【目黒区】ナチュラルパン工房「ワルン・ロティ」は洗足の住宅街で週末3日間だけオープン!幻の小麦「こゆき」を使っているのは日本で2か所だけ
東急目黒線・洗足駅から徒歩約5分のところにあるナチュラルパン工房「ワルン・ロティ」。ご自宅の一角をパン工房兼店舗として2003年から開業されている大和田聡子さんのお店です。
大和田さんは専業主婦から独学でパン工房をオープンさせた経歴の持ち主。『自宅でパン屋を始めました(河出新房新社)』『〜ワイン&チーズとテイスティング術〜おいしいパンのみつけかた』(技術評論社)、『麦畑からお届けするパン屋です』(自然食通信社)『ないないづくしの起業術』(中央新書ラクレ)、「ワインとパンに恋して」(自然食通信社)などの著書があります。
今回は週末3日間(金・土・日)だけオープン、大和田さんがお1人ですべて切り盛りする「ワルン・ロティ」を訪ねてみました。
「ワルン・ロティ」へは洗足の「いちょう通り商店街(別名:プリンセス通り)」を抜けていきます
東急目黒線は横浜市港北区にある日吉駅と品川区にある目黒駅を結ぶ鉄道路線。かつては目蒲線と呼ばれる路線が目黒駅から多摩川駅(旧多摩川園駅)を結んでいましたが、混雑緩和や複々線化に伴い、現在では目黒線と多摩川線に分かれています。
目黒線といいながら、路線が走っているのは実はほとんどが品川区!その中で洗足駅は唯一目黒区にある駅なんです。
洗足を一躍有名にしたのが現皇后陛下である雅子さま。洗足にご実家があったことがご縁で、駅前から続くいちょう並木のある通り「いちょう通り」は別名「プリンセス通り」と呼ばれています。
2019年5月には「新天皇皇后両陛下ご即位記念 洗足プリンセスフェスタ」が開催されました。
余談ですが私、1993年6月9日に行われた天皇皇后のご成婚パレードを見に行きました。当時は大変な盛り上がりで、たくさんの方がお2人のご結婚を祝福し、華やかなパレードに胸をときめかせたことを覚えています。
「ワルン・ロティ」へはこのいちょう通りを抜け、洗足図書館へ向かっていくとスムーズに到着できます。
洗足の住宅街に突然現れる「ワルン・ロティ」の手描きPOP看板
洗足図書館の前を通り過ぎてすぐの右手に突然現れる看板!オーナーである大和田さん手描きのPOPが所せましと貼られています。
その奥に赤いファザードのお店があるので、すぐにわかりました。窓越しに見えるパンの棚。訪れた時間が少し遅かったため、売り切れている商品もたくさんありました。
お店はお客様2人以上は厳しいぐらいの狭いスペースです。店内にはパンを買いにいらした先客のご婦人が1人。オーナーである大和田さんと会話が弾んでいる様子。
お帰りになるまでの間、窓越しにどのパンにしようか物色しておくことにしました。
「ワルン・ロティ」店内に入るとおいしそうなパンが他にもたくさん!
ひとしきおしゃべりを楽しんだご婦人が帰った後、店内へ。パンだけではなく、大和田さんチョイスのワインなどの紹介POPも飾られています。
窓ごしに見えていた「おやつビスケット」、ひとつはブルーチーズ入りを、もう一つは黒糖を使ったやつを購入。
そして噂の“プリンパン”がまだ残っていたのでそれと、クリームチーズ入りのパンプキンパンを購入することにしました。
にっこりマークのはいった袋は『環境に配慮した素材なので無料です』と大和田さん。丁寧な接客からはやさしく温かな人柄が伝わってきます。
大和田さんがパンづくりに使用している小麦は岩手県で生産されている「こゆき」という品種。岩手県平泉の農家さんと契約して特別に栽培してもらっているもので、市場には出回らない幻の小麦と呼ばれています。
こゆきを使ってパン作りをしているのは、大和田さんのところと、姉妹店である平泉の「きんいろぱん屋」さんの2か所のみ。旨味と甘みが強いという特徴があるそうです。
実はこの「こゆき」という品種の小麦は、大和田さんのお父様が開発したものだとか。お父様が残した仕事の功績を受け継いで、おいしいパンを焼き続けているということなのですね。
こゆきはイースト醗酵よりも天然酵母が向いているということから、発酵種は自家製。ライサワー種とオーガニックレーズンから起こしている天然酵母を、毎週のパン作りのたびに新しく作り続けているとか。
地元の方からの“こんなパンを焼いて欲しい”というリクエストに応えているうちに約40種類ものパンを焼くように。添加物は一切使わず、その日の気温や小麦、発酵種のコンディションと格闘しながら、すべて1人で毎週焼き続けているそうです。
ご近所の方が週末、心待ちしていたパンを買うために来店し、大和田さんとひと時のおしゃべりを楽しむ。そんな日々が20年近く続いている。洗足の町でしっかりと根を下ろした素敵なパン屋さんだと思いました。
「ワルン・ロティ」のワインにも合うビスケット!予想を裏切るプリンパン
家に戻り、さっそくビスケットをおやつにいただきました。ブルーチーズは塩気がしっかり感じられ、すぐにでもワインと一緒にいただきたいようなお味です。
ワイン、チーズに関しては「日本ソムリエ協会認定ソムリエ」「チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル」「ビアテイスター」の資格をお持ちの大和田さん。次回はビスケットにぴったりなワインを選んでいただきたいと思いました。
黒糖ビスケットは素朴な甘みと香りがよく引き出されていて、小麦そのもの旨味とのバランスが最高でした。
そして、噂のプリンパンです。
パンの中にカスタードやキャラメルが入っている“プリン風”かと思いきや、パンの中に丸ごとプリンが入っています。プリンの周りを薄くパンで包んでいいるというべきか・・・。
これはイメージを大幅に覆されました。普通にプリンを食べている感じです。程よい甘さとカラメルのほろ苦さ。初めてのおいしさです。
もう一つのパンプキンパンも、かぼちゃの比率が圧倒的でパンは薄く包んでいるのみ。炭水化物を気にしている方にはありがたいパンではないでしょうか。
「ワルン・ロティ」では大和田さんこだわりの有機野菜なども販売
ワルン・ロティの入り口スペースでは有機野菜を販売。パンのお買い物ついでにひょいと買えるのがうれしいですね。
いまはコロナ禍で開催できていないようですが、ワインとパンと知識を楽しく学べるセミナーなども開催されているとのこと。また秋ごろにモロッコへ「パンとワインツアー」を催行予定。サハラ砂漠でパンを焼く予定だそうです。
新型コロナウイルス感染症の状況によるとは思いますが、とてもユニークなツアー。ぜひ実現することをお祈りしています。