【目黒区】日蓮上人の命日に営まれる御会式(おえしき)。中目黒の「正覚寺」では10月18日(金)に行われました
「正覚寺」は中目黒駅から徒歩約5分のところにある日蓮宗のお寺。1619年(元和5年)に、日栄上人により開山され、碑文谷法華寺(現在の円融寺)の末寺として創建されました。
つい先日、(一社)めぐろ観光まちづくり協会が会員限定で開催したイベント「都市ボーイズ トークLive in 正覚寺」に参加して御会式のことを知り、今回初めておじゃましてきました。
「御会式(おえしき)」とは日蓮宗の各お寺で、日蓮上人の忌日(10月13日)に合わせて行われるもの。都内では臨時電車まで走る日蓮宗大本山 池上本門寺の「御会式」が有名ですね。
正覚寺の御会式はは2024年10月18日(金)に営まれました。18時30分からは近隣の寺院からも万灯が集まる「万灯練供養」が行われ、荘厳かつ華やかな雰囲気に包まれた境内。
さっそくご紹介していきましょう。
日蓮上人をお祀りしている祖師堂では15時からと18時から、読経が行われました
報恩感謝の意を込めた日蓮宗の法要「御会式」。正覚寺で日蓮上人をお祀りしている祖師堂では、15時からと18時からの2回、法要が営まれました。
お釈迦様の教えをまとめたお経の数は8万4千といわれていますが、日蓮宗がその中で一番大切にしている教えは「法華経(妙法蓮華経)」です。法華経はお釈迦様の晩年8年間で解かれた教えであり、お釈迦様の集大成ともいえる教え。
祖師堂では「南無法蓮華経」とお題目を唱える声が響き渡っていました。
五重塔を模した万燈には、白とピンクの造花で美しく飾られていました
「御会式」で欠かせないのがこの万燈。木枠に紙を貼った入れ物の中にろうそくを入れた灯籠のことをいいます。
正覚寺の万燈は五重塔を模した灯籠にピンクと白の造花が飾られていました。
日蓮上人が亡くなったとき、池上本門寺の庭先の桜が季節外れの花を咲かせたという言い伝えがあるとのこと。このことから、御会式の万燈にはたくさんの造花があしらわれ、華々しく夜空を飾るスタイルとなったそうです。
ダイナミックな纏(まとい)振りも御会式の見どころの一つ
御会式の先導を務めるのが江戸の火消し衆が始めたと言われる纏(まとい)。時代劇でもよく見かけますが、江戸時代に町火消しが、組の目印(シンボル)として使っていました。
もともとは戦国時代、戦場で敵味方の目印として用いたもので、的率(まとい)あるいは馬印(うまじるし)と称していたそうです(参照元:東京消防庁ホームページより)。
纏は火元の目印となるとともに、それを振ることで、仲間の火消したちを鼓舞するものにもなったといいます。とても重たいものらしく、軽やかに操るのはベテランの技、なのだそうですよ。
近隣の寺院から続々と万燈が正覚寺に集まってくる「万燈練供養」
18時30分頃からスタートした「万燈練供養」。下動画は都立大学から徒歩約8分のところにある「立源寺」です。
纏(まとい)、団扇(うちわ)、太鼓、鉦(かね)、笛、万燈で構成された講中による万燈行列が境内を練り歩きます。初めて御会式を見ましたが、とても賑やかで幻想的。
「万燈練供養」の様子は安藤広重の「江戸百景」に描かれている他、秋の季語として松尾芭蕉の俳句(御影講や油のやうな酒五升など)にも残されているそうです。
正覚寺に到着するとまずは鬼子母神が祀られている鬼子母神堂でお経をあげます。その後、祖師堂へと順番に巡りながら読経。
参拝が済むと境内では講中の方々が纏を軽やかに巧みに操り、参拝者を魅了。笛や太鼓、鉦の音が境内に鳴り響きます。
境内には形も飾りも様々な万燈火が次々と勢ぞろいし、より一層華やかに。初めて御会式の万燈練供養を拝見しましたが、こんなに幻想的で美しいものだとは知りませんでした。
今年は見逃してしまったという皆さん、ぜひ来年は足を運んでみてはいかがでしょうか。
■取材協力
↓御会式が行われた「正覚寺」の場所はこちらになります。