【目黒区】目黒区総合庁舎東口、駒沢通り沿いにある「けこぼ坂庚申塔」を訊ねて
目黒区内に残されている馬頭観音や庚申塔などを訪ね歩くシリーズ。今回は目黒区総合庁舎東口、駒沢通りに面した場所にある「けこぼ坂庚申塔」をご紹介しましょう。
目黒の方言から名付けられている「けこぼ坂」

けこぼ坂
庚申塔よりも先に気になるのが「けこぼ」と名付けられた坂。目黒区内はたくさんの坂がありますが、この「けこぼ坂」にはどんな由来があるのでしょうか。
「けこぼ坂」は、正覚寺から中目黒小学校と目黒区総合庁舎の間を通り、祐天寺に上る坂道のこと。祐天寺に至る道の一部であり、古くは下渋谷から別所坂を下り、さいかち橋で目黒川を渡り、この坂道を通って祐天寺前から碑文谷に至る交通の要衝であったそうです(参照元:目黒区ホームページより)。
急こう配のところを削り取り、道を歩きやすくする工事を繰り返したというけこぼ坂。距離は長くなったものの、勾配はゆるやかになっていきました。
しかし、坂の両側の法面が高くなったために崩れやすくなり、赤土のかたまりがざらざらこぼれ、道幅を狭めることもあったそうです。この状態を古い目黒の方言で「けこぼ」といったことがその名前の由来になったそうです。
いまでは高い法面もなくなり、高いビルや建物が並ぶ「けこぼ坂」。駒沢通りの一部となって、現在もまた交通の要衝であり続けています。
舟型青面金剛(日月・三猿)が彫られた「けこぼ坂庚申塔」
「庚申塔」は庚申信仰の結束や存在の証として建立されたもの。目黒区内には20数か所残されており、鉄飛坂を上り切った辺りにある「鉄飛坂帝釈天堂」にある庚申塔群(区指定有形文化財)が有名でしょうか。
「けこぼ坂庚申塔」は舟の形をした台座に乗った像で、病魔を払うとされる青面金剛(しょうめんこんごう)、太陽と月、三匹の猿が彫られていました。青面金剛はインド由来の神。
顔色が青く、6本の腕と三つの目を持つ忿怒相(怒りの表情)で表されることが多いそうです。庚申信仰とは、人の体内に潜む三尸虫(さんしちゅう)を抑える力があるとされています。
中国の道教の教えの中に、旧暦の庚申(かのえさる)の夜に眠ってしまうと、この三尸虫が天に昇り、天帝にその人の日ごろの行い(罪状)を報告するため、信者たちは虫が抜け出せないように徹夜して過ごしたそうです。
この教えが広まっていく中で、仏教や神道、民間宗教が混ざりあい、江戸時代には全国の農村などで大流行したというのが庚申信仰でした(参照元:目黒区ホームページ、めぐろ観光まちづくり協会・めぐろWalk特別編より)。
「けこぼ坂庚申塔」は東急バス【渋71】系統、目黒区総合庁舎前のバス停そばにあります。中目黒駅から徒歩約6分のところにあり、比較的立ち寄りやすい場所。
また目黒銀座商店街の路地裏にある「馬頭観音」からも近いので、ぜひ合わせて巡ってみてはいかがでしょうか。
↓「けこぼ坂庚申塔」の場所はこちらになります。