【目黒区】希少な八丈島焼酎と郷土料理が楽しめる「源八船頭 中目黒店」、明日葉とくさやのイメージを変える絶品料理をぜひ試してみて
中目黒駅から徒歩約2分、「中目黒アリーナ2階」にある八丈島郷土料理「源八船頭 中目黒店」。創業1980年、小岩が本店の老舗居酒屋です。
八丈島出身の先代夫婦が上京し、小岩でお店をスタートさせて約40年。その後、5年ほど前に現在のオーナーがお店を引き継ぎ、八丈島の島の恵みを本場さながらに楽しめる希少な場所として2023年4月、中目黒にも出店されたそうです。
今回はあまりなじみがない八丈島の郷土料理の魅力をさまざまな世代にも知って欲しい、ということでメディア向けの内覧会が開催されました。3月からの新メニューを中心に試食させていただきましたのでご紹介していきましょう。
そもそも八丈島とはどんな場所?伊豆諸島の一つで東京都の離島です
八丈島は東京の南、海上約290㎞に位置し、面積約70㎢のひょうたん型をした島です。伊豆大島や三宅島などと共に伊豆諸島の中の一つ。
飛行機なら羽田から約1時間(ANAが1日3往復)、竹芝桟橋から片道約10時間20分(東海汽船が1日1往復)でアクセスできます。気候は温暖でアオムロアジやトビウオなどを使った干物”くさや”や明日葉、島寿司などが有名。
薩摩焼酎をルーツに持つという八丈島の島焼酎はあまり島外へ出回らないため、大変希少だといわれています。現在、焼酎を造っている蔵元が4軒あり、芋、麦、麦と芋のブレンドなど、各蔵元オリジナルの自慢の本格焼酎を製造しているそうです(参照元:八丈島観光協会ホームページより)。
八丈島の郷土料理や島焼酎を気軽に楽しめる居酒屋「源八船頭 中目黒店」
東京都とはいえ、離島ゆえに交通手段が限られる八丈島。独自に育まれてきた食文化・郷土料理を都内で気軽に体験できるお店はそう多くありません。
健康食材として有名な明日葉やニオイがキツイとして有名な”くさや”は聞いたことがあるけれど、食べたことはない、という方も多いのでは?私もその1人です。
今回は3月からお店で提供をスタートさせる以下の新メニューを試食させていただきました。
- 長田商店のくさやとクリームチーズ
- 明日葉のピリ辛にんにく炒め
- 桜海老と明日葉のかき揚げ
- 北海ダコと明日葉の酢味噌あえ
さらに八丈島の名物である島寿司も試食。
いったいどんな味なのか、八丈島の”食”の魅力についてダイジェストでご紹介していきましょう。
近海で獲れた旬の魚をヅケにし、わさびの代わりにカラシを載せていただく「島寿司」
八丈島の郷土料理といえばやっぱり島寿司。元々は船で漁に出る際、鮮度を保つためにつくられたといわれています。
近海で獲れた旬の魚介類を醤油ベースのタレでヅケにし、わさびではなくカラシで食べるのが島のスタイル。島でわさびが栽培できなかったために、カラシで代用していたそうです。
お店でいただいた島寿司は4貫握った「ちょいと島寿司」というメニュー。普段使用しているお魚はマグロ、カジキ、ブリ(もしくはさわら)、メダイなどです。
メダイはなかなか手に入らないそうなので、市場に入荷したらすかさず抑えているとおっしゃっていました。
こちらの島寿司、やや甘めの味付けです。タレが甘いのかと思ったら、酢飯が甘いのだそう。
関西のシャリも甘めですが、八丈島はそれ以上に甘い。その分、ヅケのタレをしょっぱく仕上げて上手にバランスをとっていました。
わさびではなくカラシ、というのが新鮮。1つのお料理として完成されたおいしい一品になっていました。
焼酎がグイグイ進んでしまいそう「北海ダコと明日葉の酢味噌あえ」
3月の新メニュー、一品目は「北海ダコと明日葉の酢味噌あえ」。歯ごたえがありつつも身がやわらかい北海ダコと、爽やかな香りとほのかな苦みがおいしい明日葉を味噌のコクと酸味、甘味でバランスよく仕上げた一品です。
島寿司に使う魚を含め料理人さん自らが市場に足を運び、自分の目利きで仕入れを行っているとのこと。明日葉は八丈島の栽培農家・千葉さんと年間契約し、新鮮なものを毎日仕入れているそうです。
千葉さんの明日葉は茎が太く、しっかりしているのが特徴。栄養価を維持するため、同じ畑での輪作は避けて、丁寧に育てているそうです。
明日葉は野菜の中でもビタミン、ミネラル、食物をバランスよく豊富に含んでいる健康野菜として知られています。「今日摘んでも明日にはもう芽が出てくる」生命力の強い植物ということからその名がついたとか。
