【目黒区】ウッディシアター中目黒で上映された音楽介在会話劇「イエスと言え」を観劇、演者の息遣いさえも感じる迫力の舞台を楽しみました
2023年10月5日(木)~11日(水)、「ウッディシアター中目黒」で公演された「東のボルゾイ」の新作・音楽介在会話劇「イエスと言え」を観劇してきました!
東のボルゾイは、2018年東京藝術大学在学中、脚本家 島川柊さん・作曲家 久野飛鳥さん・演出家 大舘実佐子さんの3名により、日本人の身体と言語を炸裂させるミュージカルを作ると言う目的で始動。2020年に結成された注目の劇団です。
今回ご縁があり、10月6日(金)の19時30分からの公演を拝見するチャンスに恵まれました。パワフルで圧倒されたひと時をご紹介したいと思います。
目黒銀座商店街の中にある「ウッディシアター中目黒」
公演が行われた「ウッディシアター中目黒」は、中目黒駅から徒歩約10分ぐらいのところにあるこじんまりとした劇場。目黒銀座商店街を祐天寺方面へ進んだところにあります。
最大収容人数が約100人ということで、演者さんとの距離がとても近く、迫力のある舞台が楽しめます。観覧席はひな壇になっているので、後ろの席でも舞台がよく見渡せる設計になっていました。
現代における“結婚”の意味とは何かを考えさせる、東のボルゾイ「イエスと言え」
実は事前に脚本家 島川柊さんから「イエスと言え」の台本をいただき、予習してきたのですが、実際に舞台で見るとまったく違った印象を受けました。
「ことば」の持つ表現力や強さに魅せられ、行間に立ち昇る自分なりの解釈やイメージを愉しむのが読書。舞台ではその「ことば」をセリフとして演じる人がいて、音楽や照明などさまざまな要素とともに活き活きと表現されます。
シンプルで何気ないフレーズであっても、それを発する演者がいることで深く心をえぐられ、惹き付けられ、揺さぶられるというのを久しぶりに実感しました。
若い世代が漠然と描いている不安、家族や周りからのプレッシャーをもあぶり出す「イエスと言え」
「イエスと言え」は、東のボルゾイにとって5回目の公演。今回は東のボルゾイ主宰者の1人、作曲家 久野飛鳥さんが舞台上でピアノの生演奏を行うという“音楽介在会話劇”として実験的な手法で開催されました。
“音楽介在会話劇”とは、音楽が1人の出演者であり、場面を支配する指揮者として、人々の会話に介在しまくってみるという試みなのだそう(引用元:「イエスと言え」パンフレットより)。
あらすじは以下の通り。
ざくろは、婚約者と共に憧れていた式場を訪れた。
そこで、やたら鬼気迫るウエディングプランナー鬼柳と出会い、「結婚が認められない人々がいるこの社会で、貴方達の結婚が認められる理由は、自然生殖可能性があることだけ」と告げられる。
その言葉が引き金となり、生まれてこのかた積み上げてきた倫理観が音を立てて崩れ始めた。
無意識に目指してきた「家族」とは何だったのだろうか。
父親が男性で母親が女性であること、法的に認められること、世間に嗤われないこと?
愛とか絆とか、美しく正しいものとして刷り込まれてきたあれこれは、現実においてはただの言葉でしかないのだろうか。
私よ、疑い出したらきりがない、いいから全部イエスと言え。
最近では結婚するのが当たり前、結婚したら子どもを産んで1人前といったステレオタイプの価値観を押し付けてくる人は少しずつ減ってきたとは思います。
それでも“結婚適齢期”を迎えたら結婚しなければならない(1人前じゃない?)、とりあえずそろそろ結婚すべき・・・と思いこんでいる人もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな漠然とした「結婚」への憧れや喜び、焦燥感、不安、疑問を呼び覚まし、えぐるストーリー。随所で介在するピアノが“音”というセリフを奏でていきます。
一見すると重くなりがちなストーリーですが、ユーモアあふれる演出がいっぱいで最後まで飽きさせません。
こんなに舞台との距離が近い劇場での観劇は初めて。演者さんの息遣いや表情まで活き活きと感じられ、あっという間のひと時でした。
「東のボルゾイ」は過去作でも「ウッディシアター中目黒」「中目黒キンケロ・シアター」で上演経験があります。また観劇できるチャンスがあれば、ぜひ足を運びたいと思いました。
これからの活動がますます楽しみな「東のボルゾイ」、皆さんもぜひ注目してみてくださいね。
■取材協力
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