【目黒区】絶品本格中華で呑める気さくな酒場が誕生、「立呑み中華 起率礼(きりつれい)」、オープンから約1ヶ月半で連日満席の人気店に
2023年12月19日にオープンした「立呑み中華 起率礼」。1月に行われたメディア向けの内覧会へおじゃましてきました!
場所は自由が丘の西側、学園通り沿いにあるバス停(のりば番号2)の裏手に広がる通称「L字が丘」と呼ばれるエリアです。周辺には居酒屋やバー、スナックなどが軒を連ねるこぢんまりとした飲み屋街。
「立呑み中華 起率礼」を手がけるのは、学芸大学駅近くにある「立呑み 鉄砲玉」のオーナー・正木勇貴(まさき ゆうき)さん。
中華の有名店で腕を磨いた井上史子さんとの運命的な出会いと、その化学反応が織りなす「立呑み中華 起率礼」を早速ご紹介していきましょう。
1人でも気軽に絶品中華料理とお酒がリーズナブルに楽しめる「立呑み中華 起率礼」
「立呑み中華 起率礼」の一番の注目ポイントはなんといっても、本格的な中華料理をスモールポーション(小皿)で楽しめるというところ。通常、中華料理は大勢でシェアしながら食べるというイメージですが、「立呑み中華 起率礼」では1.5人前ぐらいの量を目安に提供してくれます。
しかもそのお料理がともかくすごい。シェフである井上史子さんは、「ザ・リッツ・カールトン大阪」の中国料理「香桃(シャンタオ)」や「ウェスティンホテル東京」の広東料理「龍天門(りゅうてんもん)」、広尾「中華香彩JASMINE」などで8年にわたり料理人として腕を磨いてきた方です。
「立呑み 鉄砲玉」の常連さんから自分の妹が料理人で、これからのキャリアに悩んでいると紹介されたのが井上さんだったのだとか。正木さんは以前から中華の立呑みをやってみたいという思いがあり、たまたまいい物件との出会いもあり、とんとん拍子に出店が決まったそうです。
前の店舗はスナックだったということで、中華料理に必要な高火力のコンロを入れるため、地面を掘って設置したとのこと。お店の改装、内装にもしっかりとこだわり、女性で1人でもふらりと立ち寄れそうなモダンで明るい雰囲気です。
“立呑み”というカジュアルなスタイルながら、出すお料理は本格的というところは、「立呑み 鉄砲玉」とも共通していますね(オーナーの正木さんは割烹料理店などで腕を磨いた方)。
また、オーナーである正木さんが惚れ込んだという台湾茶「UMACHA」をていねいに前日から水出ししてお茶割に使用。上品で洗練された香りを壊さぬよう、クセのない甲殻類焼酎で割り、あえてアルコール度数も抑えるというこだわりようです。
この他、中国酒やビール、グラスワインなど、常時20~25種類のドリンクを揃えるなどお料理に合わせてお酒も楽しくペアリングできるスタイルとなっています。
それでは、内覧会でいただいたお料理をダイジェストでご紹介していきましょう。
「立呑み中華 起率礼」のイチオシメニューは「名物 よだれ鶏」
クセがなくうま味の強い総州古白鶏(そうしゅうこはくどり)を使ったよだれ鶏。弾力のある歯ごたえも楽しめます。
オリジナルの甘辛いタレは数種類の香辛料で香り付けされており、自家製ラー油のパンチのある辛さが鶏のうま味をより一層引き立たせています。
こちらのメニューとぜひ一緒に注文してほしいのが「花巻」。残ったタレをたっぷりとしみこませていただくと至福のひと時です。
「花巻」とはミルク風味のパンを蒸してつくる中国の蒸しパンのこと。中華料理店でよく見かけるのは花の形に成形したものですが、内覧会では丸い形状のものが提供されました。
こちらのタレ、そのままなめながらお酒がグイグイ飲める味付け。シュウマイなどをつけていただいてもおいしい、万能タレとなっていました。
和食でいう”白和え”の概念を覆す「立呑み中華 起率礼」の「白和え」
和食で提供される「白和え」はどこかやさしい味付けで、淡泊な印象を受けます。しかし「立呑み中華 起率礼」の「白和え」はもちろん中華のアレンジ。
ピータンやザーサイ、パクチーなどを使ってインパクトのある味付けに。芝麻醤(チーマージャン)を和え衣に使用して、まろやかな味わいにまとめていました。
点心師に依頼して作ってもらっているシュウマイ
お店で出しているシュウマイはなんと1個からも注文可能。内覧会では肉シュウマイを試食させていただきました。
点心をつくる専門家である「点心師」がつくるシュウマイはふっくらジューシー。プルプルとした皮と肉餡が最高です。
さっぱりとしてお酒が進む「煮豚(黒酢味)」
豚バラ肉を使う煮豚はちょっと脂っぽいイメージでしたが、「立呑み中華 起率礼」の「煮豚」はとてもジューシーで箸で切れるぐらいにやわらかです。
黒酢のおかげでさっぱりとした風味と豚肉のうま味が素晴らしい一品。お酒がぐんぐん進みます。
甘めに炊いた肉味噌が絡む「熟成麻婆豆腐」
「麻婆豆腐」といえば中国・四川料理の一つ。赤唐辛子や花椒(ホアジャオ)、豆板醤、豆豉(トーチ―)などを使ってピリ辛に仕上げるのが一般的です。
