【目黒区】物語を五感で味わう夏。ホテル雅叙園東京「和のあかり×百段階段2024~妖美なおとぎばなし~」
日本美のミュージアムホテル、ホテル雅叙園東京で毎年夏に行われている企画展「和のあかり×百段階段」。東京都指定有形文化財「百段階段」を舞台に毎年異なるテーマで、アートや伝統工芸、イルミネーションととも唯一無二の世界観を楽しませてくれる夏の風物詩です。
2023年は百鬼夜行をテーマに異界へと誘う独自の世界観を楽しませてくれました。
2024年は「おとぎばなし」をストーリーテーマに、竹取物語や葛の葉伝説、見るなの花座敷、天女の羽衣などを取り上げた「和のあかり×百段階段2024~妖美なおとぎばなし~」。
文化財「百段階段」を巡るごとに、豪華絢爛かつ美しくも妖しい世界にどっぷりと浸れる仕掛けがたっぷり用意され、音や香りとともに五感で味わう企画展となっています。
架空の旅亭「雅楼」で見つかった、江戸時代後期の巻物から始まる物語
螺鈿細工が施されたの重厚なエレベーターを降りると、目の前に見えてくるのは御簾に囲まれた古めかしい文箱。そしてその両脇には1対の「猫魔」がこちらの心を見透かすように睨みを聞かせています。
1935年(昭和10年)開業の旅亭「雅楼(みやびろう)」が老朽化により修繕を行った際、江戸時代後期に起きた不思議な話が綴られている巻物を発見したところから、「和のあかり×百段階段2024~妖美なおとぎばなし~」が始まります。
「雅楼」の前身は江戸末期に創業した旅籠で、関東大震災で焼失。その後12年の時を経て再建されたのが「雅楼」という設定です。
巻物が見つかった螺鈿細工の文箱は「安宅漆工店」のコレクション
「安宅漆工店」の塗師・安宅信太郎さんは、15歳で父・儀一さんに師事。信州の善光寺や国立能楽堂など数多くの建築漆工を手がけ、ホテル雅叙園東京の所有する工芸品、文化財「百段階段」の修復にも関わっていらっしゃいます。
父である儀一さんは文化財「百段階段」の漆工にも携わったとのこと。
螺鈿という文化を後世に伝えるため、ご自身の作品以外にもコレクションを所有されており、今回の文箱も安宅さんが出品したものだそうです。
「猫魔」は造形作家・人形師であるよねやまりゅうさんの作品
よねやまりゅうさんは、博物館やテーマパークなどの造形も手掛けるアーティスト。2023年の「和のあかり×百段階段2023~極彩色の百鬼夜行~」でも、異形の人形たちを展示し、注目を集めていました。
今回はエントランスの「猫魔」以外に、「星光の間」でも妖しくも美しい作品を展示しています。
中野形染工場×ハナブサデザイン「籠染灯籠」
「籠染灯籠」も昨年の企画展で紹介された一点物の灯り。日本で唯一の藍染め技術「籠染め」で浴衣生地を生産してきた中野形染工場と、使われなくなった籠染の型を灯籠としてハナブサデザインが蘇らせたものです。
かつては浴衣生地を彩って来た伝統的な和柄が、妖しくも美しい灯りとして蘇り、物語の世界へと引き込んでいきます。
風鈴の音色と猫たちに誘われ「雅楼」の中へ
暖簾をくぐり「雅楼」の玄関へ。涼やかな小田原風鈴(柏木美術鋳物研究所)の音色に包まれ、ホッと一息・・・と思ったのもつかの間、部屋のあちこちからもの言いたげな猫たちの視線を感じます。
愛らしくもどこか妖しい雰囲気をまとった猫は、造形作家・小澤康磨さんの作品。
「和のあかり×百段階段2022~光と影・百物語~」や2023年3月に開催された「大正ロマン×百段階段 ~文豪が誘うノスタルジックの世界~」で小澤康磨さんの作品を目にした方も多いのではないでしょうか。
今回の猫ちゃんたちは、企画展のために新しく作られた新作ばかり。玄関のいたるところに潜んでいますので、お見逃しなきようお進みください。
「竹取物語」の哀しくも美しい世界を照らし出す「十畝(じっぽ)の間」
「竹取物語」は現存する日本最古の物語ともいわれ、平安時代前期に書かれたといわれている作品です。物語はフィクションですが、その中でかぐや姫に求婚する5名の人物は奈良時代に実在した人物をモデルにしている、といわれています。
