【目黒区】目黒区の災害対策として移動式の水洗トイレを備えた「トイレトラック」を導入。12月16日(火)に行われたお披露目式を取材してきました

目黒区では災害時のトイレ対策の一翼として、トイレトラックを導入。2025年12月16日(火)に目黒区総合庁舎で、「災害時トイレトラック協定締結式・お披露目式」が行われました。
目黒区は「助けあい」の理念に立ち、一般社団法人助けあいジャパンの活動である「災害派遣トイレネットワークプロジェクト」に賛同・参加。今回導入されたトイレトラックは今後、要望に応じて被災地への派遣も行うことになっています。

締結式の様子
なお、今回のトイレトラックは区民の方からの寄付を契機に、導入がかなえられたそうです。
災害時、いちばん問題になるのが”トイレ”
地震や豪雨など自然災害が激甚化している中、避難生活での衛生環境の確保は極めて重要です。目黒区では、健康被害・感染症のリスクを軽減し、生活の質向上に役立つトイレ対策をと、マンホールトイレや簡易トイレ等の避難所への整備を進めてきました。

写真向かって左がマンホールトイレ(西小山「防災デー」より)
先日、おじゃました西小山の「防災デー」で実際、マンホールトイレを拝見しています。
この時防災課の方から、地震の後、約4割が3時間以内にトイレにいきたくなったというアンケート結果(平成28年熊本地震「避難生活におけるトイレに関するアンケート」 調査:大正大学人間学部人間環境学科 岡山朋子 協力:NPO法人日本トイレ研究所)を紹介していました。
災害後に水道が停まってしまった場合、3時間では復旧できない可能性も十分あり得ます。
1人1日5~7回がトイレの回数の目安といわれているので、最低でも3日~7日分を目安にした非常用トイレの備蓄を心がけてほしいとのこと。しかし、復旧までに長引いてしまった場合はどうするのか。
2024年1月の能登半島地震の被災地では、断水や停電によるトイレ不足が問題となり、タンクで給水できる水洗トイレを備えたトラックやトレーラーが各地から派遣され、活用されました。
目黒区では災害時のトイレ問題に対応するため、さまざまな対策を検討。そうした中、区民の方から寄付の申し出をいただき、そのご厚意を契機に水洗トイレを備えた「トイレトラック」の導入が実現した、というわけです。
目黒区で導入したトイレトラックとはどんなもの?

今回、目黒区で導入されたトイレトラックは災害時の断水・停電下でもすぐに使えるよう設計された移動式の水洗トイレ搭載車両です。

給水タンクと汚水タンクを備え、車内には洋式トイレ4室の他、電動リフトの付いた多機能トイレ1室の合計5室ありました。

多機能トイレには電動リフト付き
多機能トイレにはおむつ交換台とキッズチェア、オストメイトも完備されています。

多機能トイレの内部
停電時も安心して利用できるよう、発電用の太陽光パネルなどが備えられ、タンクが満水の状態で950回から1300回ほど、使用可能だということです。
目黒区が参加する「災害派遣トイレネットワークプロジェクト」とは?

助けあいジャパン共同代表理事・石川淳哉 さんと青木区長
「災害派遣トイレネットワークプロジェクト」は、助けあいジャパンが推進している取り組み。
全国の自治体が災害派遣用トイレカーを保有・管理し、大規模災害時に被災地へ相互に派遣し合うことで、トイレ不足の解消を目指す「みんな元気になるトイレ」という助け合いの仕組みのことです。
2026年3月末には57自治体が参加予定。調整から給水、点検・修繕まで、参加自治体と支援パッケージを構築しています。
災害そのもので亡くなる方以外にも、避難生活の過労・ストレス、持病の悪化、栄養不足、医療機関の機能停止など、災害による間接的な負担や影響が原因で引き起こされる”災害関連死”も多くあるというのが現状。
水道が停まると洗浄ができなくなり、悪臭や感染症発生の要因になります。トイレが使えなくなると我慢する、水分を控えるなどにより病気を引き起こす可能性も。
トイレは私たちが生きていく上で必要不可欠なライフラインなのです。
共同代表理事である石川さんによると「現在82カ所からトイレトラックの派遣を要望されているが、全然足りていない。能登半島地震でさえも救えていない」とのこと。
もし、南海トラフ地震が起きたら?首都直下型地震の時は?
助けあいジャパンでは次に起きる大災害で災害関連死を未然に防ぐため、2つのプロジェクトを推進中。興味を持たれた方はぜひ、こちらのページをご覧ください。
「トイレトラック」の車体は目黒ならではのモチーフと心が華やぎ、安らぐデザインに

目黒川の満開の桜をデザイン(昼間)
トイレトラックの側面は昼と夜の目黒川沿いに咲く満開の桜を、後部には上空から見た夜の目黒天空庭園を描いています。実際にデザインされたのは広報広聴課所属のデザイナー。

後部は目黒天空庭園の夜景
被災して心身が疲労し、緊張が続く中、ふと心がやわらぐような華やかさと元気を取り戻せる、そして目黒区ならではのデザインをと考え、区民の方に4案提案。その中の1つとして今回のデザインが採用されました。

私事ではありますが、東日本大震災で福島にある実家が被災。福島原発事故で帰宅困難区域になった南相馬市、飯舘村、浪江町、双葉町、富岡町なども解除前に2度、視察しています。
その時に見た請戸浜の海岸や富岡町の桜があまりにも美しかったこと、その海や花を安心して楽しむことができない哀しさを今でも忘れられません。

福島県浪江町の請戸浜(2016年撮影)
その街の何気ない風景や自然の美しさはそこで暮らす人の支えであり、日常を取り戻し、また立ち上がろうとする力になると感じます。目黒区の魅力は目黒川の桜だけではありませんが、誰もが認める”華やかさ”と”美しさ”です。
締結式の時に目黒区議団の鈴木まさし議長が「区民からの寄付、区民が決めたデザインで走るトイレトラックは、共助の精神のシンボルでもある」とおっしゃっていました。いざという時に区民を支える力になり、また、誰かの安心と癒しを届ける力にもなる目黒区のトイレトラック。
これからの活躍が楽しみですね。
平時には地元のお祭りやイベント、防災訓練でこちらのトイレトラック、目にするチャンスがあるかも。また、大規模災害が発生した場合、目黒区のトイレトラックが元気と希望を届けられたら嬉しいですね。
■取材協力






