【目黒区】影絵作家・藤城清治さんの作品が洗足商店街の街路灯になりました。幻想的で温かな灯りで街全体を美術館に

洗足駅前から広がるいちょう通り

洗足いちょう通り

2025年2月に洗足商店街振興組合が実施した街路灯リニューアル。老朽化した街路灯46基建て替えに伴い、洗足にゆかりのある影絵作家・藤城清治さんの作品を採用した中間灯を設置しました。

昭和世代ならなじみの深い藤城さんの影絵。私自身も藤城さんの影絵に親しみながら育った世代です。

今回は洗足という街の歴史や、洗足商店街の街路灯リニューアルプロジェクトの経緯などを含め、藤城さんの作品世界の魅力を紐解きます。

2023年に開業100周年を迎えた洗足駅

開業100周年を2023年に迎えた洗足駅

洗足駅

洗足駅周辺は明治・大正の実業家として知られる渋沢栄一さんが手がけた「洗足田園都市」開発で、1922年(大正11年)12月に最初に分譲を開始した住宅地です。渋沢さんが立ち上げた田園都市株式会社は、多摩川台(現在の田園調布)大岡山地区の用地等を買収。

電鉄部を設けて「目黒⇔大岡山」間の工事を行い、1923年(大正12年)3月11日に目黒蒲田電鉄が鉄道事業を受け継ぐ形で目蒲線(目黒⇔多摩川園)を開通し、「洗足駅」が開業されたそうです(洗足商店街振興組合ホームページより)。

開業100年を迎えた洗足駅周辺では2023年3月11日に「洗足100年祭」を開催。街をあげて賑やかに祝いました。

そして洗足商店街は2024年に目黒区・品川区に加えて大田区まで範囲を広げ、都内初となる「3区にまたがる商店街」に。閑静な住宅街ながらもゆるやかに発展する街として歩みを進めています。

洗足商店街が「光と影絵の街」に、街路灯リニューアルプロジェクト

老朽化が進む街路灯の建て替えを計画していた洗足商店街。街路灯をリニューアルするに当たり、「街のシンボルとして洗足オリジナルの街路灯を作りたい」「街路灯によって街や商店街を盛り上げたい」という強い想いから、洗足にゆかりのある影絵作家・藤城清治さんの影絵を活用した街路灯作成を企画。

目黒区や東京都とも連携しながら2年以上前からプロジェクトを進めてきたそうです。

そしてついに街路灯が完成。2025年3月20日(木)に「洗足街路灯完成記念イベント」が開催されました。オープニングセレモニーでは、なんと藤城清治さんご本人も登壇。

青木区長や街路灯を制作した賛光電器産業株式会社の寺本社長などと共にテープカットを行いました。

藤城清治さんの作品を街路灯にするにあたってのこだわり

街路灯は中間灯にこだわった

藤城さんの作品の魅力はなんといっても「光と影」が創り出す、幻想的で神秘的な無限の表現力。その世界観をできるだけ忠実に再現するため、中間灯を採用したそうです。

当初は円柱ではなく四角柱で制作を予定していたそうですが、賛光電器産業株式会社からの提案により、現在の円柱の形にたどり着いたとのこと。

また当初のデザインは46基のうち新作1基とする予定でしたが、最終的には8基も新作をデザインしてくださった藤城さん。残りの38基も全て異なるデザインとなっており、その配置も含めて藤城さんがアドバイスをしてくださったそうです(参照元:MEGURO+)。

藤城清治さんが手がけた新作は、愛猫「アビー」を中心としたデザインに

藤城さん作品のモチーフになってる愛猫「アビー」

「アビー」は藤城さんの愛猫で、作品を象徴するキャラクターとして数々のモチーフに登場しています。街路灯の新作を中心に、このアビーの愛くるしい表情が楽しめるデザインとなっているとのこと。

また新作の中に「生きている喜びをともに」という作品がありますが、この言葉は洗足商店街の街路灯リニューアルプロジェクトのサブテーマ「生きている喜びをともに ミライにつなぐ 光と影のファンタジー」にもなりました。

