【目黒区】「CANOVIANO CAFE」が「ホテル雅叙園東京」内に9月22日(金)オープン。素材の持ち味を最大限に引き出す、植竹隆政シェフの自然派イタリアンをカジュアルに
日本美のミュージアムホテル「ホテル雅叙園東京」内にあったCafe&Bar「結庵」が、2023年9月4日(月)に惜しまれつつ閉店。
そして新たに自然派イタリアンの第一人者・植竹隆政さんのセカンドブランドとなる「CANOVIANO CAFE(カノビアーノ カフェ)」が9月22日(金)にオープンしました!
今回はメディア向けに開催されたお披露目会に出席してきました。植竹シェフが手がける自然派イタリアンを日常的に楽しめる「CANOVIANO CAFE」の魅力をご紹介したいと思います。
植竹隆政さんのスピリットが貫かれた、スローフードなイタリアンをカジュアルに
植竹隆政さんは日本におけるイタリア料理の概念を、がらりと変えたといわれているシェフです。イタリアで修業中、現地でオリーブオイルとイタリア野菜の美味しさに開眼。
イタリアンに必須ともいえるニンニクの他、唐辛子やバター、クリームなどの動物性油脂を極力使わず、オリーブオイルや野菜そのものの自然な味わいを大切にした「自然派イタリアン」を貫き続けています。
ホテル雅叙園東京内には、植竹さんが手がける「RISTORANTE“CANOVIANO”(リストランテ カリビアーノ)」がありますが、コース仕立てのメニューが中心。その際にどうしても出てしまうフードロスが気になっていたといいます。
植竹シェフが厳選した食材は味も風味も一級品。少し形が悪いというだけではじかれてしまってきたものや端材を有効活用し、カジュアルなお値段で目にもおいしいお料理を提供できる場所として生まれたのが「CANOVIANO CAFE」です。
同じホテル内でフードロスを防ぎ、循環する。まさにSDGsであり、“スローフード”の精神が息づく試みですね。
「CANOVIANO CAFE」で楽しめる植竹シェフのイタリアンをご紹介
メディア向けのお披露目会で一足お先に「CANOVIANO CAFE」のメニューを試食させていただきました。
植竹シェフのシグネチャーともいえるお料理から、「CANOVIANO CAFE」らしいユニークなものまでダイジェストでご紹介してきましょう。
植竹シェフが25年間作り続けている「縞海老とカラスミの冷製カペッリーニ」
植竹シェフが長年作り続けているスペシャリテからご紹介しましょう。
濃厚で酸味も甘味もしっかりしたフルーツトマトを裏ごしし、イタリアのエクストラヴァージンオリーブオイル「SALVAGNO(サルバーニョ)」と合わせたトマトソースを使用。トマトは季節ごとに産地を変えて使用しているとのこと。
“天使の髪の毛”とも表現される1㎜前後の細長いロングパスタ、カペッリーニ(イタリア語で髪の毛の意味)との相性も抜群です。
ともかくトマトソースの味が濃厚!ニンニクを使っていない分、素材そのものの味と香りが引き立ち、オリーブオイルの繊細な香りも豊かに感じられます。
プリっとした食感と甘味が特徴の縞海老は北海道から取り寄せているとのこと。カラスミの風味が他の素材をじゃましない、絶妙なアクセントとなっていました。
原木から削りたてで提供される香り豊かな「すりたて生ハム」
最近、日本のスーパーでもスライスパックされた生ハムを販売していますが、やっぱり原木から削り出してすぐのものにはかないません。
水分や香りが抜けてしまうので「30分以内に食べる」のが鉄則ともいわれています。
向こう側が透けて見えるぐらい薄く削り出された生ハムは食感も極上。ふわっとして口の中でしっとりとろけるような味わいです。
ほどよい塩気と脂のやさしい甘さも感じられました。
“函ぶり”を使った「本日のカルパッチョ 季節野菜のサラダ仕立て」
実は函館市は全国でも有数の天然ブリ産地の一つ。ブリは夏に日本海を北上して北海道へやって来ます。
その一部が津軽海峡を通り抜け、冬に日本海に戻り脂ののった“寒ブリ”として北陸や山陰地方で水揚げされることで有名。
函館で水揚げされるのはその寒ブリの一歩手前、少し小ぶりで身が引き締まったさっぱりとした味わいが楽しめるのが特徴なのだそうです。
少し身を厚めにカットしたブリは魚特有の臭みなどは一切なく、さっぱりとしていてとても風味豊か。オリーブオイルと塩、最低限の味付けと季節の野菜の味わいがバランスよく、素材が持つ力の素晴らしさに気づかされます。
函館で水揚げされるブリをブランド化しようという動きがあり、今後“函ぶり”として注目を集めそうですね。
