【目黒区】「GAKUDAI PARK STREET」にある「CREPE by SIDER(クレープ バイ サイダー)」のスペシャルイベント“TESIO NIGHT”に行ってきた
「GAKUDAI PARK STREET」に2024年12月にオープンしたガレット&シードル専門店「CREPE by SIDER(クレープ バイ サイダー)」。フランス・ブルターニュ地方の本場の味、そば粉で作ったガレットとりんごの果実酒・シードルが楽しめるお店として、地元では注目を集めています。
そんな「CREPE by SIDER」では、定期的にイベントを開催。2025年4月21日(月)に行われた食と作り手をつなぐイベントシリーズ「On Your Side vol.2 “TESIO NIGHT”」にお招きいただき、自慢のシードルとガレットを取材用にご提供頂きました。
さっそく当日の様子をご紹介しましょう。
「CREPE by SIDER」の人気メニュー「ガレット・ソシス」でもおなじみ、「TESIO」のソーセージ
「ガレットソシス」とは、ソーセージをガレットで巻いたフランス・ブルターニュ地方にあるレンヌのストリートフードです。そば粉のガレットに、ソーセージを巻いたシンプルなお料理。
市場やお祭り、イベントがあるところには登場する地元では有名な屋台料理。「CREPE by SIDER」ではこの「ガレット・ソシス」に「TESIO」のソーセージを使用しています。
できるだけ本場の味を再現するため、香ばしいガレット生地に合うカンボジア産の生胡椒がピリッと効いた特別なソーセージをオリジナルで製造してもらっているそうです。
ドイツの伝統的製法で毎日職人が手作り、沖縄で人気のハム・ソーセージ専門店「TESIO」
「TESIO」の工房があるのは沖縄市、通称・コザと呼ばれるエリアです。戦後、米軍基地の門前町として発展してきたため、米国や中国、南米など40カ国以上の外国人市民が居住する、沖縄の中でもとりわけ国際色豊かなまち。
現在はアートと文化、音楽、エイサーの街として人気を集めています。そんなコザで工房を持ち、ドイツの伝統的製法で毎日手作りするハム・ソーセージが大人気の「TESIO」。
沖縄県産豚の仕入れから、挽き肉加工、腸詰め、包装、梱包までの工程を行い、2019年には本場ドイツで開催される国際品評会「IFFA」で金賞2つ・銀賞1つ、出品した3種全てにおいてメダルを獲得。
そして2022年には、なんと3種すべてで金賞を受賞!世界のお墨付きを獲得している実力派なんです。
今回は「TESIO」の代表である嶺井(みねい)大地さん、嶺井ひなのさんが沖縄より来店。ソーセージやハムづくり、お店にまつわるお話を聞きながら特別なシャルキュトリを愉しむイベントとして開催されたのが「On Your Side vol.2 “TESIO NIGHT”」というわけです。
「On Your Side vol.2 “TESIO NIGHT”」の幕開けはGALIPETTEのシードルで
まずはGALIPETTEのシードルで乾杯です。方向性の違うものをということで、私は「DOUX(黄色ラベル・スイート)」を、同行した家人は「EXTRA BRUT(緑色ラベル・ドライでビター)」をチョイスしました。
「水も砂糖も加えない」「100%りんご果汁」というブルターニュ伝統の手法を守り、職人の手によりゆっくりと時間をかけて発酵・熟成されているGALIPETTEのシードル。
ヨーロッパ17カ国で展開され、パリの人気ベーカリーや自然派カフェでも多く採用されている「新しい食中酒」として注目されているそうです。そして日本ではここ、「CREPE by SIDER」が独占輸入・販売しています。
GALIPETTEのシードル“DOUX(ドゥー/スイート)”

GALIPETTEのシードル“DOUX(ドゥー/スイート)”
“DOUX(ドゥー/スイート)” はアルコール度数も2.2%と控えめ。鮮やかな金色を帯びたシードルで、トフィーの香りと、爽やかでフルーティーなリンゴの風味が特徴で女性の人気が高いそうです。
苦みと甘み、のバランスが取れた品種のリンゴ(ジュドール、ケルメリエン、ドゥース モアンなど)を使用し、果実味、甘み、ほのかな酸味を残すため発酵期間を短縮しています。
りんごのやさしい甘味と蜂蜜、アップルパイのような風味・香り、後味もすっきりとしていて食中酒として最適。ワインとも違う、すーっと体に入っていく感じが心地良かったです。
アルコール度数が低いので昼飲みにも罪悪感なしですね。
GALIPETTEのシードル“EXTRA BRUT/ドライ&ビター”

