【目黒区】目黒区美術館で日本の美意識&技術に感動!「包む―日本の伝統パッケージ」
目黒区美術館で開催中の「包むー日本の伝統パッケージ」を見てきました!戦前から日本でデザイナー&アートディレクターとして活躍してきた岡秀行(おか ひでゆき 1905-1995年)さんが、収集・研究してきた伝統パッケージ。そのコレクションを2021年9月5日(日)まで展示しています。
目黒区美術館で2011年に展覧会を開催して以来、10年ぶりとなる今回の開催。ようやく足を運ぶことができたので、その魅力と感銘を受けたポイントなどをご紹介したいと思います。
目黒区美術館で開催されている「包むー日本の伝統パッケージ」とは?
目黒区美術館「包むー日本の伝統パッケージ」で紹介されているのは、岡秀行さんが木、竹、藁など自然の素材が生かされたパッケージに魅了され収集したものです。そのコレクションは世界へ紹介され、「TSUTSUMU」(包む)という言葉とともに大きな反響を呼びました。
そしてそのコレクションを日本の美術館で初めて本格的に紹介したのが目黒区美術館で、1988 年「5 つの卵はいかにして包まれたか―日本の伝統パッケージ展」というタイトルで開催。その展示会をきっかけに、出品されたパッケージ群を岡秀行さんより譲り受け、「〈包む〉コレクション」として収蔵しているというわけです。
その後、2011 年にも展覧会を開催。今回の展覧会は実に10年ぶりとなりました。
「包むー日本の伝統パッケージ」の見どころは?
コレクションとして紹介されているものは、木、竹、笹、藁など日本の風土に育まれ、生活に密着した自然素材が中心。この他、陶器や和紙、絣(かすり)など、日本の伝統的な工芸品や素材なども展示されています。
日本人の美意識が生み出したデザインの美しさはもとより、さまざまな形状の物を巧みに包む技術、そして保存性を高めるという点でも自然素材の持ち味を存分に生かしたパッケージになっているのがポイント。
美しさだけではなく、機能性・実用性にすぐれた“かたち・素材・手触り”がそこに表現されています。
ポスターやチラシなどで使われている卵を藁で包んだ“卵つと”などは、割れないように持ち歩くという実用性以外にも、楕円形という包みにくい形を上手く安定させていること、なおかつ見た目も美しく“包まれている”ことが一目で伝わってきます。
コレクション会場では「木」「竹」「藁」など素材別に分けて展示
展示エリアは木や竹などを使ったパッケージの展示エリア、紙や布などを使ったパッケージのエリア、写真や映像で紹介するエリアなどに分かれています。パッケージは主に食品やお菓子、酒類などに使われていたものです。
今でも目にすることができる笹で巻いたちまきやようかん、お饅頭、お寿司などのパッケージもありますが、お米がついたままの藁で巻いたお酒、職人の技術を駆使した竹製の容器など、希少なものがずらり。
造形の美しさや実用性に富んだ形など日本人らしい繊細な技術には驚かされます。
「包むー日本の伝統パッケージ」では伝統に則った結納品の展示も!
現在では簡略化されて行うことがほとんどの結納。結婚にあたり、お互いの家同士が「結び、納める」品々を展示したコーナーが設けられていました。
例えば、熨斗(のし)はあわびの肉を干して長くのばしたもので長寿の象徴。子生婦(こんぶ)は子宝に恵まれるよう昆布を贈るなど、さまざまな結納品があります。
この他、ご祝儀袋・不祝儀袋なども展示されており、日本人の心を美しくていねいに表現したパッケージの数々を知ることができました。
岡秀行さんが魅せられた「包むー日本の伝統パッケージ」へのまなざし
最近ではプラスチック削減などSDGsへの取り組みが注目されています。食品のパッケージや牛乳パック、瓶の回収を積極的に推し進め、再利用・再資源化などは日常です。
しかし、今回展示された日本古来のパッケージは使用後、焚き付けなどに使われ、余すところなく資源として再利用されてきたものばかり。近代化され、便利になった反面、失われてしまった技術や視点について改めて気づかされる展示会でした。
日本人が持つ縄文時代からの多神教的な宗教観“自然のものに神が宿る”という考え方。ものを大切にし、自然素材を巧みに生かしながら、日本人らしい美意識でつくられたパッケージをぜひ、皆様もご覧ください。
開催期間は残りわずかですが、密に気を付けながらご来場ください。
【休館日】毎週月曜
【観覧料】一般800円、大高生・65歳以上600円、中学生以下無料
※目黒区内在住、在勤、在学の方、団体、障がい者割引あり
★目黒区美術館が再開発で揺れています★
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