【目黒区】中目黒・目黒川のほとりにオープンしたアトリエ「ルムーンラボ」、“ボタニーペインティング”が気軽に楽しめます
フラワーデコレーションやフラワースクールなどを手がけてきた有限会社ルムーンの鈴江留美子さんが、誰もが“ボタニーペインティング”を気軽に楽しめる場を、とオープンさせたアトリエ「ルムーンラボ」。
場所は中目黒駅から徒歩約7分、目黒川のほとりで川を挟んで反対側には目黒川船入場があります。
「ルムーンラボ」は、就労に困難を抱える方を多く受け入れる社会的企業「ソーシャルファーム」事業の認可申請中。「アート×福祉」を軸とした新しい事業へチャレンジしていくとのこと。
2024年6月10日(月)に行われたアトリエ「ルムーンラボ」のオープニングにおじゃましてきましたので、これまでとこれからの取り組みなどをご紹介していきましょう。
「ルムーンラボ」は、花事業を中心に展開してきた「ルムーン」が取り組む新しい活動拠点
「ルムーン」はフラワーデコレーション、フラワースクール、ギフト企画開発、地域緑化活動など、花事業を中心に活動してきました。社名である「ルムーン」は、“room(空間)”と“moon(月)”を掛け合わせた造語。
花は季節(時間)と形を変え、観るものを癒すもの。月もまた、日々見える形を変えていきます。
移ろいゆく時間との調和や自然との融合を感じる「月の変化」と、花の魅力を最大限に生かした「空間」と「時間」との融合を目指す、そんな想いを込めてつけた社名だそうです。
お花の仕事を続けてきた鈴江さんの心を捉えたのは、“ボタニーペインティング”といわれる、天然の「蓮の葉」「モンステラ」「カラテアルテア」をキャンパスに張り付けて着色し、世界に一つだけの作品を作るアート。
色を重ねる感覚、リラックスできる感覚が「花」に共通すると感じたそうです。
そんな“ボタニーペインティング”をもっといろんな方に楽しんでもらいたい、という想いからアトリエ「ルムーンラボ」をオープンさせました。
「ルムーンラボ」では、リラックスした空間で、その時の自分と向き合いながら“ボタニーペインティング”を学べる拠点にもなっています。
「ルムーンラボ」ではアート教室はもちろん、マルシェでのワークショップやカルチャースクールでのレッスンも行うなど、スクール事業にも取り組む他、外部講師によるスクール開催や地域活動、個展での利用可能なスペースレンタル事業も行うそうです。
「ルムーン」が現在準備中のソーシャルファーム事業とは?
実は鈴江さん、障がい者である息子さんを持つお母さんでもあります。ご自身が就労困難者としてソーシャルファームのスタッフとして働いた経験があったことから、目黒区で第1社目となるソーシャルファーム事業に取り組もうと決心されました。
ソーシャルファームとはどのような取り組みなのか、ご存じない方も多いと思うので簡単にご紹介していきましょう。
就労が困難な方を積極的に受け入れる社会的企業「ソーシャルファーム」
「ソーシャルファーム」を日本語に訳すと「社会的企業」となります。もともとはイタリアで始まり、ヨーロッパを中心に広がってきました(参照元:公益財団法人東京都しごと財団より)
障がい者・高齢者・難病患者・若年性認知症の方・貧困母子世帯・引きこもり生活を続けていた方・刑務所を出た方など、普通に就職するのが難しい方々が働きやすい場所を提供する企業。
「ソーシャルファーム」では、自律的な経済活動を行いながら、必要なサポートを受け、他の従業員と共に働くことができます。東京都では、この「ソーシャルファーム」の創設や活動の促進に向けて取り組み中。
全国初の「都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例」(令和元年東京都条例第91号。以下「条例」という。)に基づき、認証基準に適合している事業所をソーシャルファームとして認証しています。
ルムーンではこの「ソーシャルファーム」の予備認証を受けており、現在準備中、という訳です。
「ソーシャルファーム」はこれまでの福祉的就労とは異なる事業
これまでの障がい者などを対象とした福祉作業所などで、社会的に保護された環境の中で仕事を提供するという就労場所は存在してきました。また、一定数以上の従業員を抱える事業主は、障がい者雇用枠を設けて、雇い入れる義務があります(参照元:厚生労働省ホームページより)。
しかし、一般的な福祉作業所は賃金が安く、自立して生活するというのは非常に困難です。また、企業が設けている障がい者雇用枠については、障がい者以外の就労困難者を受け入れてくれるケースはあまりなく、働きたいと思っていても仕事を得ることが難しい状況でした。
しかし「ソーシャルファーム」は、事業からの収入を主な財源として運営していることが特徴。障がい者に限らず「就職するのが難しい人たち」を多く雇用し、他の従業員とともに、通常のビジネスとして利益を上げながら運営するという点が他の福祉作業所とは大きく異なっているといえます。
日本財団の調べによれば、何らかの理由で働きづらさを抱えていると言われている人は全国で1,500万人、およそ8人に1人いるとのこと。そうした人たちが働ける場所の選択肢として、ソーシャルファームはとても重要な役割を担うことになります。
2020年に東京都が公表した【東京都ソーシャルファームの認証及び支援に関する指針】もぜひ参考にしてください。
「ソーシャルファーム」は誰もが個性を認め合い、社会で生きがいを持てる場
公的扶助として、障がい者や高齢者、母子家庭など生活や就労が困難な人を支援する仕組みはあります。しかし、それ以外にもさまざまな理由で就労が困難な方は存在しています。
そういった方も必要なサポートを受けながら、自立して生きがいを持って働ける場として「ソーシャルファーム」があります。健康的に、人と繋がりあいながら、活き活きと生きられる。
「障がいのある人もない人も、当たり前に共存する社会」「地域と福祉の架け橋になる」そんな想いを込めて、「ルムーンラボ」は新しい一歩を踏み出したというわけです。
「ルムーン」では自社製品制作・販売の他、下請け製品の制作請負も
「ルムーン」でこれまで取り組んで来たフラワー事業の他に、本物の蓮の葉を使ったボタニカルアートやオーダーメイドでの「御朱印帳制作・販売」も行っています。
また、アッセンブリー事業として、「枯れない苔テラリウム」の材料(素材)の下請け制作も。
今後は「ルムーンラボ」を拠点としながら、「アート×福祉」事業で毎日の暮らしに癒しと歓びを、さらにそこで働く人たちも心豊かになれるように、取り組んでいくそうです。
皆さんもぜひ、ボタニカルアートを楽しみながらの応援、よろしくお願いします。
■取材協力
↓「ルムーンラボ」の場所はこちら(サクラハウス3a)になります。