【目黒区】いざという時に自分や家族を守る防災への備えや知識を独自に発信!「チーム防災めぐろ」にインタビュー

目黒区の防災対策を万全に「チーム防災めぐろ」インタビュー

春はお花見の名所として大人気の目黒川。世田谷区、目黒区、品川区と流れ、東京湾へとつながっています。普段は穏やかでのんびりとした景色がひろがっていますが、大型台風などにより、浸水被害を過去にも引き起こしたことがありました。

記憶に新しいところでは、2019年10月に上陸した台風19号。気象庁から目黒川が氾濫危険水位に達したと発表されました。実際に避難されたご家庭もあったのではないでしょうか。

今回は、目黒区の防災についてもっと実践的な知識を共有し、自分、そして家族の安全を自分たちで守るためにはどうしたらよいのか、激化する自然災害への備えについて役立つ情報を発信する「チーム防災めぐろ」の前澤さんにインタビューしてきました。

これから雨の季節が始まる前に、ぜひご自身の防災への備えを見直すきっかけになればと思います。

「チーム防災めぐろ」とは?どんな活動を行っている?

チーム防災めぐろを立ち上げた前澤さん

「チーム防災めぐろ」の前澤さん

「チーム防災めぐろ」を発足させたメンバーのひとり、前澤彩さん。目黒区には2年ほど前に引っ越してきたそうです。

「昨年(2020年)、たまたま目にした目黒区教育委員会主催で行われた「防災時でも慌てない!~都市に暮らすために~」という講座に興味を持ち、受講しました。

その時に防災とは誰かに守ってもらうことではなく、自分たちで守らなければならないと痛感しました。

もっと継続的に防災について学びたいと感じ、共感してくれた受講生の仲間8名とたちあげたのが“チーム防災めぐろ”なんです」

講座で学んだことは一般的な防災についての知識だったので、それを目黒区に落とし込んだ場合、どんなことができるのか、何が必要なのか。

チーム防災めぐろでは、定期的に集まり、情報収集し、地域とのつながりやネットワークづくりに取り組んでいます。

まだ立ちあげたばかりの団体なので、知名度が低いこと。防災イベントなどを企画したものの、コロナ禍で開催がままならないこと。歯がゆい思いをされているそうです。

いざという時に受け身では自分の身は守れない!行政に寄りかかっていませんか?

雨の日の目黒川

目黒区の水害ハザードマップは目黒区のHPで公開されています。区でも気象庁が行う洪水予報などをいち早くアナウンスするため、目黒川沿いにサイレンを鳴らす取り組みも行っています。

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また、目黒区では夕方17時になると音楽が流れるのを聞いたことがある方も多いのでは?実はこの「めぐろ・みんなの歌」は防災行政無線から流れているもので、「通信点検の目的(本番で聞こえないことがないように)があるんですよ」と前澤さん。

また、突発的な異常気象等に備えて防災気象情報をリアルタイムで提供するメール配信サービスやTwitterなどさまざまな手段を用意。いざという時の避難所マップなども公開しているので、ぜひチェックしておきましょう。

しかし、実際に避難所まで足を運び、安全に避難できるかどうか確認したという方は意外に少ないのでは?一番近い避難場所が川の向こうだったら橋を渡ることが出来ないかもしれません。

目黒区であれば原町一丁目や洗足一丁目、目黒本町五丁目辺りはまだ古い住宅が多く、密集しているエリアも。大きな地震で家屋が倒壊してしまったら、道路が寸断され思うように逃げられないかもしれません。

目黒川は東京湾とつながっているので、大地震で津波が起きれば川を遡り、東日本大震災のように周辺の住宅が押し流されてしまう可能性も・・・。行政だけの力では自分たちの身を守ることは到底できません。

近年の特徴である激甚化する自然災害から身を守るために、町単位で、自分自身で、いざというときにどう行動するかが問われています。

日本人は国任せ、型どおりの訓練で終わっている傾向

自由が丘の公園にある防災貯水槽

以前私も国土交通省が主催する「運輸事業の安全に関するシンポジウム2019」で関西大学 社会安全学部 特別任命教授・河田惠昭氏の講演を聞く機会がありました。その時に日本人は「国任せ」にする傾向があり、地域での協力や実効性が伴う防災訓練がなされていないと指摘。

実際の防災訓練も「型どおりの避難訓練だけにとどまっている傾向がある」とおっしゃっていました。

「チーム防災めぐろ」の前澤さんも、ある集合住宅で避難訓練を毎年行っているのに『出火するお部屋の想定はいつも同じ。ルーティーンとしてただこなしているだけという自治会もある』とおっしゃっていました。

実際にそのお部屋から出火したらスムーズですが、別のフロアや隣の建物から出火したら対処できないかもしれません。まさに「型どおりの防災訓練」の代表的な例ですね。

河田惠昭氏も講演の中で『条件を変え、繰り返し学び、検証し、振り返ることが重要。知識と行動がつながっていることを確かめることが大切』とお話されていました。

首都直下型地震は30年以内に起こる可能性大

首都直下型地震が起きる確率は高い

画像はイメージです

河田惠昭氏は、この30年以内にマグニチュード9といわれる「南海トラフ巨大地震」が起こる可能性は約7割。首都直下型地震はマグニチュード7.3の発生率が約7割と試算しています。

