【目黒区】目黒大鳥神社といえば日本武尊ゆかりの“剣の舞”と酉の市!神事について詳しく解説
地元から“目黒のお酉さま”と信仰を集める「大鳥神社」。山手通りと目黒通りが交差する場所にあり、交通の要所をお守りする目黒最古の祈願所です。
今回は宮司・堀江久教さんにインタビューし、3回に渡り大鳥神社についてご紹介しています。1回目は神社の名前“大鳥”の由来となった日本武尊とのご縁、そして目黒の地名にまつわるお話をお伝えしました。
2回目の今回は大鳥神社で行われている主な神事について、毎年行われている“酉の市”についても詳しくお話を伺いました。
6月30日は半年分の厄を祓う儀式“夏越の大祓い”
1年の半分にあたる6月30日に毎年行われる神事“夏越の大祓い”。かくいう私も2021年は、自由が丘にある熊野神社で“茅の輪くぐり”で厄払いをしてきました。
大鳥神社でも夏越の大祓が行われ、大勢の方がお参りされたのではないでしょうか。2021年はコロナ禍ということもあり、神職のみでの実施だったそうです。
形代(かたしろ)と呼ばれる人形に罪や穢れを移して奉納。御祈祷をお願いします。
『大鳥神社ではここ数年、茅で作った大きな茅の輪(ちのわ)を設置していません。御祈祷をお願いされた方に、疫病除けとなる小さな茅の輪のお守りをお渡ししています』と堀江さん。
神社によっては境内や鳥居の下などに大きな茅の輪が設けられ、八の字を描くようにくぐることで厄払いできるように設置されている場合と、大鳥神社のように人形でのお祓いのみを行う場合があるようです。
『夏越の大祓は、貧しい姿に身をやつした素戔嗚尊(スサノオノミコト)が全国を回られた際、ある村のお金持ちの家へ一夜の宿を乞います。
しかし家の主人は、その卑しい姿を見て断りました。その後、金持ちの主人の弟・蘇民将来(そみんしょうらい)の家を訪れた素戔嗚尊。
弟の家は大変貧しい家でしたが、一生懸命おもてなしをしたそうです。
素戔嗚尊は立ち去る際に、蘇民将来に“腰に付けておけば疫病から守ってもらえる”と茅の輪を授けました。
それ以来、茅の輪を腰に付け“蘇民将来の子孫なり”と唱えると、疫病にかからないという伝承が残っています。
大鳥神社では原点に還り、身に付けられる茅の輪守りを差し上げるという方法にしています』とのことでした。
9月9日は“例大祭”、最も近い日曜日で御神輿や山車の巡行などが行われます
重陽の神事を厳粛に行いました。
9月9日は、古くから大鳥神社の例祭日でありましたが、昭和39年の東京オリンピックの為、山手通りが拡幅立体交差化され、境内が狭くなった事や交通量増加により、例祭日が変更されましたが、神社では皆様の長寿健康を願い重陽の神事として、祭典を続けています。 pic.twitter.com/RahiiO7kGZ— 大鳥神社 (目黒最古の祈願所) (@ootorijinjya) September 9, 2021
大鳥神社の例大祭は9月9日の重陽の日に行われている行事。現在は9月9日に最も近い日曜日に御神輿の宮入を行う年と、目黒通りに御神輿が勢ぞろいし、縁日などで賑わう例大祭の年を交互に行っているそうです。
先の東京オリンピック(1964年)の際、山手通りが拡幅立体交差化されて境内が狭くなってしまいました。さらに交通量が増加。今までのように9月9日に御神輿の御霊入れができなくなってしまったそうです。
『1回目の東京オリンピック開催以降、9月9日にもっとも近い日曜日、1町会ずつ御神輿が順番に境内へ入りお祓いを行った後、目黒通りに10町会が勢ぞろいするというスタイルを2年に1回行うようになりました』と堀江さん。
しかし、2年に1度が待ち遠しいという意見があり、順番待ちしてもいいので宮入りしたいという要望が6町会から寄せられたそうです。
2006年に行われた1200年祭をきっかけに、宮入する年と目黒通りに勢ぞろいする年を交互に行うという現在のスタイルに落ち着いたとのこと。
2020年9月は少し新型コロナの状況が落ち着いていたので、御神輿を担ぐのは中止しましたが、露店や神楽などは例年通り行われ、ひとときのにぎわいを楽しむことができたそうです。
しかし、2021年9月はかなり感染者数が増えていたことから、御神輿や神楽、露店などはすべて中止、神職のみで神事を行ったとのこと。
御神輿はソーシャルディスタンスや飛沫問題を解消することが難しいので、当分は厳しそうですが、来年こそはお祭りらしいにぎわいが戻ってくることを楽しみにしたいと思います。
★2022年は例大祭が9月10日(土)・11日(日)で斎行されます!★
11月の酉の日に行われる“酉の市”は鳥明神の特殊神事です
今年の酉の市は感染対策を実施した上で、予定通り開催致します。
だだし、時間については、感染予防を踏まえて、
8:00~22:00と致します。例年より早く終了します。