「今年101歳になる藤城さんの作品を通して、未来を背負っていく子どもたちに夢と希望を伝えていきたい」といった商店街の願いが込められているそうですよ。

世界的な影絵作家として活躍されている藤城清治さん

藤城清治さん

藤城清治さん

藤城清治さんは1924年生まれ。2025年で101歳のお誕生日を迎えられましたが、現在も現役で活躍されています。

学生時代に出会った人形劇、影絵劇に惹かれ、1948年頃から影絵作家の道へ。雑誌「暮らしの手帖」に影絵を連載し、多くのファンを獲得しました。

1961年に等身大人形劇「木馬座」を創設し、テレビ番組「木馬座アワー」のキャラクター“ケロヨン”が大人気を博し、いまもなお愛され続けています。

ケロヨンの街路灯

ケロヨンの街路灯

影絵だけではなく絵本や著書も多数出版されており、中でも宮沢賢治作品の影絵絵本「銀河鉄道の夜」は、2022年8月に新装版が発売されて話題に。

藤城清治さん作『銀河鉄道の夜』

藤城清治さん作『銀河鉄道の夜(株式会社講談社発行)』(プレスリリースより)

その活躍は高く評価され、紫綬褒章、勲四等旭日小綬章、ブラチスラヴァ国際絵本原画展(金のリンゴ賞)、厚生省児童福祉文化奨励賞、文化庁芸術祭 優秀賞など数々の受賞歴を誇ります。

藤城清治さんと洗足との浅からぬ関係

洗足にあるカフェ「ラ・ビー」

「ラ・ビー カフェ」

実は洗足駅から徒歩約3分のところに藤城さんがプロデュースした「ラ・ビー カフェ」があります。フードやドリンクを楽しみながらオリジナルグッズ・版画も販売。

お散歩の途中で藤城さんもふらりと立ち寄ることがある、ということでファンには魅力的なスポットとなっています。

一般の方でも空きがあれば来店OK

コロナ禍を経て会員登録制・事前予約制になりましたが、現在はカフェ会員以外でも利用可能に。来店当日、11時~16時まで電話で問合せし、空いていれば来店OKとなっています。

事前予約に関しては版画の購入検討もしくは、会員入会希望の場合にのみ受けているとのことでした。

また、栃木県那須高原にも2013年にオープンした「藤城清治美術館」があります。美術館の中には、過去最大サイズの横幅6mという巨大水槽を利用した渾身の大作「魔法の森に燃える再生の炎」が。

那須高原藤城清治美術館

那須高原藤城清治美術館

セットの裏側も見ることができるシアター型舞台、天井や壁面、床などの空間に映像が溶け込むプロジェクションマッピングなど、藤城さんが描き出す光と影の芸術に存分にひたれるスポットとなっています。

2024年に100歳を迎えたことを記念し、クラウドファンディングを立ち上げ、那須高原に新しい美術館設立も進行中。お近くに行かれる際はぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか。

洗足商店街の街路灯が創り出す、光と影の幻想的な世界。実際に拝見してきましたが、まるで物語世界へと入り込んだような錯覚を覚えました。

物語世界に浸れる洗足駅

洗足にお住まいの方なら学校や仕事帰りに駅を降りた後、温かく迎え入れてくれて、家までの足取りもきっと軽くなりますね。お食事やお買い物などでぜひ洗足を訪れて、藤城さんの心温まる世界観にぜひ包まれてみてくださいね。

【洗足街路灯が設置されているエリア】

洗足いちょう通り街路灯マップ

洗足いちょう通り街路灯マップ(画像提供:洗足商店街)

洗足の夜の「光と影のファンタジー」ページェント特設ページはこちら≫

【街灯に関する注意事項】
・近隣住民や周りの方にご迷惑にならぬようマナーを守って街路灯をお楽しみください。
・お車でお越しの際は近隣の駐車場をご利用になり、路上駐車はご遠慮ください。

■取材協力

洗足商店街目黒区 産業経済・消費生活課東京 ラ・ビー カフェ一般財団法人 藤城清治美術館那須高原

↓藤城清治さんの街路灯が楽しめる洗足駅・洗足いちょう通りはこちらです。

↓東京 ラ・ビーカフェの場所はこちらです。

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