【目黒区】自由が丘駅前の「不二屋書店」が102年の歴史に幕。2月20日(木)で閉店してしまいます

不二屋書店が閉店

自由が丘駅前ロータリーの目の前にある「不二屋書店」が、大変残念なことに2024年2月20日(木)で閉店してしまいます。街に根付き、街とともに歴史を見守って来た本屋さんがまた1つ、姿を消してしまうのです。

102年の歴史に幕

2023年12月には中目黒駅からすぐのところにあった「新高堂書店」が閉店。

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2024年8月には祐天寺駅すぐ近くにあった「王様書房」も店舗営業を終了してしまいました。

本を取り巻く環境の変化はすさまじく、どの書店も身を切る努力を重ねてきましたが、今までと変わらず店舗を維持することが難しい状況となっているようです。

「不二屋書店」は1922年に奥沢で創業

「不二屋書店」は現三代目社長・門坂直美さんのご祖父様が創業。1922年(大正11年)に世田谷区奥沢の町でお店を始めました。

1929年(昭和4年)に自由が丘に移転するも、戦争により店舗は焼失。店のあった場所にロータリーを作るということで現在の場所に店を構えた、と聞いたそうです(参照元:東京都書店商業組合「東京の本屋さん ~街に本屋があるということ~」より)。

ご両親が大変苦労されているのを見て「絶対本屋だけはやるまい」と決めていたという門坂さん。しかし、結局は仕事を辞めて後継ぎとして、書店を切り盛りされてきました。

“街の書店は子どもを育てる”存在であるべき。「不二屋書店」が祖父の代から守り続けてきたこと

書店は街の子どもたちを育てる存在

書店のレジに向かって左脇は“ゴールデンゾーン”と呼ぶそうで、「不二屋書店」はここに児童書を集めているそうです。

「児童書は街の子どもたちを育てる。書店は街の子どもたちを育てていかなければいけない。書店にはその責任があるので、児童書は大事にしなさい」

というご祖父様のことばを守り、創業以来、レジ脇には児童書を置くと決められていたとのこと。そしてその向かい側には実用書を置き、子連れで保護者の方が来店された時、自然に動ける動線を意識されています。

そして「不二屋書店」に欠かせないのが地元、自由が丘にオフィスがある「ミシマ社」コーナー。ミシマ社の書籍は地元から固定ファンが多いので、1階書棚に専用のコーナーを設けているそうです。

2023年に突如あらわれた壁画も話題になった「不二屋書店」

不二屋書店の壁に描かれている壁画

2023年に「不二屋書店」の壁にまるでバンクシ―のような壁画が登場して、街の話題をさらいました。2023年2月に行われた「第1回自由が丘ねこまつり」の開催を記念し、グラフィティアーティスト・HYKRX(ひゃくらく)さんが描いたもの。

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型紙を当ててスプレーで描く「ステンシル」という手法で、雲に乗った子どもが持つ釣りざおの先にハートが結ばれているという図柄です。「それぞれの解釈で楽しんでほしい」ということであえてタイトルは付けなかったとのこと。

門坂さんご自身が、自由が丘ねこまつりの企画・運営にも携わてきたことによるご縁で実現した壁画アートでした。

“街が欲しているニーズに応える”、街の本屋さんが担ってきた存在意義

街の本屋さんの存在意義

門坂さんがインタビューの中で、「本を実際に手に取って選べるのは、書店だけ。その街のニーズを知って商品を取り揃えることができるのも、街の書店だけ」とおっしゃっていましたが、その通りだと感じる方も多いのではないでしょうか。

私自身、活字中毒でむさぼるように本を読み、近所の書店に入り浸ってきました。特定のジャンルの本が欲しい時は、その本を揃えている本屋に遠征するなど、確かに街と書店との関係は深いと感じてきた1人でもあります。

今はネットで注文すれば2~3日で手元に届きますが、本屋を訪れて新しい本に出合う喜びや知的好奇心を満たすチャンスは少なくなりました。

街から消えゆく書店

「不二屋書店」の閉店のお知らせより、以下のようなコメントがありました。

不二屋書店は、2月20日(木)までお客様のご要望にお応えするべくスタッフ一堂精一杯の努力をしてまいります。
しかしながらそれ以降は隣駅の都立大学に「八雲堂書店」、学芸大学には「恭文堂書店がございます。
両書店とも不二屋書店と同じく、街の書店として苦しいなか頑張っておられます。
お引き立てのほど、どうぞよろしくお願いします。

街を愛し、愛されてきた「街の本屋さん」がまた1つ、姿を消してしまうことになり、寂しい限り。定期購読や取り寄せをお願いされている方はご注意くださいね。

↓「不二屋書店」の場所はこちらになります。

Chikuwa

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