GALIPETTEのシードル“EXTRA BRUT/ドライ&ビター”
そして、家人が選んだGALIPETTEのシードル“EXTRA BRUT/ビター・ドライ”。シャープな飲み口と、濃縮された果実味、ビターなタンニンが楽しめるシードルです。
甘さ控えめ、アルコール度数5.5%、りんごのイメージを覆すようなガツンと感が感じられました。ブルターニュ産のマリー・メナール、ドゥ・モアン、ベダンなど、約15種類の品種のりんごを長期間の発酵することで、深い味わいと高いアルコール度数を実現しているそうです。
ビールとは異なり、爽やかなフルーツ感とシャープな喉ごしが味わえる、初めてのおいしさでした。
そして今回飲まなかったGALIPETTEのシードル“BRUT/ビター・ドライ”。こちらはアルコール度数4.5%で、伝統的なシードルと現代的なシードルの完璧なバランスを表現。

GALIPETTEのシードル・青いラベルの“BRUT/ドライ&ビター”
心地よいドライからミディアムドライの味わいで、ビター(苦味)、ビタースイート(苦甘味)、スイート(甘味)、サワー(酸味)というシードルの4つの味わいがバランス良く組み合わさっており、食事に合うスッキリとした味わい”が特徴となっています。
使用されるりんごの品種は、マリー・メナール、ケルメリエン、ジュドールなどで、北ブルターニュのランス川近くにある伝統的な果樹園で収穫されているとのこと。
次回はぜひこちらの味も試してみたいです。
廃棄するりんごを商品に、ではなく、シードルのためにつくられたりんごにしていきたい
イベントのオープニングではオーナーの田代尭(ぎょう)さんからシードルに対する思いをお話しいただきました。田代さんは前職でスイーツメーカーのブランドマーケティングを担当されていた時代、生食にもスイーツにも使われないりんごが年間に何万トンもあることを知ったそうです。
最近はSDGsの観点で「廃棄されるものを商品にする」という発想でモノづくりがされるようになってきましたが、そうではなく、「このりんごこそが欲しかった原材料」にならないのか。
生食用のりんごは糖度の高さが求められますが、シードルでは渋さや酸味の強いりんごこそが最適です。日本でもシードルが日常的に飲まれるようになれば、農家さんが大切に育てたりんごを無駄にすることもなくなる。
「CREPE by SIDER」では日本にシードルの文化を根付かせる、その大切な第一歩にしたいという思いで始めたお店でした。
そしてシードルを飲みながらガレットを食べるのがブルターニュ地方の一般的なスタイル。ピザとかホットドッグ感覚で食べられているガレットをシードルとともに“文化・習慣”として提案したい。
そんな思いがたくさん詰まったお店が「CREPE by SIDER」なのです。
「TESIO」のモノづくりに共感し、極上のガレットとともに提供する「CREPE by SIDER」
「On Your Side vol.2 “TESIO NIGHT”」では、以下のメニューが提供されました。
- 前菜プレート(自家製ピクルス/キャロットラペ/ガレットチップス)
- TESIOシャルキュトリの盛り合わせ
(ホワイトハム、シトラスソーセージ、マリネロソーセージ、当日限定特製の1品“トリュフの香りのハム”) - 特製ガレット・ソシス(TESIO カンボジアペッパーソーセージ使用)
こちらに加え、イベントではGALIPETTEのシードルもしくは、フランスノンアルコールシードル”ラシャス”のいずれか1本を楽しめる内容となっていました。
前菜プレート
前菜プレートにあったガレットチップスは「CREPE by SIDER」オリジナル。そば粉100%のガレット生地を焼き上げて作られています。

ガレットチップス
素朴な味わいでパリッと香ばしく、かめばかむほど旨味が感じられる一品。お酒のおつまみにテイクアウト(特製スパイスシーズニング付き)も可能です。
シードルはもちろん、ビールやワインもぴったりなお味。スパイスの効いたキャロットラペ、優しい酸味がシードルにぴったりなマリネと、マリアージュを楽しませていただきました。
TESIOシャルキュトリの盛り合わせ

