【目黒区】スイーツ激戦区・自由が丘でトップを走り続ける、パティシエ辻口博啓さんが初めて立ち上げたアトリエ「モンサンクレール」!おいしさだけではない、選ばれ続ける理由を探ってきました
東急東横線・自由が丘駅正面口から徒歩約10分のところにある「モンサンクレール」。世界にその名を知られる有名パティシエ・辻口博啓(ひろのぶ)さんが、初めて立ち上げたアトリエです。
まさに「自由が丘=スイーツの街」をけん引し続けてきたパティスリーといっても過言ではありません。駅から近いとはいえないこの場所で、今もなお行列が絶えないお店として愛され続ける理由が知りたい!
ということで3回に渡り、辻口さんが手掛ける「モンサンクレール」「自由が丘ロール屋」「フェーヴ」の3店舗を取材。1回目は辻口さんの原点である「モンサンクレール」です。
モンサンクレールの歴史をちょこっと
辻口さんが約10年間のパティシエ修業を経て独立。自由が丘に「モンサンクレール」をオープンさせたのは1998年3月20日のことでした。名だたるスイーツ店がひしめく自由が丘で「駅から少し離れたロケーションは不利なのでは?」と心配する声があがったそうです。
しかし1年後の1999年、辻口さんはフジテレビ「料理の鉄人」に出演。「バナナ・チョコレート」対決で鉄人を初めて破ったパティシエとして注目を集めました。一躍有名になった辻口さんのスイーツを求め、大勢の人が「モンサンクレール」を訪れるようになり、今に至ります。
ちなみに「モンサンクレール」とは、南仏ラングドック地方のセットの街に実在する丘の名前です。“モンサンクレールの丘”は、辻口さんがパティシエとして自分の信念を貫くことを決意した場所。
その思いを込めて辻口さんならではのスタイルを確立させたパティスリーが自由が丘の「モンサンクレール」でした。
お客様から厨房が見える臨場感のあるお店
ショーケースにずらりと並ぶスイーツ。そしてその奥、ガラス越しに厨房で働くスタッフの様子をうかがうことが出来ます。
辻口さんがこだわったお菓子作りの基本は、素材の持ち味を最大限に表現することですが、もうひとつは出来上がりからテイクアウトまでの時間を短くすること。そして、お客様から厨房の様子が見えることだそう。
ライブキッチンスタイルのレストランでもそうですが、作り手の顔や料理が出来上がっていくプロセスを間近に見ることは、音や匂いなど五感をフルに刺激するワクワク感や臨場感があります。
作り手としては緊張する面もありますが、お客様が迷いながらスイーツを選ぶ様子や笑顔が見えるのは嬉しいもの。超有名店になった今でも、お客様とスタッフとの距離が近いのは「モンサンクレール」の魅力となっています。
数々の世界大会で優勝!今もなおコンクールに挑み続ける辻口さん
辻口さんがコンクールで初めて優勝したのは23歳の時、「全国洋菓子技術コンクール」で最年少記録を打ち立てました。その後数々のコンクールに出場。
1994年にはフランスで権威ある製菓コンクールのひとつである「コンクール・シャルル・プルースト」で銀メダル受賞。1997年「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー(パティスリー世界大会)飴細工部門個人優勝最年少記録(29歳)で個人最高得点獲得と世界にその名を轟かせるパティシエ&ショコラティエに。
自由が丘にある「モンサンクレール」「自由が丘ロール屋」「フェーヴ」の他、現在では14ブランドを展開しています。
そして現在でもコンクールに挑戦し続けているという辻口さん。サロン・デュ・ショコラ・パリで発表されるショコラ品評会では、2013年~2018年の6年連続で最高評価を獲得。2015年には「インターナショナルチョコレートアワード世界大会」のチョコレートバー部門で金賞を受賞するなど、新しいスイーツの世界を開拓しつづけています。
繊細で複雑、驚きと喜びをシンプルな外観で内包するケーキ
「モンサンクレール」のケーキは見た目はシンプルなものが多いのですが、その内側には想像を超えた世界が広がっています。
例えば売れすぎて販売中止になり、クレーム殺到で再発売されたというモンサンクレールのスペシャリテ“セラヴィ”。ホワイトチョコムースでできた六角形の外観、真っ赤なラズベリーが一粒トップに飾られているのみという、そぎ落とした美しさが印象的な一品です。
ホワイトチョコムースの内側には、ピスタチオのスポンジとフランボワーズのチョコラムース、土台にはフィヤンティーヌ(フレーク状のクレープ)を敷いてあります。
ムースのまろやかな甘さとラズベリーの甘酸っぱさ、コクのある濃厚なピスタチオの味わい、サクサクとした食感などそれぞれのおいしさがあり、かつ、一体となったときに生み出されるハーモニーが絶妙なバランスで押し寄せてきます。
新作への挑戦はもちろんのこと、定番のケーキも常にアップデートをし続けているという「モンサンクレール」のスイーツ。駅から10分という道のりも、新しいおいしさと驚きに出会える期待感で、ワクワクする時間になりますね。
コロナ禍で増えた「モンサンクレール」に来店する楽しみとは?それはパン!