私たちが生きている間に体験する可能性は現実味を帯びてきました。

河田氏によると災害を大きくしてしまう要因の一つとして、「災害文化の欠如」という指摘がありました。国が行う公的扶助や社会的インフラに頼り切り、自分たちで考えて行動するという視点が欠落しているという意味です。

「前も大丈夫だったから」「自分だけは大丈夫」という思い込みで避難しない人たちが続出。避難勧告がなされていないから、避難しなくても大丈夫ということで、被災してしまった事例はたくさんあります。

チーム防災めぐろの前澤さんも「国や自治体任せにするのではなく、自ら行動し、自分たちの身を守る自助が重要」とおっしゃっていました。

インターネットよりもアナログで日頃から関係性を築く大切さ

自然災害が激甚化している

画像はイメージです

2018年9月に起きた台風21号が関西に上陸。関空が水没し利用客が閉じ込められ、復旧が遅れたのを覚えているでしょうか?

なぜこのような大きな被害を引き起こしてしまったのかといえば、誰が指揮を執るのかが非常にあいまいだったため。相互乗り入れしている鉄道同士の横の連携がなく、対応がバラバラになり、再開が大幅に遅れたという背景があります。

この教訓を生かし、中部国際空港セントレアでは、空港運用を一元管理する「セントレア・オペレーション・センター(COC)」 を導入。有事には関係者全員がCOCに集まり、必要に応じて管制官や自衛隊も交えた協議を行うようにしているそうです。

まさにアナログな仕組みですが、日頃から顔が見える関係を築き、有事にはすべての情報を共有できる取り組みとして、民営化されている空港では、すべてこのセントレア方式を採用しているそうですよ!

「都心部では人間関係が希薄。普段からコミュニケーションが取れていない自治会も多いようです。

また、町内会で防災マップを手づくりし、いざという時の備えをしっかりやっているところもあります。しかし、その取り組みを積極的に共有していません。

とてももったいないと感じています」と前澤さん。

前澤さんは防災士の資格を取得されていますが、他にも目黒区内に500~600人ぐらい防災士の資格取得者が存在しているそう。しかし、ネットワーク化されておらず、意見交換ができていないのが現状。

「それぞれバラバラに活動している自治会・町内会をネットワークし、有益な情報や知識を共有する。縦割りになっている関係をつなぐ橋渡しのような役割として、チーム防災めぐろを機能させたいです」とおっしゃっていました。

「チーム防災めぐろ」これからの活動目標

チーム防災めぐろが企画中の防災クッキング

画像はイメージです

まだ立ち上げて間もない団体で、思うような活動ができていないという前澤さん。今後どのような取り組みを考えているのでしょうか。

「ひとつは、防災クッキングをやってみたいと思っています。」

防災クッキングとは、非常時の食生活をどうするかということを体験型で実践してみるイベントです。例えば、水や電気といったライフラインが止まり、復旧に何か月もかかってしまった場合、簡単に作れる料理レシピを考案。実際に作ってみるというイベントです。

特に困るのは、赤ちゃんがいらっしゃる家庭で離乳食が作れない。アレルギーがあって供給された食品がそのままでは食べられないなど。有事にはさまざまな問題が起きます。

また、ペットを飼っていらっしゃるご家庭も多いことでしょう。ペット連れでは避難所に入れない場合もあります。

東京都防災ホームページでも紹介されていますが、電気が止まればインターネットで検索というわけにはなかなか行きません。しかし、実際にやったことがあれば、その記憶を頼りに作ることができます。

「体験する、実践することの大切さをイベントを通じて、愉しく学べれば」と前澤さん。この他にも「避難所運営ゲーム」など、防災知識が実践的に身につくいろいろな取り組みにチャレンジしていきたいとおっしゃっていました。

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うちの町内会ではこんな取り組みをしている!という情報をぜひ「チーム防災めぐろ」へ

自由が丘にある防災用の井戸

自由が丘にある防災用の井戸

「チーム防災めぐろ」では、公式ホームページで活動を紹介しています。また、FacebookやTwitterなどのSNSを通じても情報を配信中。

コロナ禍で思うように活動が出来ない中、目黒区を魅力的で安心・安全、住みやすい街にするために取り組んでいます。

もし「うちの町内会でオリジナルのハザードマップを作成している」「いざという時のために独自の避難訓練を行っている」「災害時に利用できる井戸の場所を知ってる」など、どんな些細な情報でも、お持ちの方がいらっしゃったら、ぜひ「チーム防災めぐろ」までご提供をお願いします。

小さなことの積み重ねが大きな力になるはず。災害の被害を大きくするのは「無関心」「人任せ」です。ぜひ、自分たちの身を守るためにも、積極的に考えていきたいですね。

■取材協力

チーム防災めぐろ

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