井上さんは広東料理出身ということで甘めに炊いた肉味噌に、3年熟成のピーシェン豆板醤をブレンド。角のとれたまろやかな辛さを感じる味わいに仕上げています。
葉ニンニクの食感や香りも楽しめる一皿でした。
ふっくらジューシーな味わいの「野菜まんじゅう」
先ほどのシュウマイ同様、こちらも点心師がつくる「野菜まんじゅう」。小松菜としいたけ、肉で作った餡を包み蒸しあげています。
まんじゅうの餡は日によって異なるそうですが、この「野菜まんじゅう」絶品です。ともかくしいたけのうま味がたっぷりで、何個でもいけそうな勢いでした。
魚を塩漬けにして発酵させた咸魚で味付け「ハムユイ炒飯」
咸魚(ハムユイ)とは、イシモチやコノシロなどの魚を塩漬けにして、半発酵させてから天日干しにした発酵食品。香港の人は咸魚があればご飯何杯でもイケる、というぐらい生活に根付いています。
「ハムユイ炒飯」は余分な調味料は使わず、シンプルに咸魚で味付け。発酵食品ならではの濃厚なうま味と塩味はいままで食べたことがないおいしさでした。
お米もジャスミンライスを使い、卵、ネギだけでシンプルに仕上げています。
ピーナッツバターを使った「汁なし坦々刀削麺」
担々麺というとゴマ油や練りごま、オイスターソース、ラー油を使った味付けというイメージ。しかし「立呑み中華 起率礼」の「汁なし坦々刀削麺」は一味も二味も違います。
もちもちの生刀削麺に、ピーナッツバター、肉味噌、自家製ラー油、花椒などの濃厚タレを絡めて提供。マイルドだけど、ピリッとした辛味が鼻を抜けます。
トッピングに使われているのは「sio」の鳥羽シェフがサラダ専用に考案したナッツだそうで、お店では「汁なし坦々刀削麺」のトッピングに採用しました。
途中、手作りのオレンジ酢(酢の中にオレンジの果実を漬け込んでいる)をかけていただくと、さっぱりとしていて爽やかな香りが広がる坦々刀削麺に。
食べるそばからまた食べたくなる絶品麺でした。
正木さんの店名に対するこだわりが貫かれている「立呑み中華 起率礼」
お店の名前である「起率礼」は立呑みであることから。「率」は人を引き連れてくるという意味合いも込めて使用しているそうです。
居酒屋で検索してもなかなか出てこない「名前」にこだわったという点では、もう一つの正木さんのお店「立呑み 鉄砲玉」も同様だといいます。
「立呑み 鉄砲玉」よりも若干スペースが広い「立呑み中華 起率礼」の方が、現在ゆったりめにお客様を案内しているとのこと。最大で15名ぐらいを定員としているそうですが、本来なら20名以上はイケる!とおっしゃっていました。
内覧会の後、「立呑み中華 起率礼」にすかさず再訪
実はあまりにもお料理・お酒がおいしくて、内覧会があった週の金曜日夜に家人と再訪。20時過ぎでしたが、店内はほぼ満席状態でした。
「立呑み中華 起率礼」は予約不可。お店を訪問した時、タイミング良く空いていれば入店できます。
私たちが訪れた時はちょうどお客様が帰られる時で運が良かったです。遠くから足を運ぶ場合は、事前に電話を入れて混雑具合を確認しておくとよいとおっしゃっていました。
前回飲まなかったドラゴンハイボール(善醸仕込み)と桂花蜜烏龍(きんもくせいウーロン)のお茶割で乾杯。ドラゴンハイボールに使われているのは「古越龍山善醸仕込み」といわれる紹興酒です。
ロックやハイボールで美味しく呑める濃厚で上品な甘さとコクが楽しめるというもの。ドラゴンハイボールという名称は、永昌源が商標登録している紹興酒の飲み方提案のことなのだそうです。
家人が飲んだ「桂花蜜烏龍」はキンモクセイの甘い香り、清涼感があり、甘さが一切ないので、お茶そのものの味わいが楽しめる一杯です。
内覧会とだぶらないメニューを簡単にご紹介します。
トマト卵炒め パルミジャーノ掛け
トマトのうま味たっぷりの一品。卵の火の入り方が絶妙でふわっとしたくちどけです。
中華の味付けですが、どこか洋風のアクセントがあるチーズの風味とのバランスが最高でした。
焼きそば
内覧会では汁なし坦々刀削麺でしたが、この日は焼きそば。糸のような細麺で味がしっかりと染みており、坦々麺とはまた違ったおいしさです。
海老のマヨネーズ和え
プリプリの海老と少し甘めのマヨネーズソース。私たちがラストの一品を注文してしまいました。人気なんですね。
この他、「名物 よだれ鶏」「花巻」「野菜まんじゅう」も注文。2人で行きましたがいろいろなメニューが少しずつ食べられるのでとてもよかったです。
学芸大学駅近くの「立呑み 鉄砲玉」に比べると、自由が丘の「立呑み中華 起率礼」を訪問されたお客様の飲食代は、お酒よりフードの割合が高いと正木さん。
こんなにおいしいお料理が食べられるのなら、ついつい頼んじゃうのも無理はありません。かしこまって飲んだり食べたりするのではなく、”袖振り合うも他生の縁”といった雰囲気で楽しく呑める「立呑み中華 起率礼」。
一見さんも常連さんも、あらゆる世代が気兼ねなく呑める居心地の良さが魅力です。皆さんもぜひ、一度顔を出してみてくださいね。
■取材協力
↓「立呑み中華 起率礼」の場所はこちらになります。