オリーブオイルの力を感じる「塩サバと生姜の“にんにくを使わない”アヒージョ」
本来はスペイン語で“にんにく風味(ソース)”を意味するアヒージョ。日本では様々な具材をニンニクと一緒にオリーブオイルの中で加熱した料理の名前として使われています。
アヒージョといいつつ、にんにくを使わないのが植竹シェフ流。ハーブや生姜などのスパイスを巧みに使い、塩サバの塩味でパンチのある味わいを出していました。
塩サバとじゃがいものの組み合わせはヨーロッパでは定番中の定番。今回、生姜とオリーブオイルの組み合わせがこんなに合うんだというのを体感できました。
サバのクセが苦手、という方でもぜひチャレンジしてほしいおいしさ。加熱しても風味や香りがしっかりしているオリーブオイル「SALVAGNO(サルバーニョ)」の実力にも感銘を受けました。
熟成させ、小麦の甘味を引き出した生麺を使用「和牛ボロネーゼと秋茄子のカサレッチェ」
カサレッチェ(イタリア語で家庭の、手作りのの意味)はシチリア地方生まれのショートパスタ。各家庭で手作りされてきたものだそうです。
伸ばしたパスタを指2本でつぶしながら巻き込むようにして成形。断面がS字型をしているのが特徴で、溝が2つあり、ソースがよく絡む形をしています。
ボロネーゼソースは、和牛のうま味が感じられるよう大きめにカット。赤ワインやポルチーニ、トマト、キャベツ、ほうれん草などで風味豊かに仕上げているそうです。
パスタは生麺で淡路島で製造されたものを取り寄せ5日間ほど熟成し、小麦の甘味や風味を引き出してから使用していると植竹シェフ。
ランチタイムでもスピーディに提供でき、しかも贅沢な味わいのパスタとして魅力を感じました。
見た目のインパクト、香りも素晴らしい「銘柄豚ロースの藁焼き」
鹿児島県霧島産の銘柄豚ロースをローストし、ストウブ鍋に藁を敷いてスモークした一品。“香り”を大切にする「CANOVIANO CAFE(カノビアーノ カフェ)」ならではのメニューとして開発したそうです。
桜色に仕上がった豚肉には岩塩がまぶされていて、食感も楽しめる演出。ほんのりとしたスモークの香りで素材の味を邪魔することなく、それでいて風味も豊かです。
シェフが27年間作り続けているドルチェ「栗のカフェラッテ」
最後にいただいた「栗のカフェラッテ」。エスプレッソと栗の渋皮煮を組み合わせたドルチェです。
シェフがトリノを訪れた時、ご年配の男性がマロングラッセとエスプレッソをおいしそうに食べているのを見て、ヒントを得たそうです。
栗の甘さとほろ苦いコーヒーの風味がなんとも絶妙においしい。栗とコーヒーとの組み合わせがこんなハーモニーを描き出すのかと感動しました。
緑の借景はそのままに、快適で居心地よく過ごせる温かみのある雰囲気の「CANOVIANO CAFE」
「旧・結庵」だった頃の美しい緑の借景はそのまま生かし、白木や木目などを取り入れた温もりのあるシンプルな北欧風スタイルの内装にチェンジされています。
ホテルという一流のサービス・ホスピタリティを楽しみつつも、カジュアルで肩ひじの張らないお値段で植竹シェフのイタリアンが楽しめる「CANOVIANO CAFE」。
「RISTORANTE“CANOVIANO”」がラグジュアリーな雰囲気で、アニバーサリーやウェディングなど特別な日を彩るお店だとすれば、「CANOVIANO CAFE」はデートやママ友ランチなど、日常使いできるお店といえるでしょう。
「旧・結庵」時代のバーカウンターもそのまま残されているので、お食事だけではなく軽くつまみながら、ワインやお酒を楽しむこともできますね。
毎日食べても体にやさしい、健康的でナチュラル、見て食べておいしいイタリアンを楽しんで欲しいと植竹シェフ。
ニンニクを使っていないのでランチやディナーでいただいても気にする必要はありません。皆さんもぜひ一流の空間で、極上のサービスを受けながら、アートな一皿を楽しんでみてはいかがでしょうか。
最後にシェフが愛してやまないエキストラヴァージンオリーブオイル「サルバーニョ」をお土産でいただきました。
「サルバーニョ」はイタリアの北東部に位置するヴェネト州で作られているオイルで、大変まろやかで芳醇な香りが特徴。 サラッとした口当たりでクセが無く、どんな料理にも合わせやすいそうですが、風味豊かで日本の食材やシンプルな味付けに本領を発揮するとのこと。
シェフのようなお料理はとても作れませんが、いいワインを開けるときにぜひ使ってみたいと思います。
■取材協力
↓「CANOVIANO CAFE(カノビアーノ カフェ)」がある「ホテル雅叙園東京」の場所はこちらになります