竹を取り生活していた“竹取の翁”がある日、光り輝く不思議な竹を発見。その竹を切ってみると、中から小さくて愛らしい女の子が。
家に連れ帰り「かぐや姫」と名付けてかわいがる老夫婦。美しく成長した姫に5人の貴公子たちが求婚するものの、次々と無理難題を言いつけられるというシーンは印象的ですね。
「十畝の間」では、月の都からお迎えがきて、天の羽衣を着せられ、かぐや姫が天へ帰っていくというシーンを思わせる展示となっていました。
竹で創る光のアート「駄bamboo」
宮崎県にあった放置竹林を整備する過程で生み出された竹灯籠は、「駄bamboo」平木嗣人(ひらきつぐと)さんの作品。竹は古来より神様の依り代とされ、生命力の強さから長寿を願うシンボルとしても大切にされてきました。
時に「透かし削り」の中に更に「透かし彫り」を施したりと、絶妙な光り加減と異なる光の色彩を魅せてくれる平木さんの作品。竹の伐採から漆塗りなどの加工まで1年半~2年の歳月をかけて制作し、すべて手仕上げによる唯一無二の作品を生み出しています。
本物の月のように冷たく研ぎ澄まされた光をたたえる、高山しげこさんの照明
「森」「星」「月」など自然をテーマにした具象や抽象的なデザインをモーチーフにした作品を手がける高山しげこさんの照明。竹ひごや針金などは使用せずに紙を漉いて成型して仕上げています。
竹取物語の最後の方で、天人から「いざ、かぐや姫。きたなき所にいかでか久しくおはせむ(このようなけがれたところになぜ長い間いらっしゃるのですか)」といわれ、天の羽衣を着せられるというシーンを覚えていますでしょうか。
老夫婦と過ごした日々をすべて忘れ、人間的な感情をなくしてしまう、というどこか冷たく超越した存在へと変貌していくかぐや姫の姿。かぐや姫への思慕と、残された人々の哀しみを思い起こさせるような、温かみがありつつも冷たく寂しい灯りのように感じました。
安倍晴明誕生を物語る「漁樵の間」
陰陽師として知られる安倍晴明は、白狐の化身である「葛の葉」の子どもという伝説があります。「漁樵の間」では松竹衣裳株式会社と歌舞伎座舞台株式会社により、「信太妻(しのだづま)」とも呼ばれる歌舞伎の演目「葛の葉子別れ」のシーンを再現しています。
晴明の父である安部保名(やすな)が、信太大明神に参詣した折に助けた白狐。「葛の葉」という若い娘となって安部保名の前に現れ、2人の間に童子(のちの安倍晴明)が生まれます。しかしある日、ふとしたことで童子に狐の姿を見られてしまい、泣く泣く信太の森へと帰っていくという場面。
「恋しくばたずね来てみよ 和泉なる信田の森の うらみ葛の葉」と障子に描かれている文字に注目。途中で文字が反転しています。
これは、右手で書いていたところ童子が起きてきたのあやしながら、左手に筆を持ち換えて裏文字を書き、最後は泣き叫ぶ子どもを抱きしめつつ、口にくわえて文字を書く、という切ないシーンを現わしているそうです。
そして手前の方の展示では成長して陰陽師として活躍する安倍晴明の姿を描いています。
晴明に向かって右手奥にあるがまがえるは、舞台では実際に人が入り演じているそうです。また、左手にある牛車も実際に使われているもの。
今回も、テルミン奏者・サウンドクリエイターであるヨダタケシさんによるサウンドトラックが、愛する我が子を置いて立ち去らねばならなくなった母・葛の葉の思いを代弁するかのような、哀しく切ないメロディーで展示を演出。
ことばよりも雄弁に物語に重層感を与えていました。
川の上流にある竜門を昇り切った魚だけが龍になれる「草丘の間」
続いて鯉の滝登り「登竜門」を表現した「草丘の間」へ。「登竜門」とは川の上流にある竜門を昇った魚だけが龍になれるという伝説のことです。
