラマ作家/大学教授・青木敬士さん

苫小牧1975

2つ目は日本大学芸術学部文芸学科教授の青木敬士(けいし)さん。専門は文芸創作ですが、ボカロキャラを低コストで空間投影できる「アミッドスクリーン」を開発し、第1回ニコニコ学会βでクウジット賞を受賞するなど、「アミッドP」としても知られた存在です。

ジオラマ作品制作にも打ち込んでおり、今回は5歳の頃に見たふるさとの風景を再現した「苫小牧1975」を展示しています。どこか懐かしい“あの頃”が細部まで再現され、思わず見入ってしまいました。

ジオラマ作家・MASAKIさん

ジオラマ作家・Masakiさん

独特の世界観で圧倒するジオラマ作家・MASAKIさん。「水没ジオラマ」と名付けた作品は、水中にたたずむ廃墟などを立体的に表現しています。

暗いボックスの中で展示された作品

ホワイトワールド

2007年から模型制作を始め、ジオラマ作りは2008年から。作品は3Dプリンターを使って仕上げているそうです。

Life on the whales

Life on the whales

本業はCG(映像)制作をメインとしたお仕事ということで、映画やドラマのようなストーリー性の感じられる作品です。

今年のお雛様はミニチュアサイズで「静水の間」

名店七澤屋の雛道具・雛飾り

名店七澤屋の雛道具・雛飾り

2024年、4年ぶりに開催されたホテル雅叙園東京の「百段雛まつり」。今年はミニチュアの世界で雛祭りを表現しています。

【目黒区】圧巻の展示に息を飲む、「千年雛めぐり~平安から現代へ受け継ぐ想い~百段雛まつり2024」が3月10日(日)までホテル雅叙園東京で開催中

ミニチュアのお雛様や雛道具などを展示してくれたのは雛道具研究家・川内由美子さん。2024年の「百段雛まつり」でもコレクションを紹介してくださっていました。

七澤屋の雛道具のち密さに圧倒

江戸時代後期、上野池之端にあった玩具店「七澤屋」の贅を尽くした雛道具、雛飾り。手掘りで仕上げた切子のミニチュア、染付のミニチュアなどなど。

染付のミニチュア

目を見張るち密さで職人の技術の素晴らしさが実感できます。2025年は世界最小級の貝桶と合わせ貝 源氏物語45帖や季節のミニチュア、食べ物、食器、おもちゃ、お花などもラインナップ。

貝桶と合わせ貝

世界最小級の合わせ貝

世界最小級の合わせ貝の内側には精密な美しい絵が描かれていて、虫眼鏡持参でじっくり鑑賞したくなりました。

ドールハウスの魅力を堪能、和洋の競演が楽しめる「星光の間」

続いて「星光の間」へ。佐藤與市さんのコレクションしたアンティークドールハウスコレクションと、金魚のミニチュアをメインに制作している小林美幸さんの和のドールハウスをご紹介しましょう。

アンティークドールハウス コレクター・佐藤與市さん

チューダーハウス3階建て

チューダーハウス3階建て(イギリス、現代作品)

伊豆高原にある日本初のドールハウス博物館「プッペンハウスヨシノ」から、アンティークドールハウスを譲り受けたことからコレクションが始まったという佐藤與市さん。

約30年前からイギリス・ドイツ・スイス・オランダ・オーストリア・チェコ・フランスのドールハウスを展示しているミュージアムに足を運び、見聞を広げているそうです。

ハスケルハウス

ハスケルハウス(イギリス、1700年代後半、内装は1920年頃に修復)

日本のドールハウスは1人の作家がハウスから手がけることが多いそうですが、海外では分業により制作されているとのこと。それゆえインテリアや小物など、1つひとつのクオリティが高いと佐藤さん

ニュルンベルク キッチン

高い技術力で作られた「ニュルンベルク キッチン(ドイツ、1880年)」

アンティークハウスの世界には当時のその国の暮らしや食文化、風俗などが凝縮され、大変興味深いです。

ドールハウスはスケールに規定があり、1/12、1/24、1/48、1/144(ドールハウスの中のドールハウスのサイズ)と決められています。このため、オリジナルコーディネートでアレンジが楽しめるのも魅力の1つ。