明日葉は苦くて食べにくいのでは、と思われるかもしれませんが、まったくそのようなことはなく、お酒のアテに最高です。明日葉のイメージががらりと変わりました。
“くさや”初心者でも美味しくいただけた「長田商店のくさやとクリームチーズ」
二品目は「長田商店のくさやとクリームチーズ」です。長田商店は1979年創業で現在の店主さんは二代目。
“くさや”は”くさや液”と呼ばれる調味料に漬け込んだ後、塩分やくさや液を水に漬けて抜き、天日干しか乾燥機で干物にしたものです。くさやは一般の干物よりも塩分濃度が低いのですが、くさや液に含まれるくさや菌(乳酸菌の一種)のおかげで長期保存ができるのが特徴。
“くさや液”は島で貴重だった年貢の塩を節約するために生み出されたのではといわれています。塩干を作る塩水を捨てずに繰り返し使い続けていたところ、魚のたんぱく質をもとに発酵が始まり、”くさや液”が完成されていったようです(参照元:長田商店ホームページより)。
“くさや液”はお店や家庭により独自のものとして進化。古ければ古いほどよいとされ、ぬか床のように同じものはないとか。
今回初めてくさやをいただきましたが、思っていたよりも香りはマイルドです。ちなみに八丈島のくさやは他の島で作られたものよりも、食べやすいといわれています。
同じ発酵食品であるクリームチーズとの相性も抜群。塩分は控えつつも、かみしめるたびに旨味が口の中に広がります。
チーズにも外皮を塩水やお酒で洗いながら熟成させるウォッシュタイプのものがあり、製造方法がちょっと似ていると思いました。こちらも匂いが強いですが、とてもおいしいので、発酵食品とは面白いものです。
ニンニクの芽の甘さが明日葉の苦味との絶妙なバランスを生み出す「明日葉のピリ辛にんにく炒め」
続いて「明日葉のピリ辛ニンニク炒め」です。明日葉の茎は硬めですが、さっと下茹でしておくと灰汁が抜け、油で炒めることでさらにクセが抑えられて食べやすくなります。
やわらかな食感で甘味もあるにんにく芽と、硬めの食感でほろ苦い明日葉の組み合わせがバランスがよく、ピリ辛な味付けでまたお酒が進むこと間違いなしですね。
塩でいただくサックサクのおいしさ「桜海老と明日葉のかき揚げ」
最後にご紹介するのは「桜海老と明日葉のかき揚げ」です。せり科の野菜は苦手、という方ならこちらがいちばんのおすすめ。
山菜も天ぷらにすると苦味が抜けて食べやすくなるように、明日葉のおいしさを気軽に実感してもらえるメニューなのではないでしょうか。
添えられている塩は2種類でグリーンの塩は明日葉塩だそうです。
サクサクの食感と桜海老の甘味、明日葉のうま味。少しクセのある野菜はやっぱり油との相性が抜群だと感じます。
ちなみに上写真は「明日葉の天ぷら」通常メニューです。写真ではちょっとわかりにくいですがかなりの山盛り。
しかし、カラっと揚がっていたのでペロリと食べられてしまいそうでした。今回試食させていただいた新メニューは1人で何種類も試食できるよう、小さめのポーションでの提供でしたので、通常メニューはもう少し量が多くなります。
島外になかなか出回らない希少な島焼酎も置いてある「源八船頭 中目黒店」
八丈島といえばかつて流刑地。時代劇などで「島流し」にされるというシーンがよく描かれています。
八丈島の焼酎はこの流罪の歴史とも関わりがあったそうです。
時は1853年、鹿児島の商人であった丹宗庄右ェ門(たんそう しょうえもん)が琉球との密貿易(抜け舟)の罪で八丈島に。この時、八丈島では雑穀を使ったどぶろくが飲まれていたそうです。
庄右ェ門は島でさつま芋を作っていたのを見て、実家から蒸留器を取り寄せ、島民に焼酎づくりを教えました。これが八丈島の焼酎造りの始まりでした(参照元:八丈興発株式会社ホームページより)。
当時お米が貴重だったことから麦麹を使う製法が根付き、麦麹で仕込む芋焼酎という珍しいスタイルが定着したのだとか。その後、さつま芋の栽培が減り、芋麦ブレンド焼酎や麦焼酎を造り始めて、3種類の焼酎があるという独自の文化を持っているそうです。
八丈島で最も古い酒造は八丈島酒造(1915年創業)で、「八重椿」「島流し」「江戸駐」などを製造。八丈興発は1947年創業で「情け嶋」を製造しています。
「ジョナリ―」「黒潮」「黄八丈」で知られているのは坂下酒造。「島の華」「潮梅」は樫立酒造です。
「源八船頭 中目黒店」ではこれらの焼酎が楽しめますので、訪れた際はぜひ島酒も一緒に楽しんでくださいね。
■取材協力
↓「源八船頭 中目黒店」の場所はこちらになります。