ご注意ください。
一の酉(11月9日火曜日)二の酉(11月21日日曜日)
ご参拝をお待ちしております。 pic.twitter.com/iirlhudyhn— 大鳥神社 (目黒最古の祈願所) (@ootorijinjya) October 10, 2021
酉の日は十二支の「酉」にあたる日のことで、年だけではなく日付にも毎日十二支が割り当てられています。つまり、酉の日は12日おきに巡ってくるもの。
その中で11月の一番初めに巡ってくる酉の日は「一の酉」、2番目は「二の酉」、3番目は「三の酉」と呼ばれ、酉の日が3度ある年は火事が多いという言い伝えがあります。
幸い今年は二の酉までですが、空気が乾燥しやすい時期でもあり、火事が起こらないよう気を付けるという意味で大切にされてきた行事なのかもしれません。
大鳥神社ではもともと秋の収穫物や農具などを売る道具市として開催されていたそうです。
『江戸時代、目黒で“大黒屋”という造り酒屋の商売をしていた折原與兵衛さんが、浅草で大鳥神社と同じ名前の神社で、酉の市が行われており、そこで売られている熊手が大変人気だというのを聞きつけました。
自分たちも熊手を仕入れ、道具市で売ればもうかるのではと考え、仲間と一緒に始めたのが現在の“酉の市”につながっています。與兵衛さんは先見の明があり、商売上手だったのではないでしょうか』と堀江さんはおっしゃっていました。
大鳥神社の“酉の市”では、この日のみ授与される“熊手のお守り”がある!
酉の市というと、縁起物をたくさんつけた大きな熊手を買うものというイメージがあるかもしれません。しかし、本来の酉の市は、御神前に「八つの頭の芋」と「熊手」を奉る神事。
大鳥神社では熊手に稲穂とお札を付けた“熊手守り”を酉の市限定で授与しています。縁起物の熊手にそのまま差せるように工夫されており、商売繁盛を祈願するお店の方は、縁起物の熊手購入とともに授与していただくとか。
『八つ頭は日本武尊が東征の際に、八族の各頭目を平定された御功業を具象化したものです。また、熊手は焼津で焼討ちに遭われた時に武具として使用して勝利したもの。
志を遂げて帰還する際に神社の前の末に武具である熊手を立てかけ、お礼参りをされたのが11月だったといわれています。
このことから八つ頭は人の頭に建つように出世できるという縁起物となり、また、熊手は家の中に宝を掃き込むものとして縁起物となったようです。
さらに熊手を持って日本武尊が火を防いだというご由緒から、火難除けの神様として信仰を集め、現在でも江戸消防記念会が酉の市に参拝祈願をされております』とおっしゃっていました。
大鳥神社の名前である“おおとり”は、“大取”にも通じるということで、宝物を大きく取りこむという意味にもつながります。
皆さんも酉の市にいらしたら、ぜひ大鳥神社の“熊手守り”を忘れずに授与してもらいましょう。また、御朱印もこの日だけ限定のものを授与してくださるそうなので、そちらも楽しみですね。
【目黒区】2021年の目黒大鳥神社“酉の市”は11月9日(火)・21日(日)の二の酉まで!酉の日限定の“熊手守り・御朱印”を頂いてきました
神社の開運・熊手守りの授与は8時~22時頃までです。数に限りがありますので、お早めに!
●一の酉:11月9日(火)8時~22時
社殿で太々神楽、熊手の舞が奉納(19時より)
●二の酉:11月21日(日)8時~22時
江戸消防記念会の木遣りが奉納(11時より)
社殿で太々神楽、熊手の舞が奉納(19時より)
※2021年は二の酉までです。
年末の”年越の祓”から初詣まで、氏神様へご挨拶を忘れずに
酉の市が終わればあっという間に師走。大鳥神社では12月30日の夕方から年越の祓として、1年の穢れを祓い清める神事を行っています。
『31日の夜から元旦にかけては、氏神様へ一年の感謝の気持ちを伝え、新し年への決意などをお伝えする初詣に向けた神事となります。
一般的な初詣の期間はお正月の三が日(1月1日~3日)までで遅くとも松の内までとされています。
しかし、大鳥神社では特に初詣の期間というのは設けていません。新年を迎えて、初めて神社に詣で、神様にご挨拶・感謝の気持ちを伝えるというのが初詣でございます。
お仕事や家の都合などでなかなかお参りできないという場合でもどうぞ、お気軽に足をお運びください』とのこと。
来年こそは新型コロナウイルス感染症が落ち着いて健やかな一年になりますように、心を込めてお祈りしたいと思います。皆さんもぜひ、お参りくださいね。
次回3回目は、実際に酉の市に足を運び、当日の賑わいなどをレポートしたいと思います。お楽しみに!
■取材協力
大鳥神社(目黒最古の祈願所)
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