【目黒区】「中華 高伸」の跡地にオープンした「麺や みかん」、ビジュアルは昔ながらの中華そばながら、磨き抜かれた味わいで早くも人気沸騰中
中目黒の目黒銀座商店街の脇道を少し入ったところにあった町中華の名店「高伸(こうしん)」が、惜しまれつつ閉店。
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その跡地に、2024年4月30日(火)にオープンしたのがラーメン店「麺や みかん」です。
煮干とサバ節が利いたスープと自家製麺の昔ながらの中華そば一本で勝負する潔さ。さらに、店主さんも店長さんも中目黒で人気のラーメン店だった「中華そば えもと」(現在は巣鴨に移転した「まるえ中華そば」)の惠本将裕(えもとまさひろ)さんのもとで修行していたこともあいまって、注目度&話題性も抜群です。
お店のオペレーションが落ち着いてきた頃を見計らって、取材でおじゃましてきました。
「ラーメン店」をやりたい、という積年の夢をかなえた一箭俊充さんと山本義隆さん
「麺や みかん」は、「まるえ中華そば 巣鴨」の惠本さんのもとで修業した一箭俊充さん(店主)と山本義隆さんがオープンさせたお店。取材当日は店長である山本さんがお話を聞かせてくれました。
一箭さんは都内で和食を経営。いつかラーメン店をやりたいという夢を持っていたそうです。
お店が軌道に乗ったタイミングで妹さんにお店を譲り、惠本さんに弟子入りしました。
一方の山本さんは、有名ラーメン店で勤務し、店長やエリアマネージャーなどを務めて店舗拡大に大きく貢献。後に独立してまぜそば店を開店させました。
しかし、体調不良等もあり、お店を譲って違う職業についた時期もあったとか。しかし、やっぱりラーメン店をやりたいという想いが募り、知人の紹介で惠本さんに弟子入りしてラーメン修行を行ったそうです。
今回の「麺や みかん」という店名の「みかん」は、果物の「みかん」ではなく、「味貫(=味を貫く)」からネーミング。2人のラーメンの味と想いを貫き通す、という意味を込めて付けたそうですよ。
「麺や みかん」はスープとの相性を徹底して研究した、こだわりの自家製麺で勝負
「麺や みかん」で提供している中華そばは自家製麺を使用。厨房に向かって左手奥に製麺機を設置し、閉店後に翌日の麺をつくっているそうです。
毎日温度や湿度などが変わるので、その時々の気候に合わせてベストな仕上がりになるよう微妙に調整しているとか。京都にある「麺屋棣鄂(ていがく)」の知見さんから製法を学んだそうです。
変わった原料は使わず、あえてシンプルな原料のみで1つ1つの工程を大切に、無理無駄なく丁寧に製造。ツルツルでしなやかな自家製麺に仕上げているとおっしゃっていました。
毎日、じっくりと丁寧にとったダシが生み出す絶品スープ
見た目は昔懐かしい、スタンダードな中華そば。しかし、そのスープへのこだわりと情熱は味わってみなければわかりません。
煮干やサバ節から丁寧にとった出汁をメインに、豚や鶏、香味野菜がスープの味を支えます。素材のうま味をしっかりと引き出した自慢のスープは、あと引くおいしさです。
2つの食感と味わいの「炭火つるし焼きチャーシュー」「巻きバラチャーシュー」か、両方乗せかを選べるメニュー
「麺や みかん」の券売機はタッチパネル式で現金とキャッシュレス決済に対応。QRコード、電子マネー、クレジットカードなど幅広く利用できます。
スタンダードな「中華そば」をベースに味玉を乗せた「味玉中華そば」、「チャーシュー中華そば」の3メニューから選択可能。
チャーシューは脂の少ない「炭火つるし焼きチャーシュー」と、脂身のバランスがよい「巻きバラチャーシュー」の2種類から選べるようになっており、両方食べたい人向けにMIXチャーシューというのもあります。
今回はイチオシという「MIXチャーシュー中華そば」に味玉トッピング、人気の「チャーシュー炊き込みご飯」を頂きました。
「麺や みかん」は昔ながらの中華そばのようでいて、新しさも感じる絶妙な中華そば
上写真向かって左が「チャーシュー炊き込みご飯」です。白いご飯の上にチャーシューを乗せた「チャーシュー丼」を提供しているお店が多いのですが、「麺や みかん」はチャーシューをごはんに炊き込んでいます。
お米一粒一粒にしっかりとチャーシューのタレがしみ込んでいて、夢中になる味。爽やかな針しょうがが全体をさっぱりとまとめています。
スープを一口いただくと、鼻の奥にサバ節の香りが抜けていきます。その後、重層的に煮干しや豚、鶏などの味わいが広がり、とても奥行きがあっておいしい。
脂っぽいかと思いきや、後味はとても爽やかでついつい、もう一口とスープを口に運んでしまいます。
自家製のストレート細麺がこちらのスープにぴったり。小麦の香りやちょっとパツンとした食感など、スープのうま味を贅沢にまとい、味わい豊かです。
香ばしく歯ごたえも楽しめる「炭火つるし焼きチャーシュー」と、とろけるような食感の「巻きバラチャーシュー」、2タイプのチャーシューを同時に楽しめるMIXはなかなかユニークな試みだと思います。
味玉は味染み&黄身とろとろで、スープにたっぷり浸して味わいました。
「麺や みかん」ではランチタイムでも行列を作らせないよう、提供スピードは爆速で
オープンしてすぐは行列ができていた「麺や みかん」ですが、現在はランチタイムでもさほど並んでいない様子。それもそのはず、気軽にふらりと来店して並ばずにすぐにラーメンを食べてもらいたいという想いから、「提供スピードをできる限り速く」を心がけているとのことでした。
このため、回転率も抜群で、味だけではなく、お客さまへのサービスやお店のオペレーションにも目配りや心配りが隅々まで行き届いていると感じました。
自分ではあまりラーメンを食べないという店長の山本さんですが、ラーメンを作って提供するのが大好きなのだそう。おいしいラーメンで幸せな笑顔になって、帰っていくお客さんを見るのが何よりも嬉しいとおっしゃっていました。
一見「普通のラーメン(中華そば)を提供する、普通のラーメン店」のように見えて、その裏側にはすごい情熱と工夫、こだわりがつまっている「麺や みかん」。皆さんもぜひ、お二人の想いが貫かれているラーメンを存分に楽しんでみてはいかがでしょうか。
■取材協力
↓「麺や みかん」の場所はこちらになります。