さまざまな魚がその荒行に挑みますが、唯一昇り切ったのが鯉だけだったという物語。紙で作られた錦鯉のアートクラフトや、小林東雲さんの描いた龍の水墨画と粕谷尚弘さんの生け花のコラボレーションで圧倒的な世界観を描いています。
躍動感あふれる水墨画の龍は小林東雲さんの作品
水墨画は墨線だけではなく、ぼかす・濃淡をつけるなど、さまざまな技法を用いて表現される画法。すべて下書きなしでやり直しがきかない、まさに墨との闘いで描き出されるものなのだそうです。
小林東雲さんは、2022年に封切られた映画「線は、僕を描く」の監修を務め、ホテル雅叙園東京で2022年10月1日(土)から開催された「線は、僕を描く at 百段階段~色彩空間で観る水墨画の世界~」でも素晴らしい水墨画の世界をご紹介してくださいました。
【目黒区】秋はホテル雅叙園東京で水墨画の世界に触れる、10月1日(土)から「線は、僕を描く at 百段階段~色彩空間で観る水墨画の世界~」がスタート
こちらの内覧会では小林東雲先生から、“減筆”といって細かく描かないことで対象物を鮮やかに浮かび上がらせる方法などをご紹介いただき、水墨画の奥深さを知ることができました。
今回も荒行を乗り越え、龍となった鯉の生命力あふれる姿をダイナミックに描いていらっしゃいます。
紙1枚で作られた「にしきごい」たちが天井を泳ぐ幻想的な演出
「草丘の間」の天井を泳ぐ紙のにしきごいは、新潟県にある会社・DI Palette(ディーアイパレット、株式会社第一印刷所から社名を変更)の作品。長岡の花火を再現した「かみはなび -越後長岡- 」でおなじみです。
“泳ぐ宝石”としていまや世界中から注目を集めている錦鯉は、新潟県長岡市の山古志、小千谷地域辺りが発祥とされ、突然変異で色のついた「変わりもの」が現れたことが始まりといわれています(参照元:新潟県ホームページより)。
DI Paletteでは2023年5月1日の“鯉の日”に合わせて、紙製のインテリアモビール「紙にしきごい」を発売。1枚の紙を独自のレーザー加工技術でカットし、糸を引っ張るだけで立体の錦鯉に仕上がる仕掛けが秀逸です。
自宅に池がなくても気軽に錦鯉を楽しめるアートとして企画。大きなサイズの鯉は、今回の展示会に合わせてオリジナルで作ったものだそうです。
懸命に竜門を目指す鯉たちの戦いを感じさせる展示となっていました。
水墨画と「にしきごい」たちを繋ぎ、物語に息を吹き込む生け花
龍の滝登りをより一層ドラマティックに見せているのは、一葉式いけ花 家元の粕谷 尚弘さんの生け花。<植・間>(はなはざま)という理念のもと、植物をはじめあらゆるものの魅力を見つけ、間(ま)を意識し、独創的な花の世界をつくりあげるのが一様式いけ花の特徴です。
生け花では、川を遡る鯉たちと竜門にたどり着いた龍を繋ぐ渓谷の景色を表現。さらし(漂白)ほうき草でダイナミックな滝を創り上げ、まるで龍が踊り出てきたかのような激しい水しぶきを感じさせてくれます。
生花を使っているため、毎日刻々と入れ替わっていく景色も楽しみの一つです。
床の間から浮かび上がる幻想的なガラスランプは「いろした工房」の作品
鯉の滝登りに、幻想的な雰囲気を添える「いろした工房」のガラスランプ。ガラスにサンドブラストで彫刻を施し、光が通ると独自の美しさが生まれるランプは、これまで見たことのないような独自の世界観を感じさせてくれます。
和紙や伝統的なデザインも組み入れた他にはない美しさでした。
おとぎばなしで語られるいきものたちの世界「静水の間」
続いて「静水の間」では、おとぎばなしによく登場するいきものたちをテーマにした展示。時に人を惑わし、時に姿を変えて人を助けることも。
多彩なアーティストたちの手がけた“いきもの”たちに出会えます。
ガラス作家・下田顕生さんの作品
吹きガラスの手法で立体作品をメインに制作している下田顕生(けんせい)さんの作品。ガラスならではの透明感とやわらかな動きを感じさせる美しさに見とれてしまいました。
見る角度により、天井絵と金魚がコラボレーションしているのが見えますのでぜひ!