TESIO シャルキュトゥリ
“シャルキュトゥリ”とはハム、ソーセージ、パテ、テリーヌなど、食肉加工品全般を指すことば。フランス語の chair(肉)+cuite(火を入れる)が語源となっています。
ホワイトハム、シトラスソーセージ、マリネロソーセージに当日限定特製の1品“トリュフの香りのハム”を加えて全4種類を食べさせていただきました。ホワイトハムは「CREPE by SIDER」のメニュー「ブーケガレット」にも使われていますね。
やや黄色味がかった「シトラスソーセージ」は、沖縄県大宜味村産のシークヮーサーとレモンが爽やかに香る粗挽きソーセージ。シークヮーサーの香り(精油)が含まれているのは皮の部分ということで、そちらを使っているそうです。
真っ黒な「マリネロソーセージ」はイカ墨を使っています。お肉を丹念に練り上げフワッと仕立てた生地にたっぷりのイカスミとアサリ、トマトを加えて作っているとのこと。絹のようになめらかな食感で旨味たっぷり。
どのハム・ソーセージもみずみずしくジューシーで、豚の旨味を存分に楽しめる初めてのおいしさでした。
特製ガレット・ソシス
そしてTESIOのソーセージをガレット生地でくるりと巻いた「ガレット・ソシス」。ソシスとはフランス語でソーセージという意味です。
ブルターニュ地方レンヌ発祥の屋台料理。先ほどいただいたソーセージとは違って粗びきタイプのソーセージです。
パキッ、ブリッとした食感とカンボジアペッパーの豊かな風味とちょっとフルーティな香りが鼻を抜けていきます。カンボジアペッパーは希少性が高く「世界一おいしい胡椒」ともいわれていますね。
こちらのソーセージは「CREPE by SIDER」のためにつくられたオリジナルのもの。そば粉のガレットとの相性は抜群で、添えられている風味豊かなバジルソースが味わいを引き立たせていました。
通常ではやらない“豚の骨切り”からハム・ソーセージづくりにチャレンジする「TESIO」

TESIO代表の嶺井大地さん
今回のイベントのために沖縄から駆けつけてくれたTESIO代表の嶺井大地さん。ハム・ソーセージをつくるきっかけになった話、修業時代の話、TESIO立ち上げまでのエピソードをお話しいただきました。
その中で特に印象に残ったのは通常のハム・ソーセージ専門店ではやらない、「豚の骨切り(豚肉を調理する際に、骨を切断したり、肉と骨を剥がしたりする作業)」から商品を作るというお話です。通常なら肉の卸業者から食肉用に解体されたものを必要な部位だけ買い付けるのが当たり前。
TESIOも以前はそのように肉を買い付けていました。しかし、世界情勢の悪化に伴い、豚一頭を育てるコストが農家さんを苦しめていることを知ったそうです。
抜本的な流通システムの見直しが図られず、事態に耐えきれず廃業を選択する農家さんが急速に増えている。そんな中、TESIOの店舗のすぐお隣に「普久原精肉店」がありました。
「普久原精肉店」はお店から遠く離れた屠畜場まで、片道2時間をかけ自ら足を運んでは、大きな枝肉を何本もトラックに担ぎ込んで店舗に運び入れ、早朝の内に捌くという昔ながらの精肉店。
この「普久原精肉店」の協力のもとで肉の仕入れを行い、“豚の骨切り”からハム・ソーセージづくりにチャレンジしているそうです。当然、通常のハム・ソーセージには使われない部位などが出てしまいます。
このため、これらを活かしきるためになんとペットフードまで開発。その情熱と行動力に深く感服いたしました。
TESIOのシャルキュトゥリは「CREPE by SIDER」で楽しめる他、オンラインショップでもお取り寄せ可能。もちろん、沖縄を訪れた時はぜひお店に立ち寄り、ハム・ソーセージを楽しんでみてはいかがでしょうか。
「CREPE by SIDER」では5月17日(土)に「ON YOUR SIDE Vol.3 ヴァカンスの夜はシードルで始まる」を予定しています。映画と料理とシードルをテーマにしたスペシャルナイト。
「酔わせる映画 ヴァカンスの朝はシードルで始まる」の刊行を記念し、著者の映画ライター・月永理絵さんと映画研究者・三浦哲哉さんをお迎えし、「映画の中のお酒」についてのトークイベントとなっています。
シードルに合わせた前菜各種と「ガレット・ソシス」などの提供も予定されていますので、映画好きな方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
■取材協力
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