【目黒区】10月1日(水)から一時休館となるホテル雅叙園東京。めぐろ観光まちづくり協会主催「目黒観光講座」で訪れてきました

(2024年撮影)
一般社団法人めぐろ観光まちづくり協会では、会員向けに年に2回「目黒観光講座」を開催しています。今回は2025年9月17日(水)に行われた旧・目黒雅叙園時代から受け継ぐ東京都指定有形文化財「百段階段」の歴史、目黒川水質浄化対策の取り組みと水質浄化施設の見学の2本立てで行われた「目黒観光講座」に参加してきました。
折しも「ホテル雅叙園東京」が10月から一時休館となってしまうというタイミング。過去にも取材させていただいていますが、あらためて文化財「百段階段」の歴史などをおさらいできてよかったです。
まち歩きの様子を前編・後編に分けてご紹介していきましょう。
文化財「百段階段」で行われていた「和のあかり×百段階段2025~百鬼繚乱~」の間隙を縫って実施

東京都指定有形文化財「百段階段」(2024年撮影)
「目黒観光講座」でおじゃました時は、ちょうど文化財「百段階段」で休館前最後の展示会「和のあかり×百段階段2025~百鬼繚乱~」が行われていました。9月23日(火・祝)が最終日ということもあり、連日大勢のお客様で大混雑していた様子。
展示会は11時から開場ということでそれよりも前に入れていただき、文化財「百段階段」の歴史や見どころなどをご紹介いただきました。
取材してるのに新鮮な気持ちで聞けるのはなぜ!?旧・目黒雅叙園の始まり
まずは旧・目黒雅叙園の成り立ちから。創業者である細川力蔵さんが芝浦にあった自宅を改築し、庶民でも気軽に利用できる料亭として「芝浦雅叙園」を始めたのがその前身です。
2023年の12月に行われた企画展「懐かしく新しい“レトロ”を旅する 古今東西ニッポンの風景」で、文化財「百段階段」の「清方の間」にて「旧・目黒雅叙園」時代の貴重な写真や資料が展示されたのでご覧になった方も多いのではないでしょうか。
東京湾の埋め立てなどで財を成したという細川さんは、現在「ホテル雅叙園東京」がある場所に土地を買い求め、前身となる旧・目黒雅叙園をつくります。銭湯を経営していた細川さんは、旧・目黒雅叙園に100人同時に入れるお風呂(ラジウム温泉 百人風呂)も作ったとのこと。
日本料理・北京料理が気軽に食べられる料亭であり、お風呂にも入れる。今でいうスーパー銭湯のような存在だったようです。
「百人風呂」の件は今回初耳でした。
さらに訪れた方が本物の芸術品に気軽に触れ、夢み心地で過ごせる空間をと考え、作り上げた豪華絢爛の美的空間。当時訪れた人がどれほど驚いたか、目に浮かぶようです。
文化財「百段階段」、各お部屋の意匠にもまだまだ知らないことがありました
何十回と足を運んでいる文化財「百段階段」ですが、まだまだ知らないことがたくさんありました。
例えば下記写真の建具に使われている技法「青貝微塵塗(あおがいみじんぬり)」。
殻の内側が青みを帯びた虹色の輝きを放つ青貝を細かく砕き、漆で塗りこめ、磨き上げることで青く光ります。文化財「百段階段」が建てられた当時は周りに大きな建物はありませんでしたから、太陽の光が室内に注いで、それは美しく輝いたことでしょう。
そして「十畝の間」の天井にも注目。荒木十畝さんが描いた四季淡彩花鳥の天井画で有名ですが、絵をはめ込んでいる枠の部分をよーく見ると…。
1か所だけくっきりと模様が美しく浮かび上がっているのがわかります。

↑磨き上げた七宝焼きの装飾

↑輝きが失われている七宝焼きの装飾
こちらは七宝焼きで装飾しているそうで、年月を経て往年の輝きが失われてしまっていたものを1か所だけ磨き、かつての美しさを再現しているそうです。美しく磨きあげるのはとても大変だったとのこと。
続いて訪れたのは晴天時に富士山が見えた「草丘の間」。元々は2つのお部屋に区切られていたのを眺めをよくするために間の仕切りをなくしています。
そのことは前回取材して知っていたのですが、お部屋に痕跡が残されていることを教えていただきました。
この他にも絵が日焼けしないよう岩絵の具で描かれていること。「清方の間」は絵に合わせて天井を作ったことなどなど、知らないことも多かったので楽しかったです。
日本初の総合結婚式場として人気を博す「ホテル雅叙園東京」のウェディング会場へ初潜入

(2023年撮影)
豪華絢爛な美術品に囲まれた結婚式場で人気のある「ホテル雅叙園東京」。館内のあちこちに美しいフォトスポットがあり、親子3代に渡り、ここで結婚式を挙げたという方も多いそうです。
旧・目黒雅叙園が総合結婚式場を始める前までは、神社で結婚式を挙げ、料理屋やホテルに移動して披露宴を行ってきました。移動も大変で費用も掛かるため、1か所ですべてまかなえるようにしたら便利だと考えた細川さん。

「ホテル雅叙園東京」結婚式場入口
出雲大社から御霊を勧進した神殿を館内につくり、直営の写真館・美容室・衣裳室を設けた「総合結婚式場」としての仕組みを造り上げました。

旧・目黒雅叙園時代の結婚式リーフレット(2023年撮影)
2023年12月の企画展で撮影した旧・目黒雅叙園時代のリーフレットを見てみると、「森嚴優雅な神前結婚式場2カ所」と書かれており、「豪壮華麗 且つ、その神々しさは 都下随一です。而も、どこよりも挙式料等は、お安く ご奉仕 申し上げております。」と書かれていました。
今回は、「ホテル雅叙園東京」の神前結婚式が行われる「大巳殿」「天穂殿」の2カ所を見学。まずは「大巳殿」から。

大巳殿
旧・目黒雅叙園時代の社殿を復元している「大己殿」。彩色木彫板(怒涛と群鶴、梅・紅葉など)、日本画(富士山図、その他)など豪華絢爛な美術品が飾られ、当時の面影を感じさせる豪華なつくりです。

天穂殿
もう1か所が「天穂殿」。こちらは紫と黒を基調としたスタイリッシュな空間です。

「天穂殿」つなぎの間
挙式前のつなぎの間も凛として、美しいつくりでした。
一般の人は足を踏み入れることができない場所なので、とても貴重な体験です。
大・中・小と規模に合わせた華やかな宴会場
「ホテル雅叙園東京」の宴会場は日本美の粋を尽くした和室宴会場の他、23のバンケットルームがあります。今回は和室宴会場玄関(竹林・鷲・牛若の入り口)を外側から見学させていただきました。
旧・目黒雅叙園の玄関を移築再現した絢爛豪華な空間。壁から天井一面、日本伝統の芸術美に包まれる唯一無二の空間は、フォトウェディングスポットとしても人気なのだそうです。
旧・目黒雅叙園に訪れた瞬間からまさに夢見心地になったことでしょう。「昭和の竜宮城」と称されたのもうなずけます。
普段はなかなか見ることができない「ホテル雅叙園東京」の結婚式場や宴会場も拝見できて、とても楽しかったです。
休館後のスケジュールや今後どのようになるのかは未定とのこと。また新しいニュースが入りましたら、ご紹介したいと思います。
■取材協力
↓「ホテル雅叙園東京」がある場所はこちらになります