切り絵作家・早川鉄平さんの作品
幼いころ、母親と一緒に切り絵遊びをしたことをきっかけに切り絵を始めたという早川鉄平さん。動物や自然をモチーフとした伸びやかな姿をち密な切り絵で活き活きと表現しています。
樹脂画造形作家・水咲智明葵(みずさきちあき)さん
版画の技法で透明樹脂(レジン)に線画・彩色を施すオリジナル技法【凸版レジンアート】を考案された水咲智明葵さん。「自分を生きること」をテーマにした「惻隠(そくいん)の羽から華胥夜話(かしょやわ)」という作品を展示されていました。
「華胥」とは理想郷のことで、中国の黄帝が夢で訪れ国造りの手本としたことで知られています。色鮮やかな羽を持つ孔雀ですが、作品の孔雀は漆黒の羽を持つ孔雀。
生まれ持ったものを他のもののために役立て、そのことが歓びとなることを表した「くじゃくのはなび」という物語をモチーフに創り上げた作品です。
現代美術家・井上裕起(いのうえゆうき)さん
サンショウウオをメインモチーフに、造形・彫刻作品を制作する現代美術家・井上裕起さん。根幹となるテーマを「進化」とし、日本の伝統や伝承に新しい素材を重ね合わせた独自のスタイルは国内外から高く評価されています。
ひょうたんアート「bunbun工房」
ひょうたんを使ったランプをデザインから製作まで1人で手がけている「bunbun工房」。2つと同じものがないひょうたんに動物や自然を盛り込んだアート、やわらかな光がなんとも温かみがあり、見ているだけで癒されます。
陶芸家・猿田壮也(さるたそうや)さん
青森県五所川原市で器やランプなどを作陶されている猿田壮也さん。灯りが灯ると色彩鮮やかな模様が浮かび上がる、味わい豊かなランプです。
金属造形作家・征矢剛(そやたけし)さん
昆虫をモチーフに金属で作られたアート作品を手がける征矢剛さん。上の作品はスピーカーにもなっていて、アートから音楽を鳴らすこともできます。
日本画家・田島周吾さん
綿布や紙に、墨、岩絵の具、箔を使い膠を接着剤に絵を描いているという田島周吾さん。日本画の大家が手がけたお部屋に飾られる、ということで今回は単なる日本画だけではなく、彫刻家である小黒アリサ さん、竹工芸家・四代田辺竹雲斎とのコラボ作品を展示し、独自の世界観を表現しています。
善悪の物語、本当に怖いものとは何かを問う「星光の間」
鬼や河童、天狗、物の怪など、ある時は悪者として描かれる異形のものたち。しかし、私たち人間の心の中にも“悪”はあり、“醜さ”もある・・・。
鬼師・永濱貴之さん
手作業で鬼瓦を作る鬼師・永濱貴之さん。厄除けと招福の願いを表した、いぶし銀の鬼瓦や招き猫などの作品がどこかユーモラスで、人間味あふれる愛らしさを感じさせます。
江戸風鈴の伝統を守る「篠原風鈴本舗」
1915(大正4)年創業の「篠原風鈴本舗」。江戸時代と変わらない製法で風鈴を作り続けています。
造形作家・人形師・よねやまりゅうさん
エレベーターホールにも作品が飾られていたよねやまりゅうさん。商業美術作品を手がける一方で、異形のものたちの作品制作にも取り組んでいます。
陶芸家・髙橋協子さん
茨城の民話を収集、作品化し、伝承活動をライフワークとしている髙橋協子さん。器、人形制作共にストーリー性のある作品を目指して作陶されています。
企画展のモチーフである“巻物”から、物の怪が飛び出してくる作品がなんともユーモラス。
陶人形作家・桒原淑男(くわばらとしお)さん
独自の世界観で陶人形を制作し続けている桒原淑男さん。人形に着せている衣装は奥様が手がけているそうです。
「清方の間」では「見るなの花屋敷~鶯長者~」の世界へ
「鶯長者」のおとぎばなしの世界をテーマにした「清方の間」。薬売りの男がある日行ったことのない山道に迷い込み、4人の美しい娘と母親が暮らす長者屋敷へと招かれます。
長女の婿となった男は毎日夢のような暮らしを送ることに。ある日、女性たちがお花見に出かけ、男は1人留守番をすることになりました。
母親は「退屈したら3つの座敷を見てもよいですが、4つ目の座敷だけは見てはいけません」と言い残します。しかし、見てはいけないといわれるとどうしても見たくなり・・・。
鶯の鳴き声とともに長者屋敷は跡形もなく消え去ってしまいました。
かんざし作家・榮(さかえ)さん
ディップアートの技法を応用した作品を製作している榮さん。ワイヤーで輪郭を作り、それを液体合成樹脂にくぐらせシャボン玉のように膜を張らせることで形を作る技法で、なんとも優美なかんざしを製作しています。
硝子造形作家・山本真衣さん
吹きガラスの技法で成形したガラスの塊に、江戸切子などに使われるカットや研磨の工程を施すことで独自の作品に仕上げている山本真衣さん。やわらかなフォルムと淡く優しい色合いで、儚さも感じさせる作品です。
九谷和グラス「清峰堂」
