【目黒区】西郷従道の邸宅跡に開園した菅刈(すげかり)公園。西郷山公園同様、早咲きの河津桜が満開でした

寒桜も咲く菅刈公園(2026年2月14日撮影)
東急東横線・代官山駅から徒歩約13分のところにある菅刈(すげかり)公園。西郷山公園とともに西郷隆盛の弟である従道(じゅうどう・つぐみち)の邸宅跡として知られています。
この記事ではめぐろ観光まちづくり協会のボランティアガイド研修で訪れた菅刈公園の歴史や魅力についてご紹介していきたいと思います。

西郷山公園も早咲きの河津桜が美しく咲くことで有名ですが、菅刈公園も寒桜や河津桜があり、訪れた日はすでに桜の木の下でお花見を楽しむご家族連れなどがいらっしゃいました。
西郷従道氏の邸宅「和館」「洋館」や庭園があった場所が菅刈公園

西郷山公園から徒歩約2分のところにある菅刈公園。公園と公園の間には住宅が挟まっているので、少しわかりにくいかもしれません。
文部卿・陸軍卿・農商務卿・内務卿・海相などを歴任した西郷従道氏の功績については西郷山公園で詳しくご紹介しているので、この記事では邸宅や当時の様子などを中心にご紹介してきましょう。
江戸時代は豊後岡藩(中川家)のお抱え屋敷
旧・西郷邸があった場所、江戸時代は中川修理大夫のお抱え屋敷(別邸)であったそうです。中川修理大夫は「荒城の月」で知られる岡(竹田)城主。

三田用水から水を引き、近郊随一といわれた庭園は、江戸時代の地誌「江戸砂子補正」に名所として紹介されていたそうです(参照元:和館内にある資料館より)。
三田上水については下記の記事もぜひ参考になさってください。
明治天皇も来邸

菅刈公園東入口
公園の東入口から入ると、すぐ右手には「明治天皇行幸所西郷邸」の記念碑があります。

従道氏が海軍大臣であった1889年(明治22年)に明治天皇の行幸や皇后・皇太后の行啓があったそうです。それに備えて、旧薩摩藩の棟梁・伊集院の設計により書院(空襲で焼失)が建造されました。
天皇は庭園で大相撲や薩摩踊りを、皇后は当時従道が後援していた養蚕技術の改良成果の展示を観覧したと伝わるそうです(参照元:目黒区ホームページより)。
邸内には、養蚕所のほか農園・果樹園もあり、機織りやトマトソースの製造・缶詰加工も行われていたというから驚きです。
展示室の資料を見ると、7割は麦畑・桑畑・野菜畑。庭には七面鳥・にわとりなどを飼い、牛を育て自家用牛乳まで採っていたとあります。
西郷邸の山の部分は箱根土地に、和館・洋館があったところは国鉄に売却
1941年に西郷家は渋谷へ移転。現在、西郷山公園となっている山の部分は箱根土地(西武グループの中核企業のひとつ)に売却され、西郷山文化村分譲地として宅地化。
戦争中は園内の池が埋め立てられて耕地になっていたそうです。
戦後は和館・洋館を含めた土地を日本国有鉄道(現在のJR)に売却。建物は1945年(昭和20年)まで日本通運や国鉄職員の錬成道場などとして使われていた時期がありました。
傘下のプロ野球チーム「国鉄スワローズ」の選手合宿所として使用されたことも。

西郷山公園(2026年2月14日撮影)
1981年(昭和56年)に目黒区が約1ヘクタールを購入し、西郷山公園として開園しています。菅刈公園も同様に目黒区が1997年(平成9年)に購入し、2001年(平成13年)に開園しました。
洋館は「博物館明治村」へ移築

従道邸の洋館、設計にはフランス人の建築家・ジュール・レスカスが担当したといわれています。レスカスは三菱の日本橋川「七ツ蔵(赤レンガ倉庫)」などを手がけたお雇い外国人。
建物は木造2階建て、銅板葺き、和洋折衷、明治初期の洋風上級住宅の好例として貴重な存在です。建具類はほとんどフランス直輸入で軽量化をしつつ、耐震性を高めるなどの工夫がありました。

(和館展示室より)
2階には日本三景と富士山が描かれた陶板(瀬戸焼)で飾った暖炉、1階の婦人室の暖炉・額縁は漆塗りなど、アート作品としても美しい造りなのだそうです。
当時のセレブや国賓をもてなす“鹿鳴館”として知られ、1933年(昭和8年)には洋館・書院などの建物、庭園が国の史蹟指定に(昭和23年に解除)。

(和館展示室より)
1964年(昭和39年)に洋館は愛知県犬山市にある明治時代の建築物を移築・保存する野外博物館「博物館明治村」へ譲渡・移築されました。現在は国の重要文化財に指定されています。

(和館展示室より)
ちなみに余談ですが、こちらの建物は人気漫画・アニメ「ゴールデンカムイ」に登場する鯉登少尉の実家モデルとなった建物として、現在は聖地巡礼先として大人気なのだそうです。
1997年(平成9年)に目黒区が行った調査によると、建物基礎に使用された石が発見され、洋館跡がほぼ正確に特定できました。公園整備にあたり、建物のあった場所の記念とするため、洋館跡を石の縁取りで表記。

三尊石
洋館のバルコニー前にある区内最大のいちょうの木や芝生広場にある三尊石は往時の場所のまま残されていますよ。公園の南入口から入ると目の前です。
「和館」「庭園」は復原されたもの

「和館」は従道氏の本邸として使われてきたもの(従道氏が亡くなられた後は次男の西郷従徳氏の本邸)。現在、公園内にある和館は開園時に造られたもので、かつて書院があった場所です。

和館の中には展示室、区民等が利用できる和室などもあり、茶道・華道・句会などの趣味的な集いに開放されています。

(和漢展示室より)
展示室にはかつての所有者西郷従道氏についてや、発掘調査の様子などを知ることができる貴重な資料が展示されていますのでぜひ立ち寄って欲しいスポットです。

和館の目の前には江戸時代につくられたという回遊式庭園を復原。和館からゆったりと眺めながらくつろぐこともできるので、海外からの観光客も訪れていました。
2月は梅の花が満開に!

(2026年2月14日撮影)
和館への入口手前、向かって左手には梅の木が植えられており、2月に訪れた際は美しい花を咲かせていました。
桜もいいですが梅の花も香りがよく、可憐で素敵です。
家族連れで賑わう、菅刈公園で遊具がある芝生広場

菅刈公園 芝生広場
公園の西入口から入ると目の間は芝生広場。

(2026年2月14日撮影)
滑り台脇には河津桜が植えられており、2月14日(土)に訪れた際はまだ4~5分咲きといったところ。その翌週、21日(土)にボランティアガイドの研修で訪れた際はほぼ満開で美しく咲き誇る桜を撮影されている方が大勢いらっしゃいました。

この他、園内にはソメイヨシノや寒桜などもあるので、時期をずらしながら桜のお花見が楽しめそうですね。

寒桜(2026年2月14日撮影)
寒桜は2月中旬頃から見ごろを迎えるので、すでに満開に近い状態。

(2026年2月14日撮影)
たくさんの鳥たちが蜜を吸いにやってきていました。

芝生広場の上は松林や保存樹林となっており、豊かな自然が残されています。都会の真ん中とは思えないほど、ゆったりとした場所ですので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。








