【目黒区】めぐろ観光まちづくり協会主催「目黒観光講座」で「目黒川水質浄化対策施設建屋」に潜入。目黒川が夏でも臭わなくなった秘密をご紹介
一般社団法人めぐろ観光まちづくり協会が会員向けに開催している「目黒観光講座」、2025年9月17日(水)に行われた回に参加。前編では東京都指定有形文化財「百段階段」の歴史などについてご紹介しました。
後編では目黒川水質浄化対策の取り組みと、水質浄化施設「目黒川水質浄化対策施設建屋」を見学。目黒川が夏でもあまり臭わなくなった秘密を探ります。
夏になると以前は目黒川の太鼓橋付近で、悪臭や水の濁りなどが気になっていた
実は目黒川、中目黒~下目黒にかけては潮の満ち引きに影響され、川の流れが悪くなることがしばしば。

水が緑色ににごることも(2022年太鼓橋付近を撮影)
このためヘドロが溜まりやすくなる→夏になると水温が上がる→悪臭や水面の白濁化、スカム(汚泥などが水面に浮上したもの)等が発生する現象が生じていました。
こういった問題を解決すべく、東京都と目黒区、品川区、世田谷区で連携して進めてきたのが目黒川水質浄化対策計画。
その一環として、目黒川水質浄化対策施設「高濃度酸素溶解水供給施設」を2022年4月から2024年3月までの2年間かけて太鼓橋と亀の甲橋の間に整備しました。一時、「ホテル雅叙園東京」前の川沿い道路が通行止めになっていたのを覚えている方も多いはず。
建屋が完成した際、一時的に川沿いの道路が通行可能になっていたので、現場を見に行ったことがありました。
こちらの施設は2024年(令和6年)3月に完成し、現在稼働中です。
「目黒観光講座」でおじゃました時はとても暑い日でしたが、川の水に以前のような濁りはなく、悪臭もありません。

「高濃度酸素溶解水供給施設」の前の目黒川
普段は見ることができない「高濃度酸素溶解水供給施設」の内部などを目黒区都市整備部みどり土木政策課の出村さん、前田さんにご案内いただきました。
コンパクトな建屋の中には目黒川浄化の秘密がいっぱい
人数が多かったので出村さんチーム、前田さんチームと二手に分かれて施設内を巡ります。
川の水の悪臭や白濁化の原因の1つとなっている硫化水素の発生。それを抑制するため、川の底へ高濃度酸素溶解水を供給する施設がこの「高濃度酸素溶解水供給施設」です。
目黒川に設けた吸い込み口から、酸素不足に陥っていた川の水を引き込む
「高濃度酸素溶解水供給施設」の近くには、目黒川の水を建物内へ引き込む「取水施設」があります。以下、施設の概要です。

(資料提供:目黒区)
取水ポンプは塩分濃度が高いため、樹脂とチタンを使って錆びないように工夫。

目黒川の水を施設内に引き込む施設
維持管理のため、人力でもポンプが引き上げられるように桟橋構造になっているそうです。
こちらの設備は目黒川へ突き出すように作られているため、桟橋本体を照らすソーラー照明も備えられています。
また、春になると桜を楽しむクルーズ船などが運行されているため、建物の外側には黄色で目立つように注意喚起の看板も。
普段は中に入ることができないので、貴重な体験でした。
川の水に大気中の酸素を溶解させて“高濃度酸素溶解水”を作る
続いて建物の中を見学します。施設の概要は以下の通りです。

(資料提供:目黒区)
目黒川から取り込まれた水を溜めておく「原水槽」が1階にあります。

原水を送り込むポンプ
そこからポンプで機械室1へ送り込み、酸素を混ぜる、川の2カ所に設けられた放流管から戻す、というのが大まかな流れ。
ポンプ室には原水の臭いを脱臭する装置が付けられていて、汚れた空気を外へ排出しないための工夫も。

ポンプ室
実は2024年6月に「施設から硫化水素の臭いがする」ということがあり、脱臭装置の活性炭を急遽交換したことがあったそうです。

脱臭装置
目黒川の硫化水素濃度が当初の想定よりも高く、処理が間に合わなかったそうで…。硫化水素の脱臭能力を強化したものに交換した上で、臭気基準を超えた場合に自動で停止するシステムを設置しました。

機械室1
機械室1では機械室2で作られた酸素と原水を混ぜ合わせる「酸素溶解装置」や、泡を消す「消泡装置」、川へ戻す放流管が設置されています。
川沿いの道に建てられているため、奥行きがあまりなく、横に細長い建物でしたが、内部はとても効率よく作られててびっくりしました。
酸素を豊富に含んだ水は川の2カ所から放流
建物の中で酸素を供給された水は再び目黒川へ戻されています。川の表面にうっすらと泡だっているところがあれば、そこが供給ポイントです。
もちろんこれだけで目黒川の水質問題が解決するわけではありません。
川のヘドロを取り除く効果的なしゅんせつの実施、川底を平にしてヘドロを流しやすくする対策、下水官から汚水を川に流さない対策などさまざまな水質改善に取り組んでいる目黒区。
普段私たちが意識することのない“縁の下の力持ち”的なお仕事をされているみどり土木政策課の出村さん、前田さん、ご案内ありがとうございました!
「目黒観光講座」まち歩きの後はお楽しみのランチへ

イタリアレストラン「i-rottah(イロッタ)」
「目黒観光講座」に参加される会員の皆さんが実は一番楽しみにしている(!?)といわれているのがこのランチ。講座への参加費用は1,000円ですが、それ以上に内容が良いランチを楽しめると大好評なんです。

イ・ロッタのランチメニュー
今回はJR目黒駅西口から徒歩約4分のところにある「i-rottah(イロッタ)」を貸切にしてランチを楽しみました。目黒で愛されて25年以上という老舗のイタリア料理レストラン。
ピッツァの生地は毎朝職人が手練りし、薪窯で焼き上げて提供する本格的なナポリピッツァです。
まずはカラフルで美しい前菜の盛り合わせからスタート。ソフトドリンクは1杯付いていますが、プラス料金でビールやワインなども注文できます。
続いて本格窯焼きナポリピッツァが3種類提供されました。

マルゲリータ
各テーブルごとに1枚ですが、なかなかのボリューム。

クアトロフォルマッジ
さらにパスタも2種類…。途中から写真を撮りそこなっていますが「しらすとルーコラのアーリオオーリオ」とトマトソースのペンネだったと記憶しています。
お仕事の都合で途中で帰られる方も続出で、食べきれないと悶絶するテーブルも。

ゆずのシャーベット
最後に出てきたデザートは「ゆずのシャーベット。お腹いっぱいといいつつ、甘いものは別腹です。
爽やかなゆずの風味でリセットされました。会員の皆さんでおしゃべりしながら過ごすなごやかなひと時、これもまた「目黒観光講座」の楽しみの1つです。
知らない歴史や観光スポットはもちろん、普段はなかなか知ることができない目黒区の「現場」も見ることができるのは会員だけの特権。めぐろ観光まちづくり協会の会員になると、このような講座に参加できる他、さまざまな特典サービスもありますよ。
皆さんも良かったら、ぜひ入会を検討してみてはいかがでしょうか。
■取材協力
一般社団法人めぐろ観光まちづくり協会/目黒区 みどり土木政策課/i-rottah(イロッタ)
↓「高濃度酸素溶解水供給施設」がある太鼓橋付近はこちらになります
↓ランチを楽しんだ「i-rottah(イロッタ)」の場所はこちらになります。