1964(昭和39)年、石川県能美市に創業した「清峰堂」。九谷焼と江戸硝子をはじめとする手づくり吹き硝子を独自の技術により融合させた「九谷和グラス」を制作しています。
九谷焼磁器でできた台座(脚)部分は、素地成形、絵付加工ともに手づくり。ガラスも国内生産の手づくりされた吹き硝子を使用したこだわりの一品です。
希莉光あかり「倉敷光作所(くらしきこうさくしょ)」
倉敷切子灯篭をモチーフに切子の造形美を残しつつ、灯篭とは異なる和のあかりとして発展させた「切子あかり」。その後さらなる進化を遂げ、希望と癒しの光を意味する“希莉光あかり(きりこあかり)”が倉敷光作所から誕生しました。
創作水引「東京水引」
「東京水引」は、2020(令和2)年に目黒区で立ち上がった創作水引のブランドです。日本の伝統工芸である水引細工はおめでたい日などを彩ってきました。
「東京水引」のアーティスト・中村江美さんは、水引が備えるその気品を生かしながらも、新しい手法といろいろな素材との組み合わせにより、遊び心のある創作を続けています。
ガラス造形作家・キタガワアキコさん
ガラス造形作家・キタガワアキコさんの作品。耐熱ガラスを材料に2000度近い炎を出す酸素バーナーを使用して、見る方がそれぞれの物語を思い浮かべるような、そして「傍らに置きたい」と思われるような作品を理想として作り続けていらっしゃいます。
立体切り絵作家・濱直史さん
平面の切り絵だけでなく 「立体切り絵」という新しいスタイルを考案した濱直史さん。今回は鶴を使った四季の表現にチャレンジし、扇子との美しいコラボレーションを見せてくれています。
つまみ細工「和のこと遊び」
「和のこと遊び」は、日本の伝統手芸であるちりめん細工、つまみ細工等を製作しています。誰もが幼い頃に親しんだ折り紙を思わせる四角から始まる作品を展示。
小さな四角の布を折りたたんで作るつまみ細工のお花を2,000個以上使用しています。
ガラス作家・森谷糸さん
日本人が持っている伝統的な色彩や造形感覚を意識した作品作りを心掛ける森谷糸さん。器に手描きされた花の絵柄は、私たちの心に季節感とともに、優しさを運んできてくれます。
ガラス工芸「菅原工芸硝子」
千葉県九十九里町に工房を構える「菅原工芸硝子」。ガラスに魅せられた。職人が中心となりデザインから手掛けた4,000種に上る製品をひとつひとつ手仕事で製造しています。
逆さ富士「ナガエ」
富山県高岡市にある株式会社ナガエは、アート事業部、テクノ事業部それぞれの高い専門性を生かしながら、建築金物、ガスメーター、美術工芸品、屋外美術など多種多様なものづくりを行う会社です。
本展では、日本が世界へ誇る富士山をモチーフにした花器を展示。水盤に水を注ぐと水面には逆さ富士が現れる逸品です。
和ろうそく「絵付けこあん」
京都府生まれの絵付師・中邑たまきさんが手がける和ろうそく。 「絵付けこあん」として手描き絵付けした和ろそくの他、和装小物、絵画などを制作しています。
「頂上の間」はまさかのバッドエンド!?「天女の羽衣~終末の章~」
羽衣を隠され、天へと変えれなくなった天女。羽衣を隠した男と地上界で暮らしますが、羽衣の在処を発見して天へと帰ってしまいます。
企画展に来場した人たちは階段を上り「頂上の間」へ。そこで天女に会うべく、植物を育てて天へと昇ってみるものの、そこには天女は居らずというエンディングを用意していました。
普段は木と植物で小さな灯りを創作している照明作家・弦間康仁さん(Feel Lab)。「暗がりを愉しむ」をテーマに植物園や博物館、茶室等の空間創作を行う他、舞台照明家、アーティスト、建築家との空間コラボレーション作品も多数手がけていらっしゃいます。
今回は画用紙を使った照明作りにチャレンジ。試行錯誤しながら天へと昇るための植物を作り続ける・・・という場面を演出しました。
ともかくたくさんのアート作品が用意され、一つひとつ見どころもたくさん。できれば時間をとって、ゆっくりと鑑賞していかれることをおススメします。
文化財「百段階段」を昇るたびに次々と異なる物語の扉が開き、夢と現の間をさまよいながら不思議な世界へと誘われていく今回の企画展。ヨダタケシさんの音楽が各お部屋をドラマティックに盛り上げ、涼やかな香りと共に夏のひと時を楽しませてくれるはず。
皆さんもどうぞお見逃しなく。
【開催期間】7月5日(金)~9月23日(月・祝)、11時~18時(最終入館17時30分)
※8月17日(土)は17時まで(最終入館16時30分)
※会期中無休
【開催会場】ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財「百段階段」
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■取材協力
ホテル雅叙園東京
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