ドールハウスにハマる人がいらっしゃるのも無理はありません。

今回展示しているコレクションの中でデンマークでつくられた「子沢山の家」は1935年につくられています。旧目黒雅叙園に3号館、つまり文化財「百段階段」ができたのと同じ年です。

キッチンの壁にミッキーマウス

子沢山の家(デンマーク、1935年)

家の中を見ると台所の壁紙に初期のミッキーマウスが描かれています。ぜひ、見つけてくださいね。

ミニチュアドールハウス作家・小林美幸さん

金魚カフェ

金魚カフェ

小林美幸さんは、1988年からミニチュア制作を開始。17年前に初めて作家としてショーに参加するにあたり、自分のオリジナルカテゴリーとして金魚を制作されたそうです。

浅草きんぎょ

浅草きんぎょ

現在では観賞魚等を中心に制作。樹脂粘土を使って彩色して、最後はレジンで固めて完成させているとのことでした。

水槽はかなり重いそうです

四季を感じる箱庭や苔盆栽、手水鉢など和の世界観が活き活きと表現されています。小さな水槽の中で泳ぐ金魚たち。なんとも躍動感があって見ごたえがあります。

金魚図鑑

金魚図鑑

実は水槽はかなり重くなるらしく、レジンで固める際に熱を持つため、サイズは展示されているものが限界なのだとか。

和のドールハウスにぜひ飾ってみたい作品となっています。

本の間のちいさな世界が繰り広げられる「清方の間」

清方の間は本の間のちいさな世界

美人画の大家、鏑木清方が手がけた茶室風のお部屋「清方の間」。こちらでは路地裏BOOKSHELF作家・mondeさんによる、本と本の間で繰り広げられる小さな世界が楽しめます。

旅に関する物語

旅に関する物語

上写真のテーマは「旅に関する物語」。向かって左はヨーロッパのカフェストリート、右はニューヨークジャズストリートです。

覗き込んでみると、街のさんざめきやその場の空気感が漂ってくるようで面白い。

昭和時代の物語

昭和時代の物語

「昭和時代の物語」では昭和の商店街が再現されるなど、本のすき間から垣間見える世界観がなんとも“エモい”演出です。この他に「酒と酒場に関する物語」も。

路地の奥へ、奥へと散策に出かけたくなりますね。

「頂上の間」では立場が逆転!?巨大なモノに囲まれる自分を味わって

頂上の間はAlice in ”WA"nderland

最後のお部屋「頂上の間」では、ジャンボフラワーアーティスト・MEGUさん(PETAL Design)の世界へ。MEGUさんは、生花では表現できない幻想的で超巨大なジャイアントペーパーフラワーを制作する、というジャンルを開拓し、「心に花を咲かせる」作品作りに取り組んでいらっしゃいます。

不思議の国のアリスのように

今回の展示会では「Alice in “Wa” nderland」というテーマで「頂上の間」を演出。今度は自分の体が縮んでミニチュアになったような気分を体感できるようになっています。

毎回、斬新な切り口で訪れる人たちを魅了し続ける、ホテル雅叙園東京の企画展。同じテーマでも予想の遥か上を行く内容にいつも驚かされてしまいます。

文化財「百段階段」のミュージアムショップ

文化財「百段階段」のミュージアムショップ

ミュージアムショップでは、ミニチュア作家さんの作品が一部購入できたり、ドールハウスキットなども。企画展の余韻を楽しみつつ、ぜひのぞいてみてはいかがでしょうか。

また、2025年3月20日(木・祝)からは「時を旅する福ねこat百段階段~平安、江戸、大正、昭和、そして現代へ~」が予定されています。こちらもまた次の機会にご紹介していきますね。

▼「ミニチュア×百段階段~文化財に広がるちいさな世界~」開催概要

【開催期間】2025年1月18日(土)~3月9日(日)、11時~18時(最終入館17時30分)
【開催会場】ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財「百段階段」
詳しくはこちら≫

■取材協力
ホテル雅叙園東京

↓「ホテル雅叙園東京」がある場所はこちらになります

Chikuwa

号外NETの広告出稿はこちら

号外NETメルマガ

号外netは持続可能な開発目標(SDGs)を支援します

号外netへの提供提供求む!