「モンサンクレール」といえども、新型コロナウイルス感染症の影響は少なくありません。日持ちのする焼き菓子や冷凍で配送するケーキなどのオンライン販売はもちろん、毎日気軽に来店してもらえるようパンの販売もスタートしました。
朝一番に焼きあがったパンが次々とショーケースの上に並べられ、かぐわしい香りで来店したお客様をお迎えしています。
目黒区界隈では次々と高級食パンのお店が出店し、独自の味を展開していますが、ここ「モンサンクレール」でも負けてはいません。厳選した小麦粉でふんわり・しっとりした食感を実現。北海道産バター、乳脂肪47%の生クリームを贅沢に使用したほんのり甘い、リッチな味わいの生食パンを取り扱っています。
この他にも、バケットやノアレザン、クロワッサン、フォカッチャ、ペイストリー、シナモンロールなどなど。日によっていろいろなパンが並びますので、ぜひお見逃しなく。
目で見ても楽しめるチョコレートや焼き菓子たち
「モンサンクレール」の魅力は生菓子だけではありません。半生菓子や焼き菓子、チョコレートなどなど、自分へのご褒美やお土産、ギフトにしたら喜ばれること間違いなし!
人気のオランジュリーやスタイリッシュな丸缶に詰められたカラフルなチョコレート。仕事の合間にちょっとリラックスしたいときに気軽につまめます。
そしてソーセージのような形がユニークな「ソシソンショコラ」。ナッツやドライフルーツがぎっしり詰まったチョコレートで、少しずつ切りながら味や食感の変化も楽しめます。
この他にもシーズンや季節のイベントごとに顔触れが変化するので、油断できません。
ダイエット中にも嬉しい!低糖質スイーツ
スイーツは食べたいけど、ダイエット中だからという方もご安心ください。辻?口さんがおいしい低糖質チョコレートを開発してくれました!
小麦ふすまや粉末状の豆腐を使ったショコラ生地にクリームを重ねた低糖質スイーツショコラショコラや、人気のテリーヌショコラを低糖質で仕上げたものなどなど。「甘いものを我慢せず、笑顔で食べられる喜び」を叶えてくれます。
地域とのつながりを大切に!自由が丘や故郷を盛り上げる活動の数々
自由が丘の商店街や企業が主催するイベントやプロジェクトにも積極的に協力し続けている辻?口さん。さらにご自身の出身地である石川県でも観光大使を務め、「ル ミュゼ ドゥ アッシュ」というパティスリーブランドを4店舗構えています。
地元の素材を使った独創的なスイーツを次々開発。兼六園の雪吊りをイメージしたお菓子「YUKIZURI」の売り上げの一部で『子ども絵画コンクール』を開催し、最優秀賞受賞者の親子をパリのルーブル美術館に招待するなど、子どもたちの夢を応援するプロジェクトも実施中。さまざまな地域貢献を続けています。
「モンサンクレール」では自由が丘で行われるスイーツフェスタで、子どもたちが描くスイーツを実際に作る「夢スイーツ」に参加するなど、地域にも根付くパティスリーです。
辻?口さんのお店が愛され続けているのは、お客様や街との距離の近さ!
自由が丘に店を構え、2021年3月に23周年を迎えた「モンサンクレール」。数々のスイーツ店がひしめく自由が丘でこれだけ長く愛され続けているパティスリーはなかなかありません。
今回、オープン前の時間を利用して取材させていただきましたが、平日にもかかわらず、すでにお店の外には開店を待つお客様の行列が!今に甘んじることなく常に進化した魅力を発信し続けている証です。
お客様から愛され、街からも愛されている「モンサンクレール」。これからも自由が丘のスイーツ文化をけん引し続けていくことでしょう。
これから夏になり、暑くなると、駅から10分の道のりを歩くのは意外に大変です。そんな時はぜひ無料のコミュニティバス「Thanksnature bus(サンクスネイチャーバス)」を利用してみては?
「モンサンクレール」は「ThanksNature bus(サンクスネイチャーバス)」のエリアサポーターを長く務めていらっしゃいます。「八雲ルート」「駒沢ルート」どちらのバスに乗ってもOK。こだわりのスイーツやパンをぜひ楽しんでくださいね。