【目黒区】目黒にも富士山がある!?上目黒氷川神社で富士講(目黒富士登山)をしてきました

上目黒氷川神社で富士講

上目黒氷川神社は、東急田園都市線・池尻大橋から徒歩約5分のところにあります。目の前は国道246号線・首都高速3号渋谷泉線が走り、大橋ジャンクションが「目黒天空庭園」の周りを渦巻くように走る場所。

たくさんの車が走る様子は、巨大なエネルギーが空に立ち上るようで、ちょっとくらくらします。

そんな上目黒氷川神社の境内には”目黒富士”があり、毎年7月1日には山開きが行われていたことをご存じでしょうか。今回は江戸時代に盛んに行われた「富士講」と目黒富士についてご紹介しましょう。

「富士講」とは江戸時代の民衆信仰が生み出したもの

夏の富士登山

夏の富士登山(画像はイメージです)

夏になると大勢の方が冨士登山をしますよね。夜中に登山口へ向かい、頂上付近でご来光を拝むというのが恒例行事になっているという方も。

この富士登山、実は江戸時代からも盛んに行われていたイベントなんです。とはいえ誰もが自由に旅ができるわけではなく、みんなでお金を少しずつ出し合い、代表者に富士登山をお願いする「富士講」というのが始まりました。

★目黒にあった「富士講」の遺構を再現展示する「めぐろ歴史資料館」にいってきました★

【目黒区】なぜ目黒は人を惹きつける?「めぐろ歴史資料館」で旧石器時代から近代までの目黒の暮らしをたどる

 

これと同じようなスタイルで香川の「金毘羅詣で」、三重の「お伊勢参り」などが行われていたのです。

「富士塚」はどうしても富士山に登りたい庶民が築いたもの

修験道の山は霊山であり、女人禁制でした。山の神は女神であり、女性が入山すると荒れる(嫉妬する)というところから、多くの山で女人禁制になっていました(現在では奈良の大峰山が女人禁制です)。

このことから、富士山も女性が登ることが許されていませんでした。

しかし、やっぱり富士山に登りたいと熱望する女性を含めた庶民の想いを叶えるため、富士山を模した富士塚を江戸市中のあちこちに作ったというわけです。

都内にまだ残っている有名な富士塚はどこ?

千駄ヶ谷の富士塚

千駄ヶ谷の富士塚」(画像はイメージです)

最も有名なのが千駄ヶ谷にある鳩森八幡神社の“千駄ヶ谷の富士塚”でしょうか。1789年(寛政元年)の築造といわれており、都指定有形民俗文化財に指定されています。

鳩森八幡神社のHPによると、円墳形に土を盛り上げ、麓には浅間社、頂上には奥宮が再現されるなど、富士山の特徴をかなり忠実に再現しているそう。

そしてもう一つ、都内最大の富士塚といわれるのが“品川冨士”です。

都内最大の大きさ「品川冨士」

品川神社にある「品川冨士」

私も2回ほど訪れていますが、コンパクトながら冨士登山気分が気軽に味わえる他、山頂からの眺めはなかなか異次元の世界!

品川冨士の山頂からの眺め

昔はここから江戸の町や富士山が良く見えたのではないでしょうか。この他にも小野照崎神社の下谷坂本富士、茅原浅間神社の江古田冨士、十条冨士塚神社などあちこちに残されています。

上目黒氷川神社の境内にある目黒富士は“元富士”を移したもの

目黒富士は1812年(文化9年)に富士講団体が目黒区上目黒の「目切坂」上に築かれたのが最初。その後、1819年(文政2年)に中目黒の「別所坂」にも造られ、最初のものと区別するため中目黒の方を“新富士”、上目黒の方を“元富士”と呼ぶようになったそうです。

江戸末期の浮世絵師、歌川(安藤)広重が描いた「名所江戸百景」の中に、元富士を手前に配し、その向こう側に本物の富士山を遠望する構図で描いたものが残されています。

広重の「目黒元不二」

広重の「目黒元不二」

かつての目黒は富士山を眺めるのに最適な景勝地だったということですね。今でも、池尻大橋にある天空庭園から富士山が見えることがあるので、天気の良い日を狙って撮影に訪れる方が大勢いらっしゃいます。

「元富士」は1878年(明治11年)に岩倉具視の別邸が建てられる際に取り壊され、石祠や石碑類が当時のままの姿で上目黒氷川神社に移されたそうです。

上目黒氷川神社では毎年7月1日に山開きと例大祭を開催

上目黒氷川神社では、かつての富士講のように、登山道を登る感覚を味わってもらいたいということで、自然の崖を利用した登山道を昭和50年頃に整備。毎年7月1日に山開きと例大祭を行っています。

7月1日~7日までの間は特別御朱印も用意されているということで、足を運んだ方も多かったのでは?

上目黒氷川神社は御鎮座450周年を2023年に迎えます

実は上目黒氷川神社、2年後の2023年(令和5年)で御鎮座450年をお迎えするそう。現在、境内の整備が行われています。

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御祭神は素戔嗚尊(スサノオノミコト)で、天照大御神、菅原道真を合祀。素戔嗚尊は疫病退散の神様として知られており、上目黒氷川神社では毎年6月30日に“夏越の大祓”を行っています。

素戔嗚尊と茅の輪くぐりの関係は以下の記事で紹介していますので、ぜひ参考に!

【目黒区】自由が丘の熊野神社で夏越の大祓!茅の輪くぐりで半年分の厄を落としてきました

上目黒氷川神社で実際に“富士登山”をしてきました!

上目黒氷川神社脇に目黒富士登山口がある

上目黒氷川神社の入り口に向かって左手に「目黒富士登山口」があります。交番の脇なので見落とさないように。

階段を登っていくと「目黒富士」と書かれた鳥居が現れます。

目黒富士と書かれた鳥居

鳥居に向かって右手間に“1合目”と書かれた木の杭がありました。

目黒富士の登山道を上から見る

さらに階段を登っていきます。

目黒富士登山道6合目付近

六合目付近まで登ってきました。木々の間から国道246号線がチラ見えしています。

目黒富士登山道7合目

そして七合目付近に差し掛かるとお社が見えてきました。ゴールはもうすぐです。

目黒富士浅間神社に到着

目黒浅間神社に到着しました!本殿のすぐ脇にお社があります。御祭神はもちろん、木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)です。

目黒富士宣言神社の御祭神はコノハナノサクヤヒメ

前述の広重が描いた目黒富士の山頂にあったものが、ここに残されているというのはなかなか感慨深いものがあります。石碑や祠なども江戸時代の姿のままで残されていますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

上目黒氷川神社では夏詣御朱印の頒布中です

上目黒氷川神社では夏詣御朱印頒布中

上目黒氷川神社では7月1日から8月20日までの夏詣期間中、御朱印が「夏詣」印に。境内にある他の2社(目黒富士浅間神社、稲荷神社)すべて受け付けてくれるそうです。

毎年8月21日(土)・22日(日)には例大祭が行われますが、今年は都内で4度目の新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が出されてしまいました。屋台や奉納園芸大会などは中止。

上目黒氷川神社の例大祭ではお神楽が行われる

お神楽(鑑賞自由)は22日(土)の11時~19時まで数公演行われる予定。例大祭特別御朱印は頒布されますが、紙(書置き)でのお渡しのみとなるそうです。

いろいろ制約はありますが、上目黒氷川神社が氏神様という方、ぜひ大切なお祭ですので、感染症拡大に気を付けつつ、足を運んでみてはいかがでしょうか。

「上目黒氷川神社・目黒富士浅間神社」詳細

上目黒氷川神社までの行き方はこちらになります

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